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僕の読書ノート「娘のトリセツ(黒川伊保子)」

2020-12-19 13:14:10 | 書評(脳科学・心理学)

反抗的になってきた9歳の娘の父親である私は、だんだん娘が手に負えなくなってきた。そんなときに、「妻のトリセツ」や「夫のトリセツ」で有名な黒川伊保子さんが書いた本書が出版されたので、すぐに購入した。父親が娘にどう接すればいいかが説かれた本である。娘は一時期、父親を嫌うようになるが、大人になると父が好きになるのだという。(ほんとうにそうなら、なんとかがんばってみようと思う)この本には、「今の娘」とあまり断絶しない方法と、「未来の娘」に愛を残すためのコツが書かれている。

まず、「今の娘」とあまり断絶しない方法としてあげられていることは、まず5W1H系の質問をしてはいけないということだ。娘だけでなく、妻も、いきなり5W1H系(いつ、どこ、なに、なぜ、どのように)の質問を受けると、脳が戦闘モードに入るのだという。つまり、責められていると感じるらしい。(私もコミュニケーションのきっかけと思って5W1Hの聞き方をしていたが、そういうことだとは知らなかった)対話には、「心の対話」と「問題解決の対話」の2種類があって、5W1H型の質問は「問題解決の対話」だという。家族の絆は、「心の対話」でないと紡げない。心の対話は、相手のことを尋ねるのではなく、こちらの話、つまり「話の呼び水」から始める。さらに、「話の呼び水」には、「相手の変化に気づいて、ことばにする」「自分に起こった出来事を話す」「相談する」の3種類がある。そして、「相手の変化に気づいて、ことばにする」には、4つのテクニックがあって、「褒める」「気遣う」「ねぎらう」「感謝する」を使う。しかし、「相手の変化に気づいて、ことばにする」は11歳ごろまではいいが、思春期以降は控えたほうがいいという。変化に気づかれるのも嫌らしい。(うちの娘は9歳だが、もうこの領域に入りつつあるように思う)「話の呼び水」として、弱音を吐くや、極めている趣味をやっている姿を見せるや、理系が得意な父さんなら物理学や数学のような壮大な話をすることでもいいという。さて、娘の扱いがこんなに大変になるのは、生殖ホルモンのせいであり、思春期とはそういうものだと呑み込むしかない。また、父親が臭がられるのは、免疫で重要なHLA遺伝子の型が異なる男性と結ばれたほうが、多様な遺伝子を持った適応の可能性の高い子どもを持てるようになるからであって、生物学的には理にかなったことだ。(ほんとうにHLA遺伝子の違いが嗅ぎ分けられるのか、まだ異論のあるところではあるが)

次に、「未来の娘」に愛を残すためのコツである。今の日本の母さんは、娘を理想像に押し込めたがる傾向が強いように見受けられるという。娘が自分らしさを素直に愛せるようになるのには、父親の助けが必要だと言っている。そのために父親は何をすればいいのか。父親は十分に娘を愛すればいい。何か特別なことがなくても、彼女を見つめて、嬉しそうにしてあげればいい。彼女のことばに耳を傾け、共感してやり、カワイイ、愛してるよと告げたらいい、ということだ。無条件の愛を、ことばや態度にするのだという。(ちょっとはやっているつもりだが、もう少しがんばってみるか)自我をコントロールできなくなると、完璧主義でコンプレックスに捉われるようになる。そうすると「夫源病」といって、夫のちょっとした言動が皮肉やマウンティングに聞こえてしまって、うつ症状を呈することもあるという。そうならないためにも、父親の責任は重いという。そして、身の程を知らせるために、自我のリストラのために、妻ファーストを貫くことを勧めている。それは、娘が将来、夫に全幅の信頼を持つためにも大切なのだという。

黒川伊保子さんのこれらの説がどれだけ普遍的なものなのかはわからないが、意識にとどめるようにしたいと思う。



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