黒岩裕市 晃洋書房 2016
序章で、可視化を巡る問題として、2015年頃の状況に触れる。続く三章で、それぞれ、村上春樹の「偶然の旅人」、川上弘美の「杏子と修三シリーズ」、そしてよしもとばななの「王国」シリーズを取り上げて分析。終章で、伝統的家族観とこれらの小説でのゲイの取り扱われ方を論じる。
面白い視点だと思うが、かつての「フェミニズム」的なややヒステリックな否定の香りを感じないと言ったら嘘になる。確かに正論は多い。ただ、変化は急激の場合もあれば、そうでない場合もある。後者だった場合、そのプロセスにあるものを、中途半端であり、問題の本質を隠すみたいな形で取り扱うのはどうかという気がした。そこからまた5年が経って、今日を著者はどう評価しているのだろう。
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