今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

婦人体温計をくわえて

2015年11月02日 | 計測

この私が婦人体温計を買った。

基礎体温を測って自分の排卵期を知りたいため、ではない(知れるものなら知ってみたい)。

入浴中の体温の変化を測るためだ。
なぜ婦人体温計かというと、普通の体温計に比べて、表示精度が1桁細かい0.01℃単位で、医療機器として認可されているその性能のためだ。

体温を正確に測るために、外気が触れる脇の下ではなく、口にくわえて舌下で測る。
だから真の体温(深部体温)に近いのだ。 
防水性があり、口にくわえやすくなっている。
風呂での使用に向いている。 

なぜ入浴中の体温を測りたいかといえば、入湯の最大の健康効果が、体温上昇による免疫力のアップにあると言われている※からだ(1℃程度の上昇がいいようだ)。

この言説、まことしやかに流布しているが、実証データにはお目にかかっていない。そもそも「免疫力」の指標って何?

人間は恒温動物で、体温調整機能がある。
それが数分の入湯で本当に体温が上るのか、上るとすればどのくらい上るのか、を知りたい。
自分の身で。

女性が基礎体温を毎朝測り続けるのはつらいようで、そのためたった30秒で手短かに表示される「予測検温」なる機能があるが、その値は不正確なので5分測る「実測検温」でなくてはならない(その不正確さは私も確認)。

入湯中は体温計を口にくわえているだけなので、いたって楽。
5分じっと待つのは退屈なので、ジップロックで防水したiPadで読書しながら湯に浸かっていればいい。
 そして5分たつとアラームで教えてくれる。
ただしその間、口は閉じて外気を遮断し、呼吸は100%鼻からにする。 

わが家の風呂は、温度と湯量が自動設定なので、入湯中の湯温は一定に保てる。
浴槽の設定湯温は40℃にしている(下らないようときたま自動的に加温される)。 
浴槽は長いので、首から下を湯内で伸した姿勢に保てる。 

この条件で、計測開始(いずれも5分後の値)。

その前に、入浴前に自室で測って、36.30℃。

浴室に入って、シャワーでかけ湯をして一回目の5分間の入湯で36.53℃。
浴槽から出て、洗髪などをして、二回目の5分間の入湯で36.94℃。
そのままさらに5分間入り続け、 じわりと額に汗がでた10分後で37.44℃。

気持ち的にはここで風呂から出たかったが、ためしにさらに入り続け、
汗がしたたり、鼓動が耳奥でひびくのを我慢しながら15分後で37.81℃。
ここが我慢の限界で、浴槽から飛び出した。 

すなわち、二回目の入湯10分後で入浴前より約1.0℃上昇、15分後で約1.5℃上昇した。

このような計測は実は数回やっているので、この傾向はある程度一般化できる。

まず、一回目の入湯での体温上昇効果は低く、二回目の入湯で体温はぐんぐん上昇する。
そして二回目の10分入湯で1℃上昇し、気持ち的にもこの程度が丁度いい。

15分入湯は湯温40℃でもつらかった。
やはり体温が38℃近くなると、正常な状態ではない感じになる。

体温の上昇率は二回目の5分~10分の間が一番高く、効率がいい。

10分~15分での上昇率が下ったのは、体温調整機能がフル回転したのだろう。
この作動を無理して突破しようとすると、調整機能が疲弊して、熱中症(のぼせ)になってしまう。

というわけで、私にとって、湯温40℃の場合、一度目は軽く暖め、二度目に10分入って体温を1℃上昇させるのがいいようだ(一般には深部体温1℃上げるには41℃で10分、40℃なら15分といわれているが、このように実測してみると少なくとも個人差があるので、自分の身で確認すべきだ。さらに2℃上げるとかえって体によくないと言われているので、その意味でも体温測定で管理したい)

今後は、湯温41℃の場合や入浴剤を入れた場合の体温測定をしてみる。


酸化還元電位の難しさ

2015年08月27日 | 計測

わが計測項目の1として、温泉などの酸化還元電位のデータを公表してきたが、

今一度酸化還元電位を勉強し直して、計測と解釈のむずかしさが今更ながら痛感した。

一番勉強になったのは、日本温泉総合研究所のサイトで、pHとの関連性の点。
電位が還元側に低くても、pHが高くアルカリ性だと、還元性は弱くなるということ。
なのでpHの値も一緒に示さないと評価はできない。 

また、公式の数値は水素電極によるものであって、市販の塩化銀電極の場合はおよそ200mV前後加算しなくてはならないということ。
すなわち、素人による計測値は約200mV分、酸化側なのだ。

換算表は別のサイトで入手したので、今後は換算値で発表すべきか。

そもそも、塩素消毒された温泉の湯や水道水は、ことごとく酸化系であることがサイトのグラフで示されている。


温泉の濃さが測れる

2015年08月26日 | 計測

私のもう1つの顔である”計測マン”のパワーアップはとどまるところを知らない。

今回、装備に加わったのは「マルチ水質測定器」(MJ-7200)。

今まで酸化還元電位、電気伝導率、pHをそれぞれ別個の計器で測っていたが、
これによって1つの計器でそれらが測定できる。
こちらは校正がちゃんとできるので(当たり前か)、信頼度が高い。

これを買った一番の目的は、「全溶存物質(TDS)」が測れること。
すなわち、温泉の”濃さ”が測れる。

いままでは比例関係にある電気伝導率で代用していたが、これからはダイレクトに計測できるのが嬉しい(ついでに塩分濃度も測れる)。

開封して、まず校正をしてから、家の水道などで、旧器と比較してみた。
電気伝導率を測っていたYK-23RPは数値が安定するまでに10分以上要したが、
こちらはるかに短時間で安定するので、ありがたい。

なぜ1台で異なる種類の計測ができるかというと、センサー部分が着脱式で交換できるから。
表示部分はセンサーに応じて自動的に切り替わる。

このマシンは台湾製。
なんでこの手の民生用測定器(気象計、水質計、線量計)は日本製がないんだろう。
日本製はバカ高い研究用か
あとは誰でも買う温度計レベルしかない。 

日本では、私のようにあれこれ計測する素人が極端に少ないのか。
みんな同じ行動様式だからなのか。
ご存知のように福島原発事故以降しばらくして、民生用の線量計がやっと発売されたが、
事故当初は線量計を持っている一般人はほとんどいなかった。
あわてて求めた人も、外国製しか手に入らなかった。
 その外国とは原発を稼働している国々。
すなわち、原発を稼働している国では、住民が線量計を持っていて当然なのだ。
熱中症を含む気象被害と温泉が多い日本なら、気象計と水質計も民生用で出回っていいのに。 


赤外線センサーを装備

2015年05月12日 | 計測

私こと”計測マン”の進化は留まるところを知らない。

計測の醍醐味は、見えないものを見る、すなわち不可視なものを可視化するところにある。
気温、気圧、放射線、電磁波しかり。 

そして今回、赤外線センサーを装備した。
これはサーモグラフィというやつで、物体から放射される赤外線からその表面温度を測るものだ。

外の景色に自分の右手を差し伸べた画像を示す。
温度分布はスペクトル表示され、白が最も温度が高く、次いで赤→黄と続き、濃い青がもっとも低温。
画面内では最低温度が8.2℃、最高温度が私の掌の33.5℃だ。
中央の○の温度(℃)の数値が左上に表示される(川の中)。 

これがあれば、可視光が見えなくても、闇に潜む怪しい人間の存在がわかというもの。

そう、私はプレデターグラボイズ2並みの感知能力を身につけたのだ。

もちろん本来の目的は、本業の心理学実験用に、ストレス時の皮膚温の変化を測るため。
でも実験以外にも、いろいろ使える。

それにしてもこういう手ごろな計測器って、ことごとく外国製。
つまり日本製は”民生用”が存在せず、バカ高い研究用しかない。

これはメーカーの責任ではなく、ユーザー側の問題だろう。
気象災害が多いのに、日本では、まともな気象計さえ、国産のものがない。
線量計も福島原発事故以降はともかく、事故以前は、”安全神話”ゆえか、 民生用がなかった。
当時購入したアメリカ製の民生用は、放射能事故についての対応がマニュアルに書いてあったのには驚いた(それが役立つとは当時は予想できなかった)。
もっとも日本では、体重計だけは進化がすごい。 


