<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



「あの、新しいのに機種変更したいんですけど」
「どれですか?」
「この機種です」
「これですか、高いですよ」
「え?」
「高いですよ、手続き代とか、本体の価格とか。買取になりましたからね。」

ぶっきらぼうな携帯ショップの店員は面倒くさそうにそう言って書類を差出した。
私は長らく使っていた携帯電話が古くなり、電池の寿命も短くなって、他の新型ち比べて表示も荒くなってきたので機種変更をするために大阪府堺市内の携帯ショップを訪店した。
しかし、店員のあまりにぞんざいな対応に呆れ返って、そのまま数十メートル離れた別の会社のショップへ足を運び、携帯電話会社ごと機種を変更したのであった。

ボーダフォンがソフトバンクに代わって暫く経ったあと。
私は関西デジタルホン時代から使い続けてきた携帯電話を、auに変えた瞬間なのであった。

その一ヶ月後、ソフトバンクから初代iPhoneが発売された。

随分前からMacユーザーだった私がいつまで経ってもiPhoneを買わなかった。
周囲からは「なんでや?」という声が度々聞かれた。
私がMacを愛用していたことは周囲では周知になっていて、パソコンはMac、携帯音楽プレーヤーはiPodの私がなぜ携帯は普通のau携帯なのか、みんな不思議に思っていたのだ。
でもいくら愛用のパソコンがMacだからといって、オーナーが変わって横柄な会社に変貌した携帯電話会社にはびた一文稼がせてやる気持ちなど毛頭生まれなかった。
したがって、iPhoneを購入する気にはまったくならず、そのまま今日に至っている。

会社というのは不思議なもので、オーナーの人間性が社員の性格にも反映される。
が、こんなにも端的に反映されるとは、これほど露骨な例は後にも先にも見たことがなかったのであった。

一昨日、iPhoneがau から発売されることが決定したというビッグニュースが流れた。
件のオーナー氏は「邪道か正道か、どちらを選ぶかだ」とツイッターでつぶやいたことがさっそくニュースに取り上げられた。
私はすっかり彼自身が自分を邪道と認めたのかと思った。
随分おとなになったものだ、と思ったのだ。
でも、よくよくニュースを読んでみると、まったくそうではないようで、市井の人々の感覚からは異なり、本人側が正道でauが邪道と思っているフシがあるらしい。
さすが震災にかまけて金儲けをしようとするような御仁だけではある。

どっちが正道で、どっちが邪道か。

そんな話は難しいというか、判断の下しようがないように思ったのだが、意外にもというか、やっぱりというか、投資家の人々は株価というカタチで答えを示した。
経済はいつも正直だ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )