萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

文学雑談:ある偽善小説

2015-09-19 22:50:00 | 文学閑話散文系
気分転換に雑談します、笑

まとめサイトたまーに見るんですけど、そこから跳んだ記事にあるメールの話がありました。
ソレが何かって言うと、某作家とある男性の往還メールをまとめたサイトのコトでした。

某作家はいわゆるヒロイックファンタジーを書いていた女性、
ある男性はその愛読者だった一人です。

で、その小説が性的虐待の描写が増えてしまい、
ようするに強姦を描いたワケですが、それが男性の同性愛者だった。
ソレも一人なら良いけど複数にわたり描かれて、結果、

同性愛=強姦SM愛好家

という誤解を受けかねない描き方になってしまったわけで、
そのことを問いかけたメールを男性は彼女宛に送りました。

・・・・・

同性愛の男も普通に生きている普通の人間です、それを偏執狂のよう描かれては誤解と偏見をうみかねません。
なにより同性愛の人間が傷つきます、僕自身も同性愛者です、そして普通の人間です。
ずっと愛読していた小説でこのようなことは個人的に裏切られた気持でした。

・・・・・

っていう内容のメールを送ったそうです。

この作家女性、その作品の第1巻でもハンセン病患者について誤解と偏見の描写をした前歴があります。
そのときも抗議の声が上がり書き直したそうです、が、この件については結果スルーでした。
この男性に返した彼女のメールから率直に言って、

正当化×偽善 

と、自分は想ってしまいました、笑

それはメールだけじゃなく、彼女自身についてそう想わざるを得ません。
なぜそう想うかというと、らい病患者と同性愛者への「対応差の理由」です。

なぜ彼女はハンセン病患者の描写は書き直したのか?
なぜ彼女は同性愛=強姦愛好について正当化するのか?

その理由はたぶん、突詰めちゃうと法的問題=世間体かなって思います。

ハンセン病患者は昔、人間の尊厳すべてを否定された歴史があります。
遺伝病だという誤認識からパイプカット=性的不能の処置をされ、また感染経路の誤認から隔離されました。
けれど実際は感染力が非常に低い病気です、ただし適切な処置を行わないと皮膚がただれ外貌が崩れます。
現在は薬剤などの進歩で発症率も低下し罹患しても完治します、ですが昔は苦しみました。
皮膚がくずれて顔面から変形する、そうした症状に差別と偏見が起きたワケです。

そうした差別偏見×誤認識は行政のミスを招きました。
パイプカットや隔離は人間の尊厳を奪う行為でもあります、それを行政から行ってしまった。
こうした歴史から保障制度や擁護団体が現在はあります。

でも同性愛者には行政や法からの保護はありません。
当事者たちで作ったコミュニティはあっても差別から擁護する盾は無いわけです。

法制度、擁護団体。この2つの存在から糾弾されると?

そういうので差がでるのって偽善者にはありがちなことで、
で、そういうのが彼女と出版元の対応差に無関係と言えないだろうと。

・・・・・

私は同性愛者の友達がいる、そのひとたちも私の小説に賛同している。
ディベートなら受けて立とうじゃないか。

・・・・・

というのが彼女のメール態度でした。
で、つい思い出させられるのは「裸の王様」です。

同性愛者はマイノリティ、少数派。

彼女はいわゆる売れっ子作家、発言力がある程度ある立場。

少数派の人間が売れっ子作家に「あんたの作品は差別だサイテー」と真っ向から言えるのか?

っていう感情方程式も解けないのは、浅慮×傲慢の証拠だなあと思います。

小説、漫画、ドラマ、

いわゆる人間模様を描くツールは影響力があります。
感情、倫理観、歴史観、主観から客観へ育つ種を植えつけてしまう。
だから描く対象をきちんと調べて「現実」リアルに添って描くことは、偏見を生まない最大の防御です。

だから「取材」という言葉もある、描く素材を取り集めて生みだすものだから。
そして、コレを怠ってしまうと結果として偏見が生まれます。

ずっと不思議だったんですよね、

「なんでいわゆるBL本は性的虐待×強姦シーンが多いんだろう?」

ここで小説を描きはじめるときWebでBLを読んでみました。
雑談寓話に書いてるけど友達にバイセクシャルの男がいます、そいつの言葉の現実を知りたくて読みました。

「BLとかって大嫌いだ、勝手な妄想で俺たちを変態犯罪者にしやがって、」

そう泣いて怒った彼は、ごくフツーの社会人です。

きちんとスーツ着て通勤して、
デスクについて膨大な資料を読み、書き、会議して、折衝もする。
仕事終わりには同僚と呑みにいって笑って、グチって、時に泣いて怒って。
そして帰宅すれば仕事に必要な勉強したり、パソコン開いたりテレビ観たり、本読んだり。

両親がいて、きょうだいもいて、
家族に贈物することもある、休日は家族で食事することもある。
友達もいてメールしたり電話したり、好きなライブではじける夜もある。

ごく普通の生活、ただ恋する相手が同性の時もある。

その恋愛感情は同性と異性では差があるそうです、でも「好き」であることは変わらない。
そしてセックスも遣り方がちょっと違うだけで「大切に触れ合いたい」気持ちは同じです。
ごく普通に社会人で男で人間、それだけです。

ま、ちょっとワガママで拗ねっぽいとこはあるヤツだけど、笑
でも自分としては嫌いになる理由そんなにありません、一緒に飲んで楽しいヤツです。
それは異性愛でフツーに結婚してる友達と変わらない、強姦色情狂とは遠いフツーの男でしかありません。
ごく普通の人間、だけど恋愛対象が同性であることが「少数派」マイノリティにしているわけです。

で、問題なのは「少数派」だからこそ偏見が生まれやすいってことです。

少数派=サンプルが少ない。

サンプルが少ない=1個の情報の影響が大きくなる。

それを例えると:日本人の中に白人系の人が3人いて2人が金髪碧眼+1人が茶髪黒瞳
で生まれる通説:白人は金髪碧眼が多い、茶髪黒瞳は少ない

こんなふうに「少数」であることは短絡的結論を生みやすくて、それが偏見になることも珍しくありません。

男女の恋愛×SMを描いた小説があっても男と女の恋愛=SMにはなりません、
それは「男女の恋愛」が身近に多くあふれている=サンプルが多いから極論に惑わされない、ってワケです。

だから「同性の恋愛」も身近に多くあふれている状況なら、妄想変態小説に惑わされる可能性は低くなります。

でも現実には少数派のマイノリティ、
本人たちも差別偏見はうれしくないから隠していることが多いです、
少数かつ隠していれば「身近な存在」にはなり得ません、そのため偏見を描かれるとそれが通説となりがちです。

こういう現実を彼女は聴かなかったのだろうなって思います、
それだけ彼女は同性愛者の友達から信用されていない、っていうか友達と想われていないんだろうなあと。

・・・・・

私がヤオイを描くのは同性愛者の偏見をなくすためです。

・・・・・

ヤオイ=BLにあたる当時の言葉だそうですが、
こんなふうに言ってしまうアタリ彼女の傲慢、上から目線の偽善が痛々しいなあと、笑
作家な自分は理解者だよ描いてやってるんだ感謝しろ的なことをメール男性も返信されたそうです。

自分も友達のことがあったから同性愛も描いてみたりしていますけど、
しょーじきなとこ「理解者です」とか「賛同します」みたいなコトは想いません、
だってソレえらそーすぎるじゃん、笑

ただソイツはソイツなだけ、そういうソイツと友達でいる、それだけです。

同性愛者だから友達になったわけじゃない、
ソイツっていう人間が面白いから一緒に飲んで、会話して、それが楽しいだけ。
確かにソイツの思考と観点は同性愛であることの影響もあるだろう、でもソレって恋愛経験値なだけだ。

っていう考えな自分としては、描くならマジメに調べて書けよ出来ないなら書くなバーカと思います、笑

ちゃんと調べて書く努力をしない、
そーゆーヤツは大抵ドッカの小説やマンガをテキトーに読んでソレを事実だと信じてる、
でもそれは孫引きってヤツで、孫引きとか絶対やるなよ原典&現場きっちり読めよ行けよというのが常識です。
よーするに「信憑性の確認を自分自身でやってないモンを出すな」ってことです。

だって嘘吐きはドロボウの始まりって言うじゃないですか?笑

孫引き、剽窃、盗作、このへんの事件が最近多いですけど、
Web小説ブログでも同じ傾向がありますが、あたりまえだけど犯罪意識あるのかな?と疑問です。
そーゆーの安易にやっちゃうヤツラは頭がユルイんだろうけど、そいつらと上述の作家サンはある意味で同類だなあと。

現実を認識して分析する、そこから創作物は生まれます。
なぜなら自分たちは現実に生きる住人で、現実に生きる感情だから。

現実リアルにある存在はリアルな言葉で心が動きます、だから「リアリティが感動を生む」なんて常套句もある。
それを忘れて妄想カッテに書き散らすとき、生まれるのは偏見とその被害者たちの傷です。
その傷は現実リアルの痛みです。

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深夜雑談:毛玉の幸福

2015-09-16 00:41:10 | 雑談
見ていると眠くなる、

ってことが同居人=悪戯坊主でよくあるんですけど、

白くてもふもふ→ふとんちっく=安眠イメージな為なのか、
よく眠っている→気持よさそう=安眠イメージな為なのか?

どっちにしてもイイ夢見ていそうな満足寝顔に安らぎます、
たぶん明日はもっと満足いい寝顔で眠ってくれる予想です、
なぜなら明日は悪戯坊主の大好物をあげる予定だから、笑

で、悪戯坊主の大好物は何だと思いますか?



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第83話 辞世 act.12-another,side story「陽はまた昇る」

2015-09-14 22:30:31 | 陽はまた昇るanother,side story
幕下の明暗
周太24歳3月



第83話 辞世 act.12-another,side story「陽はまた昇る」

夜更けてゆく簡易デスクのむこう、隊服姿の影が長い。

ランプ照らす長身はヘルメットも隊服も青くて、この姿よく知っている。
だって去年の冬は何度も傍にいた、もう遠い時間、でも声は周太の前で微笑んだ。

「セラック崩壊が心配です、こちらの斜面は今年もセラックがありますよね?」

きれいな低い声は落着いている。
なにも動じてなんていない、そのままに長い指が登山図を示した。

「でも銃座のポイントはこの斜面でしょうか、」

登山図を示す長い指、その爪に鼓動がはずむ。
LEDランプうす暗い幕営、けれど誰の指かなんて自分は解ってしまう。

―英二がいる、こんな現場で会うなんて…どうして、

どうして、ここで会ってしまうのだろう?

「ここは大きな雪壁が毎年できますよね、浦部さん?」
「できます、ただブッシュ帯なので足場から崩れる危険があります。上部でセラック崩壊が起きれば連動しやすいです、下は遮るものが樹林帯までありません、」
「もし雪崩に巻きこまれたら止まれませんね、」

登山図を指さす二人、どちらの声も知っている。
知っているからこんな現場で会いたくなかったのに?

―まさか山岳レンジャーと一緒になるなんて、ね…?

山と救助の専門部隊が現場を共にする、こんな可能性そうないだろう。
けれど現実になってしまった山懐で三人めも言った。

「難しい場所だね、そんなとこへ部下はやれません、」

透るテノールがテーブルむこうから笑いかける。
その眼ざしは暗いテント内でも明るい、声も明るいトーンのまま断言した。

「行動開始は早くても午前4時です、天候の回復と雪が硬い時間を狙いましょう、」

やっぱり危険なんだ、たぶん夜が明けても。

―ごめんね光一、部下の人たちを巻きこませて…英二のことも、

心裡に呼んで詫びてしまう。
ほんとうは声にして謝りたい、けれど出来ない立場に上官が言った。

「人質の安全確保が最優先事項だ、1時間後には出てもらう、」

譲るつもりはない、命令を聴け。

そんな上から目線の声はマスクない横顔も傲岸が鋭い。
こんな声と貌する男、それでも20分前は謝ってくれたなんて君は信じるだろうか?

―もし岩田班長がほんとうの犯人って英二が知ったら…黙ってないよね、英二は、

登山図のむこうに穏やかに君は笑っている、でも事実を知れば何するだろう?
想定に背すじ冷ややかに硬くなる、これまでの言動に穏やかな想像は出来ない。
どうか知らないままでいてくれたなら?願いと佇んだ隣から低い声が徹った。

「班長、私も午前4時以降と判断します、」

ほら、この人も自分を援けようとしてくれる。

―ありがとうございます伊達さん、でも命令に逆らったら伊達さんが危ないのに、

自分たちは所詮「指揮下」にある。
その現実この人も解かっていて、それでも沈毅な眼は続けた。

「この天候では出せません、なにより計画が無茶です、現場を担当する方の意見を尊重すべきと思います、」

横顔はマスクに黒く覆われて、けれど声は大らかに徹って澱まない。
ただ実直に意見を述べてくれるパートナーに懐かしい声が微笑んだ。

「ありがとうございます、」

どんな意味の「ありがとう」なのだろう?

想わせる声はきれいに微笑んでいる、でも視線の底かすかに厳しい。
相手がどういう人間か量るのだろうか?そんな眼ざしの前で上官は告げた。

「立籠もり犯の対応なら我々が専門だ、この現場は立籠もり事件にある、」

うす暗いランプに傲岸なトーン頑なに響く。
ここまで言い張るのは「あの男」命令だろう、その事情に哀しくなる。

―班長にも事情があるんだ、逆らえないだけの…まもりたくて、

上官として立つ男は強靭な心身を持っている。
そうでなくては務まらないポジション、でも父のほうがずっと強かったと自分は断言したい。

―お父さんも護りたかったんだ、人ひとりを、

人ひとりの命、それが父の見つめたもの。
そう今なら解かる、だって父は佐山を救えと言い遺した。
最期の瞬間に父が見た願い何だったのか、そこにいた同期の安本に何を託したのか?
その全て知りたくて父の跡を追いかけ父のかけら探して、そうして組まれる姿は優しいからこそ強い。

だから自分も殺したいと想えない、岩田も、犯人も。

「私の判断が最優先されるべき事件だ、1時間後に出発しろ、」

続けられる岩田の声はいつもと変わらない。
でも昨日までと違うのは自分だけの想いだろうか?そんな時間に山岳レンジャーの指揮官が言った。

「午前4時でも1時間後でも到着時間は同じです、」

反論してくれるテノールは澄んで真直ぐに明るい。
この声にもずっと会いたかった、けれど名乗れないまま幼馴染は続けた。

「この天候では行動不能に陥りますからね?ドッチも一緒なら命の安全を選びましょう、」
「人質の安全が我々の任務だ、1時間後の出発は上からの指示でもある、任務に命を惜しんでレスキューと言えるのか?」

また上司が反論する、でも危ないかもしれない?

―こういう言い方いちばん光一は嫌いだよね、怒らせたら…いちばん班長が困るよね、

登山図のテーブルむこうにいるのは幼馴染、でも今は隊服姿で責任を背負い立っている。
その青い袖に指揮官の腕章まぶしい貌はテノール低く嗤った。

「あのさあ、ナンで俺たち七機が出張ったと思ってんの?ヨソサマの山域にさあ、ねえ?」

さあ、ねえ?こんな言いかた始めたら危険だ。

―どうしよう班長すぐ謝ってくれたら良いのにって無理だよね、でも僕はいま止められない、

もし正体を明かして止めたら止めるかもしれない、でもマスク外すのは禁じられている。
もう一人、幼馴染のザイルパートナーは止められる可能性あるけれど多分、彼こそ止めるつもりがない。

「この悪天候でさあ、県内全域とっくに遭難でまくってんの、だから県警が動けないんだろが?県警が動けねえから俺たち七機が出張ってんだよ、ねえ?」

幼馴染の声で言葉がつむがれる、その口調きつくなる。
それでも誰ひとり止める気配もないまま暗いランプの下、雪白の微笑が唇の端あげた。

「県警がキャパオーバーしちゃうほどの遭難率だって解かんねえのかなあ、もう県警だってビバーク入るよって無線きましたよねえ?ソンクライの現場状況マサカ把握していないとかアリエマセンよね、特殊部隊の指揮官ですもんねえ?キッチリ状況わかったウエで仰ってんですよね、アタリマエですもんねえ、」

その言い回し、きっと岩田には辛いだろう?

―本当に「指揮」する立場なら有得ない判断だって言ってる、同じ指揮官の立場から光一は、

解かんねえのかなあ、把握していない、状況わかった上で。
どれも情報のコントロール不足を指摘する、それは指揮官の立場もプライドも揺らがしてしまう。
同じ指揮官同士、それも親子ほど年次が下の相手に言われたら?その痛み解っているくせに幼馴染は微笑んだ。

「こんなサイテー状況を冗談で和ませておられるんでしょう、指揮官ラシイ心遣いおそれいります。さ、午前4時の計画キッチリ詰めましょうか、」

きっと今、上官は怒り堪えて顔赤いだろう。
見なくても解かる空気にため息そっと吐いた隣、低く先輩の声つぶやいた。

「…やるな、さすがだ、」

誰が「さすがだ」なんて聞く必要もないだろう?
それでも視界の端たしかめた隣の視線はテーブルむこう、青い隊服姿に笑っている。



(to be continued)

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山岳点景:天花の畔

2015-09-14 20:23:01 | 写真:山岳点景
秋はなやぐ



山岳点景:天花の畔

ヒガンバナが咲き始めました。



この赤紫色ちょっと珍しいんですけど、秩父山塊の棚田で満開。
ここは白ヒガンバナも多く見られます。



ヒガンバナは別名に曼珠沙華マンジュシャゲ、
曼珠沙華は天上の白い花だそうですが、畦道ならんで咲く白花はなにか厳かでした。

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山岳点景:秋そめる

2015-09-13 21:50:17 | 写真:山岳点景
These plots of cottage-ground,



山岳点景:秋そめる

楓いろづき初め、空も高くなります。

【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】


写真:宮ヶ瀬湖畔@神奈川県

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山岳点景:丹沢の青

2015-09-12 23:16:38 | 写真:山岳点景
ふるさと上空



山岳点景:丹沢の青

予定キャンセルになった今日、丹沢某所にて。
青空の足もとは秋の花、七草のひとつ萩が咲いていました。



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第83話 辞世 act.11-another,side story「陽はまた昇る」

2015-09-10 22:40:02 | 陽はまた昇るanother,side story
再会
周太24歳3月



第83話 辞世 act.11-another,side story「陽はまた昇る」


どうして、あなたが来てしまったんだろう?


幕営ほの暗いランプの下、男が三人テントを入ってくる。
ヘルメットから登山ウェアすべて青い、この冬隊服も去年ずっと見慣れている。
三人とも肩ひろやかで背が高い、体格から自分とは違う男たちに秋は懐かしくて、そして遠い。

―2ヶ月もなかったけど僕も七機で…顔は知ってる人だよ、ね、

もう夜になる山懐はランプに暗い。
まだ顔は見えなくて、けれど知人である可能性もう知っている。

『現場は標高2,500メートル地点の雪山だ、七機の山岳レンジャーがサポートに入る、』

新宿の道、迎えにきた伊達からもう聴いている。
だから青い隊服姿の所属は第七機動隊だ、それなら知人だろう。
三人とも青いヘルメットの蔭に顔は隠れて見えにくい、けれど向きあった声は徹った。

「第七機動隊山岳レンジャー、第2小隊長の国村です。これが長野県警からガイドに指名された浦部、むこうが選抜した宮田になります、」

今、誰だと言った?

―この声は光一だ、名前も、

知っている声、知っている名前たち。
そして告げられた意味に解からなくなる、どうして?

『選抜した宮田になります、』

どうして、なぜ、あなたが選ばれてしまった?

―他にも山岳レンジャーの人いるのに、なんで英二が…まだ二年目なのにどうして、

どうして二年目のあなたが選ばれる、もっと他にいるだろう?
特殊な任務で山のガイドするならベテランがいるはず、そんな疑問に記憶かすめた。

『山岳レンジャーのエースが補佐してくれる。若いが射撃も上級の男だから心配ない、』

さっき上官が言ったこと、その意味に忘れかけていた事実が裏付ける。

―そうだった、英二も射撃の上級に受かってる…初任総合のとき、

積雪期の登山技術と射撃上級。
これが選抜の条件なのだろう、それなら当然の結論かもしれない。

―光一も上級だけど今は指揮官なんだ、だから英二が、

他にも同じ条件の人間はいたかもしれない。
けれど立場と役割の事情で選ばれてしまった、こんな現実に上官が言った。

「宮田君はこちらの隊員を連れて1時間後、日没直後に現場へ向かってもらう、」

ほら、あなたの名前だ。

―英二を巻きこんじゃうなんて嫌、誰か止めてお願い、

どうか誰か止めて、こんなこと。
どうか止めてほしい、この人だけは巻きこみたくなかった。
そう願っている、心から願っている、それなのに深く鼓動が弾んでしまう。

“このひとが一緒なら”

そう喜んでいる、この鼓動ずっと深くが。

「出発のタイミングは私に任せてもらいます、山は山岳レンジャーの領分です、」

ほら知っている声が反論してくれた。
こんな反論あたりまえに嬉しい、でも弾むのは「期待」のせいだ?

「いま山頂から雲が降りてきています、これは吹雪です。あと1時間でここも雪に巻かれるでしょう、そんな天候に出たら死にます、」

澄んだテノール朗々と告げる。
この言葉どおり自分は死地へ向かうのだろう、その道連れ視界の端に映りこむ。

―やっぱり英二だ、いちばん背が高い人、

三人ならんだ青い隊服、うち二人は身長も似ている。
ほんの少し高いほう、その青いヘルメットから視線が熱い。

―こんな見方してくるの英二だ…暗くて顔は見えないけど、でも肩の感じも空気も、

あのひとがいる、目の前に今。
うす暗い幕営は吐息も白い、こんな再会にテノールが続ける。

「現場は沢上部の小屋ですね?この幕営からいちばん近い、でも厳しい現状を浦部から説明します、」

懐かしい名前に鼓動また疼く。

―浦部さんのこと英二と似てるって見てた、ね、

逢いたくて、だから俤つい重ねてしまった。
そんな2ヶ月に毎日のよう聴いた声が応えた。

「ガイドとして申し上げます、あの小屋あたりは雪崩の巣窟です。今の時季とくに寒暖差で雪がゆるみます、そこでの発砲は危険です、」

懐かしい声、でも言葉は甘くない。

―やっぱり危険なんだね、僕が行く場所は…そこに英二も、

発砲は危険、

その危険を冒すことが自分の任務だ。
それでも自分は構わない、それだけ覚悟とっくにできている。
それでも一緒に行く相手いることが苦しい、哀しい、ただ煩悶の隣から言われた。

「班長、私も同じ意見です。出発は明朝にするべきです、」

恬淡、そんな声が朗々と告げる。
マスクで顔隠しても徹ってゆく、沈毅なくせ大らかなトーンは言った。

「吹雪と雪崩のリスクを冒したところで途中ビバークするしかありません、どうせ現場に着けないなら明日朝に出ても同じです、私は行かせません、」

いつもどおり落着いた低い深い声、けれど本当は怒っている。

―伊達さんって貌に出さない時ほどだもの、今も、

感情をおしこめている、そんなときほど本当は心あふれて廻らせる。
それは哀しい告白された夜にもう知った。

『人を殺した手で人を養う飯作るなんて変だろ?だから家族にばれたくない、食ったモノ吐かれたら辛いからな…そういう秘密が自分で赦せない、』

そう言って伊達はすこし笑った。
でも本当は怒りに泣いている、だって傷だらけだった。

『この傷、一本に見えるが何度も切ってある。殺した現場を思い出して今ここが現実か解らなくなる、だから痛みで現実だって確めてほっとするんだ、』

今も冷静な隣の横顔、でもその手首は自傷の痕が悼む。
命ひとつ消してしまった苦痛と哀悼、この苦悶ごと自分たちは任務に立っている。
こんな矛盾を弱いという人もいるかもしれない、けれど矛盾を抱けなかったら人では無くなるのだろう。

だから謝ってほしい、父を殺した「あの男」も人のはずだから。

「今いる地点はここです、現場の小屋はこちらで間違いありませんね?」

浦部の声が問いかけながらデスクの上、地図にマーカーのペン先を記す。
赤い丸された現在地はLED灯にほの明るい、この場所を「あの男」も今見ているのだろうか?