新居の「浄水」はホントに浄水か

2014年08月17日 | 計測

新居では普通の水道水のほかに、水道設備としての浄水器を設置し、浄水専用の蛇口をつけた(私個人は、そこまでこだわらないんだけど)。

せっかくなので、飲料や料理には浄水を使っている。

浄水器はもちろんメンテ費用がかかり、年1度の交換で1万円を超える。

こんな高価な設備なのだから、水質が水道水と違ってもらわないと困る。

正直、飲み比べても違いが分らない。

なので、例によって水質検査をした。

水道水と浄水のそれぞれサンプルを取り、

まずは残留塩素pH,Mアルカリ度を測る。

結果はともに、0.0,6.5,80とまったく同じ値。

まぁ、このへんは違いが出なくてもよろしい。

次に電気伝導度(≒ミネラルの溶存度)を測る。

水道水は21.9μS,浄水は21.3μS。ほぼ同じ。

まぁ、浄水は”ろ過”をしているだけなのだから、水道水より伝導度が上がることはない。だから、浄水の方がミネラルが豊富ということにはならない。
ちなみにこれらの値は、旅先の水道水と比べるとかなり低く、純水に近い。
強力な浄化処理の結果だろう。

また浄水器は、もともと少ないミネラル分は除去していないことも分る(パンフでもそう謳っている)。

いよいよ最後の酸化還元電位

水道水は+426mV,浄水は+249mV。

ここで明らかに差がついた。

電位は+に高いほど酸素が多く、-に高いほど水素が多い。

自然水の平均は+320mVで、+200以下が「還元水」といわれる。
殺菌処理が強いと+に大きくなる。

+426という水道水の値は、引越前の家の水道水+600よりは低い。
水道の浄水場が異なるためか(金町⇔朝霞)。

わが家の浄水器は、強く殺菌された水道水を還元水(水素水)方向に変換していることがわかった。
その値は、私が今まで測った水でいえば、奥武蔵の「吾野湧水」(+240),茶臼山高原の「矢作川水源水」(+270)に近い。いずれも人がポリタンク持参で有り難がって給水していく水場だ。

というわけで、浄水効果は合格点を与えよう。


「ひぐらし気象台」閉鎖

2014年07月29日 | 計測

自宅転居に伴い、私設「ひぐらし気象台」(東京都荒川区西日暮里4)は閉鎖する。

サイトには画面はアップされているが、データは7/27 19:17以降更新されない。

新居が落ち着いたら、名を改めて再開する予定(ただし測器の劣化により、雨量、湿度など一部データは計測不能)。

 


サーキュレーターの磁場に驚く

2014年07月02日 | 計測

冷房にはサーキュレーターを併用しないことで有名な私だが(その記事の閲覧者が多い)、

夏には、それほど暑くない場合、サーキュレーターをベランダの外に置いて、室内より低い外気を入れるのに使っている(あまり効果はないが)。

なにげに室内の電磁波を測ってみたら、サーキュレーターの稼働中の交流磁場がやたら強いというか、広いのに驚いた(電場はほとんどなし)。

大抵の家電製品は磁場を発するにしても本体からの距離10cm程度の範囲なのだが、このサーキュレーターは、本体から70cm離れても1μTに達し、
完全に磁場から抜ける(0μT)には130cmも離れなくてはならない。

こんなに磁場が広い家電は他にない。

ということは、
本体から発している磁場が相当強いはず。

磁場計をかざして稼働中のサーキュレーターに恐る恐る近づくと、
本体から数cmでなんと100μTを超えた!

IH調理器(5μT),電子レンジ(15μT)の比ではない(値は自宅の設備の実測値)。
この値、50Hz交流磁場の「一般公衆の被曝限度」に相当(放射線の年間被曝限度1mSvというやつと同じで、実害が発生する値ではない)。

日常的に経験しないはずの値だったので、サーキュレーターから離れて、急いでプラグを抜いた。

このサーキュレーター、郊外の大型店やDIY店によく並んでいる黒く丸いヤツで、Honeywell というブランドの中国製(プラスチック製の安物)。

私はもうこいつを使う気が失せた。
使うにしても今まで通り窓際に置いて体から130cm以上離す。

今後家電を買う時は、磁場計を持参して、実測してから買う事にしたい。


トルマリンを測る

2014年06月18日 | 計測

先日、竜ケ岩洞で購入したトルマリン。

トルマリンは電気石として、圧電効果、集電効果があるという。

ではどうすれば電気が起きるか。

シジミ大の小石群がビニール袋に入ったものを、ジャラジャラ手でもんで測ると-6kVに跳ね上がったので、一瞬すごいと思ったが、これはビニール袋の摩擦による静電気だった。

帯電しない布に入れてジャラジャラしても電気は出なかった。

熱湯に入れてみたがやはり電気は出なかった(=風呂に入れても出ない)。

日常生活レベルの負荷では効果が発揮されないようだ。

 


