写真は茨城県の那珂湊にある湊公園の一番高いところから見た筑波山だ。普段は南側から拝見させていただいている。この写真は北東からの眺めになる。夕焼け時オレンジの濃淡の利いたグラデーションの中に、そして漆黒の海の上に頭を出すように佇んでいる筑波山。これから安らかな深い眠りに入るようである。
この写真から撮影基点となった湊公園までの空を次に載せよう。オレンジとブルーが交互に並んでいる様子が分る。オレンジ色の部分は雲で、自身の白を夕焼け色に染めているのだ。手前の川は、その基点を100km離れた栃木県那須塩原市の深山湖に持つ那珂川である。
湊公園からの景色。対岸は大洗町。
ここで写真を撮っている時に、散歩をしている人に聞いてみた。ここの空では、この写真にあるような空がよく見られるかである。そうしたら、1年に1~2回見ることができるのだそうだ。この景色が気に入ったゆきたんくにとってはラッキーだったと言えるだろう。このように心休まる光景を持つ土地の昔はどうだったのだろうか。湊公園から少し離れた所に、市の史跡があった。ひたちなか市指定史跡の「反射炉」である。
反射炉
幕末に那珂湊沖に出没する異国船に、海防の要ありと判断した水戸徳川家9代藩主の斉昭は領内各地に砲台を築いた。その大砲を鋳造するために反射炉を建設したのだそうだ。来るべき危機を先見し、実に計画的な方法で海防を実現したことは素晴らしい。写真の反射路は乱で破壊され、昭和12年に作られた模型である。
備えあれば憂い無し。心安らかにするための格言である。