―班長は報告するのかな、僕のこと…観碕さんに、

観碕征治

その名前もう知ってしまった。
いま隣にたつ沈毅な横顔、この聡明な男が与えてくれた情報で裏付けもある。

―でもどうして…田嶋教授ならご存知かもしれない、ね、

どうして観碕はここまでする?
その理由まだ本当には解らない、でも手がかりは皆無じゃない。
その辿れる糸はもう見えていて、でも今既にない時間の真中で伊達が訊いた。

「ここです、小屋の窓を狙えるポイントを教えてください、」
「はい、窓は2方向でどちらも小さいです、」

説明しながら赤で「×」を描く手が白い。
その手元ながめる隣、そっと空気がゆれた。

―伊達さん?今なにか、

なんだろう、今なにか動いた気がする。
けれど解からなくて、そのまま浦部の声は穏やかに続けた。

「雪への耐性を重視した山小屋です、そのため窓は小さく2ヶ所だけ、入口も1つで壁も頑丈な造りになっています。北側に面した窓は山頂方面、もう一方は麓への尾根の眺望がいいです。周りの樹林帯も小屋より低いので隠れるポイントはありません、荷揚げや救助ヘリのホイストするポイントなため上空の動きも小屋から見えます、」

説明の言葉に現状対応の難易度あきらかになる。
これを「あの男」は知っていて、そして「場」を作ったのだろうか?

―この事件も観碕さんがつくったのかもしれない、それならお父さんはやっぱり、

雪山の籠城事件。

こんな場を「つくる」なんて普通は難しい、でも不可能じゃない。
そして、こんな場まで「あの男」が作ったのだとしたら14年前の事件など容易く作れたろう?

―佐山さん達に銀行強盗をさせるなんて簡単だったよね、その事務所に命令させればいいだけで…逃走ルートもかんたんに、

春の夜、14年前の新宿で起きた強盗殺人事件とある警察官の殉職。
その全て「つくった」男なら今この現場もそうかもしれない、だとしたら自分にできる「抵抗」は唯ひとつだ。

「銃座になり得るのは北側の窓サイドでしょう。小屋から見つからず回りこむルートは2つです、どちらも雪のコンディション次第でリスクが高くなります、」

想い見つめる真中で浦部の声とペン先が地図をマークする。
きゅきゅっ、ペン先の鳴らせて赤く示されてゆく道は可能性を示して、そして若い山ヤは言った。

「宮田さん、どちらのルートも経験ありましたよね?意見お願いします、」

とくん、

ほら名前ひとつに鼓動ゆれる。
この名前ずっと逢いたくて、だけど今ここで逢いたかったわけじゃない。
もっと違う場所で逢いたかった、それでも呼ばれた名前は穏やかな声で応えた。

「はい、」

ほら返事した、やっぱりあなたの声だ。


(to be continued)

【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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山岳点景:郷愁×秋

2015-09-10 19:00:20 | 写真:山岳点景
The Winds come to me from the fields of sleep



山岳点景:郷愁×秋

すすき野原@山梨県明神岳にて。
ベージュ×青、みわたすツートンカラーが好きです。



すすき野原は幼い記憶にふれます、
大好きな仲良しの子とカクレンボして、いつも葉の切傷だらけになっていました、笑



どれも去年11月の撮影ですが、たぶん今年の秋は早いと思います。



【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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深夜雑談:猫の好物

2015-09-09 23:54:06 | 雑談
甘いモン食べたくなった、深夜に珍しく。

で、昨日買ってあった葛桜を食べようとして、
そうしたら悪戯坊主=白いもふもふ猫がオネダリをしたんだけど、

ほしがったのは餡子ではなく、桜の葉っぱだった。

塩気のないヤツだから食べても良いんだけど、
だけど某キャットフードより欲しがるってドウなんだろう?

…ほんとに猫なのかな?