分杭峠の磁場を測ってみた

2014年05月27日 | 計測

日本全国にパワースポットと自称・他称する地は数々有れど、
珍しくも”ゼロ磁場”のパワースポットとして売り出し中の分杭(ぶんくい※)峠(長野県の伊那市と大鹿村の境)。
※:日本語の発音は清音が原音で濁音は清音の音韻変化(変異形)であることがほとんど(外来語は濁音が原音である場合が多い)。
濁音化は”言いやすさ”という実用的理由。だから分杭峠を「ぶんぐいとうげ」と発音するのは許容されるが、読みがなにして原音を否定してまで表に出るものではない。もっとも清音原理主義に進み過ぎると「ふんくいとうけ」となってちょっとやりすぎ。

そこがなぜゼロ磁場なのか、そしてゼロ磁場だとなぜパワースポットなのかは、私はあずかり知らないが、
そもそも、この地だけでなく”パワースポット”なるものを認定しているのは気功師たちらしい。
ここ分杭峠も、地元自治体(旧長谷村、今は伊那市の一部)が観光開発のために中国の著名な気功師の言質を得て売り出した。

一方、本業とは別に”計測マン”の顔をもつ私は、彼ら気功師とは別個に、計器を駆使した多重計測によって、
物理学的に実在するパワー(力)スポットを独自に探している。
両者の違いは「パワー」の定義で、「気」か「物理学的力」かによって認定基準が異なるのである。

なので分杭峠のパワーの根拠が、我が計器類では計測不能の”気”とやらなら、私は口出しない。
しかし”磁場(=磁力)”を謳うなら、きちんと科学的計測をすべきだ。
まずはこの私が喜んで測ってみようじゃないか。


というわけで、満を持して、5月25日、峠の麓の「入野谷」という宿に余裕を持って2泊して、じっくり”ゼロ磁場”とやらを測りに来た。
我が装備は、地磁場計、方位磁石、静電位計、電磁波計、ガイガーカウンタ(α~γ線)、
そして霊気計測に欠かせない”幽霊探知器(ばけたん)”。
また分杭峠の地下から汲み取った「ゼロ磁場の秘水」なるものが人気があるというので、
水の鮮度・濃度計測に使う、酸化還元電位計、電気伝導度計、pH・残留塩素・Mアルカリ度を測るチェック用紙も用意した。

ただ、その分杭峠には、自家用車では行けない(通行はできても駐車ができない)。
駐車スペースがないため、麓から有料のシャトルバスで往復するしかないのだ。
これは利口な観光戦略である。
乗鞍スカイラインと同じく、自然保護と観光客からのマネー調達の一石二鳥となるから。
観光開発のための資金投入も最小限ですむ。

翌朝、シャトルバス乗り場(栗沢駐車場)まで車で行き、
そこから不定期(平日の今日はおよそ50分間隔だという)のシャトルバス(往復650円)に乗り、
山深い谷を登り、残雪の仙丈岳(3033m)を垣間見つつ、10分ほどで峠に到着。


ほとんどの乗客が「気場」の案内の方に下る中、
私は斜面を上がってまずは石柱のある峠に立ち、そこで計測開始。
地磁気は45.8μT(0でない!),γ線は145nsv/h,静電位は0.0kv(以下静電位はいずれも0なので省略)。
γ線がやや高めだが、わがinspectorは高めに出るし、麓の宿と差はない。

ここから第一の気場と評判の水汲場に向う林道には、がけくずれのため「通行禁止」とあるが、
それは車用なので、無視して入り込む。
しばらく林道を歩いて、大きくカーブにさしかかった所が沢沿いの水汲場(写真)。
そこで測ると、地磁気48.6,γ線167。方位も正常。
沢に入って滝の下の水くみ用のホースが地中から出ている湧水をボトルに詰め、サンプルをとって水質を調べる。
電気伝導度は156μS(10.2℃)、Mアルカリ度は40,pH7.0,酸化還元電位は+350mV。
この電気伝導度の値は湧水として普通、酸化還元電位の値は、東京の水道水(+600)を一晩浄水器に入れた値に近い。
ちなみに、この湧水について「飲料水ではないので、必ず煮沸して飲むように」と丁寧な伊那市の立て札があるが、
普通に山をやっている人間は、塩素消毒をしていない山の湧き水をありがたく飲んでいるので(流水は飲まない)、私は無視して、がぶ飲みする(後日追加:当然ながらその後悪影響は出ていない)。

