萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

secret talk68 安穏act.5 ―dead of night

2018-02-10 21:33:18 | dead of night 陽はまた昇る
門を出た先は、
英二23歳side story追伸@第6話 木洩日


secret talk68 安穏act.5 ―dead of night

スーツで門を出る、今は週一回の習慣。
その隣が君であることは、自分の幸運。

「お?今日も宮田、湯原と一緒かよ、」

ほら、同期の声が笑いかけてくる。
なにげない貌の「一緒なんだ」がうれしくて、英二は素直に笑った。

「そうだよ関根?今日は俺、湯原の家で世話になるんだ、」

事実ただ笑いかけて鼓動、ふくらむ熱やわらかい。
なんだろう?初めての感覚に健やかな日焼ほころんだ。

「へえ、愉しそうじゃねえか。騒いで迷惑かけんなよ?」
「騒がないって、」

笑い返しながら瞳の端、隣の頬やわらかに染まる。
また赤くなる横顔もっと見たい、想い笑いかけた。

「な?俺そんな騒がないって湯原は知ってるだろ?」

友達と騒ぐことも愉しい、でも穏やかな静謐が慕わしい。
だから隣にいたい相手は瞬きひとつ、長い睫ゆるく見あげた。

「ん、…でもうるさい時もあるな」

あ、これ冗談かな?

―分かりにくいけど、湯原の精一杯かも?

いつも不愛想、真面目くさった貌。
ようするに無表情だった君、それがこんなこと言ってくれる。

※校正中
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