七釜温泉でカニ三昧

2025-03-08 17:57:26 | その他旅行き
宿はなかなか古い建物。
早くに予約を入れたからか、一番奥まった部屋に通された。
部屋に風呂は付いておらず、洗面台、トイレも供用。
部屋にはこたつがあった。
こたつなんて久しぶりだなあとまずは足を暖め、茶菓子をいただいた。
最近のこたつは天面全体で暖めるんだね。
網で囲われた電熱器の出っ張りがなくて驚いた。



早く着いたので夕食前に温泉に入った。
浴室は少し狭めで、石を埋め込んだ飾り壁が時代を感じさせる。
そして天井が真っ平だった。
故に至る所にしずくが落ちてくる。
温泉に入る時は露天風呂であっても頭にタオルを乗せる派だ。
久しぶりに実質的な役に立った。
泉質は旧泉質名で言うところの石膏泉で薄濁りのお湯だった。
夕食直前だったからかうまく一人きり、ゆっくり温まった。



さあ、いよいよ今回の旅の目的、カニづくしの夕食である。
これまでの人生でたぶん一番の贅沢な食事となった。
料理は一品づつ持ってきてくれるシステムではなく、すでに全てがテーブルの上にセットされていた。
これはこれでどれだけの量を食べなければいけないかが分かって、自分の優先度で手を伸ばす料理を選択できてよい。
浜坂産のカニであることを示すタグが4枚あったので、一人2杯。
全ては食べ切れないな。





最初に食べたのは生のカニ。
舌の上でもっちりとろりと上品な甘味が広がり溶けてゆく。
いや、舌だけでなく口腔内壁全体でその濃厚さを感じ取ったと言った方がいい。 
こりゃまた美味いもんがこの世にはあるもんだな。
これまでカニを食べた時は、ふむふむ、カニって美味しいな、と言う程度の満足感だった。
カニに似せた「ほぼカニ」の口当たりをカニと認識していたような感じ。
そのカニの味の概念が変わった。
これから食べる普通のカニとどうしても比較してしまうことになるなあ。





鍋で食べる用に盛られたカニは生でも食べれるそう。
このカニの一番太い足を最初に食べたのだろう。
一本づつ鍋に入れて半生くらいで取り出し食べた。
次の衝撃は甲羅にまとわりついたカニ味噌であった。
さらに濃厚な旨味が怒涛の如く押し寄せる。
何の嫌味も癖もないただただ純粋な旨味の塊だった。
これが焼きガニと茹でガニで風味の相違する2杯分あるという贅沢。
鍋で茹でたカニは普通ポン酢につけて食べると思うのだが、カニ味噌スープを飲んでしまうのではなく、取り出したカニ身をカニ味噌に浸して食べるという、旨味に旨味を重ねる手法を連れに教わりやってみた。
至福の時であった。



合わせた酒はもちろん日本酒。
香住鶴と文太郎の二品を扱っていて、それぞれの味の特徴を聞くと、香住鶴は歴史ある酒で甘口、文太郎は地元である新温泉町の新進の酒蔵が醸す酒で中口とのこと。
文太郎にしてみた。
飲んでみて驚く。
確かに中口、でもとても強い。
ガッツリと攻め込んでくる。
これはなかなか個性的な。
カニの濃厚さに負けない力強さで、カニ宿の酒の選択の確かさよ。



食事は広い座敷をカーテンで仕切って個室状態で食べさせてくれる。
先に食べ始めた隣のお客さんと宿の女将さんとの会話が聞こえる。
食べ残したカニはボイルして持ち帰る事ができるよう。
我々も食べ切ることはできず、まだ鍋に入れていない大量の野菜とともに持ち帰ることにした。
少し荷物になるが発泡スチロールの箱に保冷剤とともに入れてもらうことにした。
ご馳走様でした。