ここは”第一の気場”だというが、私は何も感じないので、
私が最も信頼するばけたん(霊気探知器)で探知すると、やはり「何もない」との結果。
ただし、沢沿いの濡れた岩にガイガーを置き、β線を測ったら407nSv/hもあった
(空間線量分を除くと250nSv/h程度。nSvはμSvの1/1000,原発事故以外の平常値はこの単位を使う)。
他にも上から崩れてきた岩を測ると300nSv/hを超えていた。
これらの岩は中央構造線の外帯側境界の三波川変成岩だ。

あちこち測っていると、バスの客たちがやってきた。
沢右岸のベンチの上におおいかぶさる木があり(上写真左側の目立つ木)、
その幹を一周する踏跡がある。
多くの人がその木を一周し、中には木にずっと寄り掛かっている人もいる。
私にとってもなんか「気になる木」なので、ばけたんを向けて探知したら、
「良い状態。守り神を期待」と出た。やっぱり。

私も”気”は出せるので(単なる生体反応で、特別のパワーではない)、掌から気を出しながら、
あたりの岩などに手をかざしてみたが、やや暖かい感覚(体温が反射したような感じ)があっただけで、
茶臼山高原のパワースポットの岩のようにビリビリくることはなかった
(別の機会に放射温度計で掌の労宮付近を測ると、気を出す前は33.8℃で、気を出すと34.1℃に上がった)。
磁場と水は平凡だが、岩と木は多少何かありそうだ。
といっても、その程度なら他のあちこちにある。

バス停まで戻って、近くの「気場」に行き、そこを測ると、地磁気42.2、γ線167。
私は何も感じず、ばけたんも「異常はない」。


以上により、
分杭峠の磁場はゼロではなく、この地域として普通の値を示している(地磁気は緯度が上るほと高くなる)。
そもそも断層のぶつかり合いによって磁場がゼロになるという理屈がおかしいので(これについては後述)、
私は端(はな)から信じていなかった。
愛知県東栄町の実際の地磁気異常地帯の方がよっぽどわくわくする。
静電位もなく、γ線も周囲のバックグラウンド並。
ただし一部の岩には多少の放射線が出ている。
湧水の水質も平凡で、普通の山の湧き水クラス。

なので、私は、分杭峠をパワースポットとは認定しない


分杭峠は、私の体には影響を与えたか。
4時間分杭峠にいた後、宿に帰り、宿の”妙水の湯”に浸かり、
落ち着いたところで唾液アミラーゼを測ったら75kIU/L。
リラックスしている値とはいえない。

地元が頼っているゼロ磁場の根拠を解説しているのは、知る人ぞ知る佐々木茂美工学博士。
氏によると、「断層の両側から、正方向と負方向の力は押し合って、局部的に零になり、
零場が形成されてこの周辺に未知エネルギーが集積されやすいことが判っています」(当地の案内パンフより)。
磁力は方向性をもつベクトルだ。
正方向と負方向の磁力を両側から向かい合せると、「押し合う」のではなく、
「引き合う」のが小学校での理科の実験結果。
それに力学的な力が”押し合う”なら、中央構造線は分杭峠-地蔵峠-青崩峠のような直線的な谷地形にならず、
その逆の山脈地形になるはず。
谷地形ということは、左右に引っ張られているのではないだろうか。

すなわち、磁力の向かい合わせと運動力学的な押す力とが意図的にか混同されている。
後者によって磁力が0になるという論理は物理学には存在しない(もちろん、実測で否定できる)。
それに「未知エネルギーが…判っています」※って、「未知」がなんで「判っている」の??という突っ込みもすべき。

そのエネルギーが何であれ、値が0なのに存在を確認できるのか。
素直に考えれば、磁場(磁)=ということだから、「パワー無い」という論理になるはず。


※後日追加:磁力とはN極からS極への一方向の力と定義されている
(その定常的な方向性を利用したのが方位磁石。磁石のN極が北を指すのは、磁北極がS極だから!)。
ある場所の磁場を0にする「未知のエネルギー」とは、
物理学が定義している磁力を相殺※2する正反対のベクトルをもつ「反磁力」なるものを想定しているようだ。
「反磁力」は物理学で存在を認められていないから「未知のエネルギー」となるわけか。
ちなみに、外部磁場と逆向きの磁場をもつ、ただしN→Sという極性自体は維持している「反磁性体」ならあちこち、われわれの血液中にもある。
もし分杭峠で磁性体の岩石と反磁性体の岩石とが向かい合っているとすれば(計測的には磁場は0になりうる)、
そこでは互いに反発しあうから(これが反磁性体と「反磁力」の違い)断裂したキレット状の地形になるはず。
「峠」は稜線上の単なる低鞍部なのに対し、「キレット」状は絶壁が向かい合う地形で車が通過できるようなのんびりした風景ではない
(→北アルプスの大キレット、八峰キレットなど)。
でもそもそも分杭峠の磁場は0でないし…。 


