年度末慰労の温泉旅第三弾は、日光湯元温泉(栃木限)。
先の地震で東京電力管内が電力不足の中、関東に思わぬ寒気が入り、栃木県は雪。
その雪を縫って、私は東武特急”けごん”に乗って、一路日光に向かう。
東京は雨だったが、埼玉の春日部から雪になり、標高500mの日光は完全な雪景色。
本日に宿を予約したのだから仕方ない。
東武バスで終点の日光湯元温泉に向かう。
実はこの時期ならではの湯元温泉旅なのである。
日光駅から、いろは坂、中禅寺湖、戦場ケ原を経て、日光最奥の湯元温泉までの東武バスのフリーパスチケット(往復使える)は、冬期(3月末まで)は、宿泊者に限り半額なのだ(3000円→1500円)。
冬期の平日でもバスの便は30分ごとにあるので、途中の日光山内、華厳の滝、明智平など自由に途中下車できる。
それを見越しての今回の旅だったが、あいにくの降雪。
なので寄り道せずに湯元温泉に直行した。
宿は休暇村で、湯ノ湖の湖畔にある。
客室から、オットマン付きのイスに坐って、雪の湖畔を眺めながら持参したノートパソコンで記事を打っている。
雪は夕方に止んで青空が出てきた。
外に出てみたら今回の降雪量15cmほどが積雪に加わっていた(写真)。
宿の温泉は、源泉が近くにあり、掛け流し(源泉が70℃以上の高温のため加水はしている)。
泉質は硫化水素泉なので、硫黄のにおいがして、湯は薄緑から薄青に変色する。
浴槽には薄黄色の湯の華が隙間なく密着している。
かように”THE・温泉”という雰囲気たっぷりの湯に浸かりながら、雪の舞い散る中、露天で雪見風呂と洒落こむ。
雪の中の露天だと”頭寒足熱”が維持されるので長く入れる。
日光地域には温泉はいくつか有るが、泉質から本物といえるのは湯元温泉。
それにしても”硫化水素”って天然の毒ガスで、噴気地帯では死者が出るし、集団自殺に使われるほど致死性がある。
浴室にはそれが薄い状態で漂っている(通気性をよくするため、浴室入り口はドアが開放されている)。
館内にも薄く硫黄臭が漂い、室内の金属も腐食している。
かように希釈された毒ガスの溶液に、わざわざ遠方からやってきてお金を出して有難がって浸るのは、放射能泉と同じく、ホルミシス効果があるからなんだろう。
宿にいる間は、あがり湯はかけず、硫黄の香りがする硫化水素成分をゆっくり肌に浸透させる。
大学の用事(準備)もほとんど済ませたので、今晩は仕事を忘れて、湯と食事を堪能したい。