<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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もうかれこれ10年以上前のこと。
うちの会社の同僚が会社の近くの居酒屋さんで昼食の丼を食べていた時のこと、

「………なんや……これ?」

と丼の半分ほどを食べ終わったところで、底の方に黒い柿の種みたいなものを発見した。
その柿の種には足や触覚が備わっていて、よくよく観察してみると柿の種ではなかった。

「………ゴキブリやんか!」

そう、ゴキブリなのであった。
どこかで混じったゴキブリが丼のご飯の中で生埋めか死に埋めかになっていて、それを掘り出してしまったものなのであった。
もしもそのゴキブリに「あたり!」と書いていて、

「お客さん、ラッキーですねー、ゴキブリヒット!賞金の10万円です。」

となれば騒ぎも小さかったかもしれないが、

「ごめんなさい」
と店の人。
「お代はいりませんから」
と、そそくさと丼を下げて、それっきり。
同僚は怒り心頭で帰ったのであったが、騒ぎにはならず、ある意味つまらなかったのであった。

ただ、この評判は詰まらないものではなく、お店には決定的なダメージを与えた。
ゴキブリ丼の被害者はうちの社員だったのだが、その様子は他の人達にも目撃されていた。
だからゴキブリの噂は「ゴキブリ丼」というメニューのような名前に変わって、周辺地域に広まったしまったのだった。

結果、その店は「ゴキブリ丼」が原因かどうか知らないが、事件から数ヶ月もしないうちに店を閉めてしまったのであった。

マクドナルドが揺れている。
中国にあった鶏肉工場での不衛生な運営に端を発した一連の食材管理に問題は、鶏肉にとどまらずフライドポテトや、中国以外の工場にも広まっている。
その結果、いつも混雑していたマクドナルドの店舗が客がチラホラという状態にまで落ち込んでいるのだ。
この、食材品質問題はマクドナルドだけにとどまらず、吉野家の牛丼やペヤング焼きそば、その他数多くの食品の問題となって広がっている。

外食産業のリスク管理は叫ばれ始めて久しいけれども、これほどまでに注目を集めてしまうのは、外食の最王手だったマクドナルドが、その発端となっていたことからだろう。

かつて雪印食品は社長の対応の失敗で、会社がなくなる事態に直面した。
会社の規模に関係なく、食の安全というものを利益優先の次に置くと、どうなるのか。

今回の様々な事件は、大手外食チェーンと言えども、ゴキブリ丼を出した個人経営の店と同じ運命をたどる可能性もあるということだ。

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