※2:更なる追記。青木孝志工学博士の研究によると、相殺磁場は磁気が0でも、
磁気から出る気は相殺されず強化されるという(青木孝志『気の探究と応用』(2019))。もっともここの磁場は0ではないが。

私の結論は以上だが、分杭峠の観光地としての価値は、次の記事で肯定的に評価したい「分杭モデルと命名」へ

分杭峠南の大鹿村に、私が認定したスポットがある大鹿村の新しい磁気スポット

私の計測による「0磁場」は、長野県の最南部、根羽村の茶臼山にあった☞茶臼山カエル館内の磁力スポット

そもそも地磁気を正しく測るには地磁気の正しい測り方


名古屋で放射線を測りまくる

2014年03月09日 | 計測

わが名古屋に放射線計測のプロがいて、その方が私の放射線計測のブログ記事を見たのが縁で、私の2台の計器を校正してくれることになり、
その作業として、マラソンで賑わう名古屋栄・久屋大通付近を計測しまくった。

校正というのは、本来測定したいγ線から宇宙放射線分を差し引いた部分を確定するために、計器の宇宙放射線に対する感度を探るというもの。

なので、宇宙放射線が少ない(周囲のγ線成分が相対的に高い)地下鉄の深度の異なるあちこちのホームで計り(各場所で2台とも5回計測)、さらに地上でもγ線が高いとあらかじめ分っている場所などで測った。
校正のための計算結果は後日教えてもらう約束。

プロが持っているのは、宇宙放射線をシャットアウトできる、地上のバックグラウンドを測る業務用(写真両端の2台)。

私のような素人でも手に入るものは、原発事故用の民生用(写真中央右アメリカ製と左ロシア製)。

今日一番勉強になったのは、測定場所の幾何学的影響で、平面でなく、2面、3面になっているとその分、入射量が増えて数値が高くなること。
要するに同じ地質でも平地より、山麓、さらに谷底のほうが値が高くなる。
もちろん大きな地形だけでなく、計測場所のミクロな幾何学的構造も同様に作用する。
その効果を自分の計器で目の当たりにした。

プロの指導を受けられたのは貴重な体験。

これで一歩、自称”計測マン”のレベルが上がる。


雷雨下の静電位

2013年08月21日 | 計測
21日午後10時、東京区部は激しい雷雨にみまわれた。

ロケーター(簡易電位計)で、空気中(室内)の電位を計ってみた。
通常は、-0.1kVだ(以下同単位)。
スイッチを入れると、-0.0から-04までの間を激しく循環する。
雨が激しく降り、雷が頭上で炸裂する頃は、-0.5の標示で固定。
雨はそのままで、雷雲が遠のきはじめると、また-0.0から-0.5までを循環し、
雷鳴が聞こえなくなってもその状態が続き、やがて-0.0から-0.2の循環に収束していった。
そして頭上からレーダーエコーが去ると、もとの-0.1固定に戻った。
大気の電位変化をリアルに体験できた。
この電位の変化は、強い雨滴によるものらしい。

それと、最初の近隣(文京・台東区あたり)への対地放電は、
雷雲がまだ遠く清瀬・練馬あたりにある頃だった
(東電の雷雲・落雷合成情報のサイトをリアルタイムで確認)。
すなわち雷雲がまだ数キロ以上遠くにあっても、頭上への落雷がありうるという事実を体験した。
やはり雷はこわい。

