いよいよ明後日はセンター試験であります。90名以上の3年生が受験をいたします。成功を祈るのみであります。体調を万全に、つつがなく終わってほしいと思っています。全国どこでも、同様の高校が多いことでありましょう。保護者の方々のご心配もあります。本校の先生方も胃が痛む思いであります。なんとか成功させてあげたいということであります。
今日も前回の続きでありますが、在校生諸君のような若い世代と接していると、どうしても教育というものを時間的に限定して考えがちでありました。社会との関係性という観点からは、一生を通じて教育は可能であり、また考えていかなくてはならないと思っております。特に役割を持って社会との関連をしていくということは理論としてはわかっていましたが、実感としてなかなか自分のものになっておりませんでした。
これから在校生諸君は、職業キャリアを形成して、社会との関係性の中で能力を発揮し、活躍していかなければなりません。社会的ネットワークを拡大し、アクティブな人生を送っていっていただきたいと思います。そのために、小学校、中学校、高等学校と長期にわたって学んできたわけです。これから大学に進学する人もいるし、短期大学、専門学校に進学する人もいます。就職する人もおられる。どれもたいへん貴重な体験をしていくわけです。
最近なぜこんなことばかり書いているかと言いますと、本質的に他者との相互作用の中で、あるいは社会性ということの中で、常に自己の成長を考えていただきたいと思っているからです。社会的役割を果たすことが、生きることでの最も重要な視点であります。
思うにわたくしたちは、保護者の方々や周囲の多くの方々との「関係性」で、人生をスタートしました。ハイハイだって、学習しながらできるようになったわけです。排泄もそうです。教えてくださる方があったからマスターできたわけです。小学校に入ってからは、学校という社会的なネットワークの中で、関係性を学び、自己を確立してきたわけであります。そして、それが高校まで続いているわけです。
そして高校時代は、おおまかであっても人生(職業)の方向性を決め、自己探索を始める時期でもあります。また、それまで育ててきた自己概念、とくに身体的な自己に対するイメージが変化して、それまでの感じ方・考え方では自己を捉えることが難しくなってくる時代でしょう。
幼児期から、成人期への移行期間でもあります。もはや子どもでもないが、大人でもないという時期でもあります。児童としての役割を放棄して、しかしながら成人としての役割も遂行できないということでもあります。この段差を乗り越え、児童期を徐々に捨て去る時代でもあります。
学校教育期間の長期化で、まだ高校時代には職業を持つことも許されません。自分で食べていくことができないわけです。自立したいのに、できないというジレンマで悩むわけです。クチでは保護者の方々に勇ましいことを言っても自信はないわけです。あまり勇ましいことを言うと、自分で稼いで大学に行く、高校に行くしかなくなってしまいます。そういうことを体験したからこそ、周囲の方々と調和して、頭を下げるべき時は下げた方がよろしいですよと申し上げたい。奨学金制度もいろいろあるからです。怒りはよくありませんよ。
そういうプロセスを経て、社会的役割の中核である職業的役割を得ていくわけです。それから家庭的役割をも、です。職業選択の過程と、配偶者選択の過程を考察することで、わたくしの考えてきたことは終わるようなものですが、これはまだまだこれからもここで触れてみたいことです。つまり、それ以降、今度は役割喪失期という時期が人生には誰しも平等に来るからです。こっちの方がわたくしには差し迫った問題でありますが、ね。
この辺でまとめましょう。
センター試験というのは、以上のような意味で、新たな関係性の取得をするための試金石であります。ですから尊いのだと思うのであります。
頑張りましょう!必勝を期して。