散歩がてら近所のレンタル店に出かけて,CDを借りることはよくあるのだが,DVDを借りることはまずない。それには,基本的に新作映画は劇場の暗闇で観たい,というささやかなこだわりを持っていること,我が家のTVが14年前のブラウン管式で,暗い画面が苦手なこと,更に茶の間では家人が次から次へとテレヴィの前を行き交うために,なかなか画面に集中出来ないことなど,幾つか理由がある。
しかし劇場ではまず観られない旧作を観るとなると,どうしてもDVDのお世話にならざるを得ない。勇を奮ってDVDコーナーに侵入してみるまでは良いのだが,次に作品探しという高いハードルが待ち構えている。
とにかく「ジャンル分け」というやつが難敵なのだ。「コメディ」と「ラブコメ」の棚が二つ並んでいたりすると,「作品中に5個以上ギャグがあれば,ラブコメと定義する」なんていう基準があるのかしらん,と考え込んでしまわざるを得ない。
果たして,「恋人までの距離」が何故か「コメディ」に分類されていたある店では,「恋人たちの予感」が「人間ドラマ」に並んでいたのだが,こうなるとたかだかDVDのジャンル分けをするのに,作品の奥まで分け入って,定義付けに呻吟している店員さんの姿が浮かび上がってきてしまうのだ。
同じようなことは「SF」と「アクション」でも起こっている。当然のごとく「エイリアン」を「SF」の棚においていた店では,続編の「エイリアン2」が「アクション」に分類されていた。確かに「2」は,ジェームズ・キャメロン入魂の傑作であり,アクション映画の金字塔としてしっかり「アクション」と定義されることも,場合によってはあっても良いのかもしれないが,DVDを探す人にとってこれが親切な措置と言えるかどうかは,評価の分かれる所だろう。
そんな訳で,「ボーン・アルティメイタム」を観て以来大ファンになったポール・グリーングラスの表題作も,これまで4軒のレンタル店で探してはみたものの,「ポリティカル・スリラー」というジャンルも,「北アイルランド問題」という棚も見つからなかったことから,何年も巡り会うことが出来ずに今に至ってしまったのだった。
かようにずぼらで,面倒くさがりの私の前に現れたのが,TSUTAYAが大量のTVコマーシャルを打っている「DISCUS」1ヶ月無料キャンペーンのお知らせ。インターネットで観たい作品を探して予約すれば,2枚ずつ自宅に送付してくれるというサービスは,待望の「ブラディ・サンデー」をものの3秒で探し出してくれた上,申し込んで3日後の今日,自宅の郵便受けまでDVDを届けてくれたのだ。
早速観たグリーングラスの出世作は,手持ちカメラと素早い場面転換,複数の視点からのストーリーテリング,と後のヒット作に顕著な特質によって,U2も歌った(「サンデー・ブラディ・サンデー」)陰惨な事件の全貌を,冷静に描き出した傑作だった。
今後,大型書店「コーチャンフォー」に置かれている書籍検索システム並みの端末が,DVDレンタル店にも設置されるのかどうかは分からないが,DVDの森に入り込んでも迷子にならないための「パン屑」を得たことを素直に喜び,ここに感謝したい。
しかし劇場ではまず観られない旧作を観るとなると,どうしてもDVDのお世話にならざるを得ない。勇を奮ってDVDコーナーに侵入してみるまでは良いのだが,次に作品探しという高いハードルが待ち構えている。
とにかく「ジャンル分け」というやつが難敵なのだ。「コメディ」と「ラブコメ」の棚が二つ並んでいたりすると,「作品中に5個以上ギャグがあれば,ラブコメと定義する」なんていう基準があるのかしらん,と考え込んでしまわざるを得ない。
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