ナマジー設置

2013年07月08日 | 計測
計測マンの進化はとどまる事を知らない。

防災と電磁波の双方に興味をもてば、必然的に電磁波異常による地震予知の可能性に結びつく。
すでにラドンガスの常時計測による地震予知の試みは開始している。

地震前兆の宏観現象は科学的には立証されていないが、観察・観測事例はたくさんあるので、
可能性としては期待できる。

天山プロジェクトによる地震予知前兆感知器”ナマジー”の1世代前のものを、
ネットで格安に入手できたので、さっそく名古屋宅で作動してみた。

すると、突然画面のナマズ(ナマジー)が赤くなり、警告を発した。
なんとその時、神津島・新島でM1の地震があった。

ちょっと敏感すぎ?
警告の中身は、静電異常だった。
本器は設置環境による正常値を学習するというので、
まだその期間かもしれない。

ただ、天山プロジェクトって今でも稼働中なのか、
サイトをみると更新されていないので、ちょっと心配。

東濃の高放射線帯を走る

2013年06月22日 | 計測

全学対象の『安全学』の担当授業を終え、
わが定宿(じょうやど)、岐阜・中津川にあるホテル花更紗に”湯治プラン”で滞在する。

温泉ソムリエになって初の温泉であるため、
今までとは違った玄人的態度で温泉を楽しみたい(これについては追って記事にする)。

幸い、”お篭り”を要する論文原稿も締切はまだまだ先。
今日の安全学を終えて、新たに作成すべき講義ノートもなくなった。
そして昨日の茄子日のうかれた気分に、
本日の富士山世界遺産祝賀も加えて、おおいに心身を開放したい。

さて、定宿へのドライブルートは、毎回同じ「中馬ハナノキ街道」(国道363号)なのだが、
年に幾度も通っているこの道沿い(瀬戸市から中津川市まで)が、
日本有数の高放射線地帯であることを、産総研の「地質図Navi」(すごい情報量)のサイトで知った。

そうと解れば、私の幾つもある正体の1つ「計測マン」として素通りするわけにはいかない。
今回温泉旅の目的の1つに、ハナノキ街道沿いの放射線量の計測が加わった。

愛車ローバー・ミニの屋根に革の旅行鞄をくくりつけ、
小さな車体に似合わぬ重いエンジン音を響かせ出発。
助手席に福一原発事故で活躍したガイガーカウンターを立て掛け、スイッチを入れっ放しにする。

ちなみに私のガイガー(アメリカ製Inspector+)はγ線だけでなく、
α線もβ線も(X線までも)あえて拾うようにしてあるので、
他のγ線のみの計器より線量が高めに出る(その方がいい)。
その測定では、勤務先や棲み家のある名古屋東端は多くて140 nSv/h(ナノシーベルト時)
(以下同単位。ちなみにμSv/h(マイクロシーベルト時)で記すと0.14)。
私は、自然放射線はμSv/hの1/1000のnSv/hで表すべきだと思っている(μSv/hは放射線事故時の屋外)

まずは、瀬戸市から山を越えたばかりの岐阜県土岐市鶴里町雨沢にある白鳥神社前。
ここは(尾張・三河・美濃にまたがる)三国山北麓ののどかな里山。

適当に決めた計測ポイントで停車して車外に立ってきちんと計測する(高さを地上1mに固定)。
放射線は確率論的現象であるので、本来は5回計ってその平均値を出すのだが、今回は数分間表示している間の最大値を記すと、253(以下同じ方法)。
名古屋ではいくら最大値でも200は絶対越えないので、やはり高い。

さらに進んで、最近日帰り温泉施設がオープンした曽木温泉前の足湯付近で215。
ちなみに曽木温泉の泉質は「放射能泉」。

瑞浪市に入るとハナノキ街道自体は陶(すえ)のバイパスから明智に向かうのだが、
これだと回り道になるので、私は山岡に抜ける間道を通る
(しかもNaviによると明智付近は周囲より放射線量が低い)。

その道沿いにある白山神社脇の池がお気に入りスポット。
その池畔で測ると、なんと300を越えた。
池畔に氏子たちがわざわざ置いた「止氏岩」が花崗岩質で、
その岩にガイガーをかざすと395まで上がった。
はやり花崗岩のしわざか。

中津川市に入り、阿木の上の広岡という風光明媚なお気に入りスポットで239。
根ノ上高原の入り口で251。
ここから恵那山の麓に降りる有名な酷道(!)部分は工事中で通行止めなので、
根ノ上高原から中津川に降りた。

Naviの地図上でもここから先は一段低い地帯。
実際、中津川市神坂にあるホテル客室内(4階)で最高170。

以上の結果、ガイガーを持参しながらも今まで素通りしてきたハナノキ街道沿いは、
ことごとく200nSv/hを越えていた。
ちなみに地質図Naviではこの一帯は、γ線だけの値で「127nSv/h以上」という国内最高ランクの分類。

200nSv/hといえば、2011年3月17日、すなわち福一事故の放射能塊がやって来た東京の実家付近で計測した値だ。
その感覚でいえば、顔面蒼白になる異常値だ。
といっても、実は関東はローム層のせいでもともとが低いのだ。
世界的には、東濃もそれほど気にするほどではない。
実害がないことは昔から人が住んでいるこの地の住民がご存知のはず(後日、岐阜県の市町村別ガン死亡率のデータを確認したところ、東濃諸市と他地域との差はなかった)。