っていう疑い改めて想った、台風の夜。笑



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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚372

2015-09-08 19:10:27 | 雑談寓話
師走の半ば夜、再会した御曹司クンは泣いた。

「久しぶりに会えたのにいきなりさーもうちょい浸らせてくれよなーもー、」

って乾杯のセリフから御曹司クン涙目で、

「泣きたいなら泣いちゃいな、待っててやるからさ?笑」

って言ったら、

「…もーさー、そんな…あいかわらず優し、」

ってセリフから涙こぼれて中ジョッキ片手に御曹司は泣きだした。
声はない、顔すこし傾けてビール啜りながら泣いている、
そんな顔は相変わらず拗ねてるようで、だけど記憶よりすこし大人びて見えた。

こいつも色々あったんだろな?

って思った、
それは花サンのことだけじゃない、御曹司クンが背負う諸事情全般だろう。

ソノ業界ソレナリ大手の跡取り、
多忙な両親とは会話の時間あまり無し、
お袋の味は家庭料理<レストラン系、
ゲイ寄りバイ、カミングアウトほぼ未済

こんなのドラマみたいな設定、きっとBL本とやらも喜ぶのだろう?
だけど御曹司クンには現実で、そのリアルは甘くない。

跡取り息子→職場の人間関係は縁故なしと違う気苦労がある。
代表取締役である父親と比較されて「あたりまえ」評価対象であることが日常だ。
社内評論家たちの視線はどんな空気なのか?
ソレだけでも御曹司クンの涙はしかたない。

御曹司クンの性格から言って、ソレナリ笑顔でやってるだろう。
でも「ソレナリ」だから鬱屈アタリマエに溜まる、
その吐け口をドコにするのか?

が、御曹司クンの問題点だなー。

なんて考えながら御曹司クンの泣き顔と酒飲んで、
花サンが泣いていた理由を思い出して、
で、ふたりが選ぶ先をツイ心配した。

こういう御曹司クンと花サンが結婚して、幸せなんだろうか?

「…ぅー…泣き止むの待ってくれてる?」

って泣き顔×セリフに思考中断されて、笑
あらためて見たテーブル越し、赤い目の拗ね顔に笑った、

「泣きながら話すとか無理だろ?笑」
「う…悔しいその言い方、けどうれしー」

なんて会話に御曹司クンは少し笑って、
涙まみれだろう笑顔におしぼり投げてやった、

「涙拭いたら溜まってるもん吐いちゃえよ、聴いてやるから、」

ホント全部ここで吐いちゃえばいい、
ソレで楽になれば余裕できるだろう?
だから言ったら御曹司クンはヤヤ照れた、

「ちょ…なんか照れるしソレ、照」

なんでこいつデレてんの?
って思ってすぐ言い返してやった、

「吐き出すのは口から本音の言葉だからな、シモじゃないから期待するなよ?笑」

ソレくらい御曹司クンも解っちゃいるだろう、笑
でもトリアエズ笑わせたくて言って、で、拗ね笑いが返ってきた、

「ソレくらい解ってるっつーの、変態あつかいすんなよバカっ、」

拗ねて、だけど半分は嬉しい。
そんな顔ひさしぶりで懐かしかった、で、ついツッコミいれた、笑

「ふーん、無断キスしようとか変態痴漢だよな、ねえ?笑」
「そっ、それは感情の昂りっていうかなんつーかっ、」

慌てたみたいな声、目の動き、
そんな挙動不審も前と変わらない、ちょっと安心して訊いた、

「で、いちばん最近の我慢した原因は?笑」

こう見えてコイツは我慢だらけだ、
事情ソレくらい解ってる、だから訊いたら御曹司クンは笑った、

「俺が我慢してるとかさー言ってくれんのホント…おまえくらいだ、」

おまえくらいだ、なんて言葉は=孤独

他に誰もいないって意味だ、
それだけ寂しい時間が御曹司クンの現実で、
そこに「居るべき名前」がでてこ無いことが哀しかった、で、訊いた、

「花サンも気づいてると思うよ、おまえの我慢もさ?」

気づいている、だから彼女も悩んでいる。
けれど御曹司クンはシニカルな口元で笑った、

「…どうかなー気づいてても聞いてくれないんなら無視と同じじゃね?」

第109回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント

ちょっと書いたのでUPします、
コレや小説ほか楽しんでもらえてたらコメントor下のバナークリックお願いします、

移動中に取り急ぎ、笑



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