電磁波を正しく測るには:書評

2013年06月02日 | 計測
電磁波の影響を測るには、ただ計測器の値を読めばいいというわけではない。
まずは電界と磁界の区別、
そして交流と直流の区別、
そして交流での周波数の区別、
さらに電圧と電流の効果の違いも考慮しなければならない。

”電磁波”問題は、放射線とは若干異なった傾向がある。
ネットで検索すればわかるが、電磁波(磁界)の危険をやたらアピールしている人たちには、
物品の販売と結びついている一群がある。
彼らは、電磁波を心配しているのではなく、
心配している人たちの不安感をあおって計器や防磁グッズを販売している。

ところが、ネットでは、まったくその逆に磁気の健康効果を謳っている一群も
大きな勢力となっており(歴史的にはこちらが先、なにしろ古代ギリシャからだから)、
こちらもまた物品の販売と結びついている。
放射線におけるホルミシス派が弱小なのとは、ここが多いに異なっている。

さて、怖がりすぎ・怖がらなさすぎのどちらにも偏らず、正しい対応をしたいわれわれは、
電磁波の効果と実態を先入観なく科学的に理解したい。
そのためには、電磁波の健康効果についての研究の評価と、
正しい測定方法を学ばねばならない。

それに適した書が『電磁界の健康影響』(三浦正悦 東京電機大学出版局)。
この書は副題に「工学的・科学的アプローチの必要性」と記しているように、
素人の非科学的な電磁波測定を一刀両断している。
たとえば電磁波測定の入門機「トリフィールドメーター」(私も使用)の使い方のネットでの誤用例を具体的に指摘している。
あるいはネットで恐ろしげに紹介されている”送電線の下で蛍光灯が点灯する”現象(と白熱電球では点灯しない理由)を冷静に解説している。
本書では電磁界(おもに磁界)の健康影響について、直流と交流(低周波、高周波)、
そして紫外線・放射線と分けて説明している。
電磁波の健康影響についての調査研究の紹介は公正に両論併記しており、結論を急がない。
個別の研究については、科学的な批判が可能な場合はきちんと批判している。
科学的批判力のない者は、1つの研究結果を鵜呑みにすることしかできない。

電磁波に健康上の問題があるという研究を批判するだけではない。
たとえば蛍光灯・ハロゲンランプによる紫外線による発ガン性研究は
「調査が不十分なため、問題ないという報告を紹介できない」としている。

OAエプロンなど部分を覆うだけの防磁グッズには防磁効果のないことも、正しい検証方法とともにデータで紹介している。
むしろ、マイナスイオンを発生させると謳っているものについては、
微量の放射性物質が含まれている可能性を指摘している。

既存の研究だけでなく、著者自身による日常生活場面での計測結果も、
自分の安い計器(あるいはiPadのアプリ)の信頼性確認の参考になる。

計器が実際に何を測っているのか、それをきちんと理解すること。
当たり前だがこれが計測の大前提だ。

レーザー放射温度計のすごさ

2013年05月30日 | 計測
「放射温度計B レーザーポイント機能付」を購入した。
暑くなる時期、室内の鉛直温度分布を座った位置から細かく測定したかったからだ。

この温度計のレーザーはあくまで測定先をピポイントで確認するためだが、
肝心のセンサー部分はどこまで届くのか。
他の赤外線温度計(サーモグラフィ)では、雲底温度も測れるらしい。

この計器ではどうかと思い、
頭上の曇天の雲底に銃口のようなセンサー部分を向けて、
引金状のスイッチを押すと、「17.8℃」という温度表示が出た。
ちなみに地上の周囲の気温は21.5℃。
わが私設気象台の露点温度から雲底高度を計算すれば、
地上から雲底までの気温減率が計算できる。
これは楽しい。

雨が明けた今夕。
頭上の青空に放射温度計を向けてスイッチを入れてみた。
すると値は「-45℃」。
「これはすごい!」と思わず叫んだ。
上空12000mの230hPa面近の温度だ(浜松のエマグラムで確認)。
成層圏近くまでセンサーが届いたらしい(ちなみに測定できる低温限界は-60℃)。

これを使えば山麓から山頂の山肌の温度も測れるかもしれない。
火山も測り甲斐がある。
箱根の大涌谷で測ってみたい(測定できる高温限界は500℃)。