私は東京の調布市の片隅みに住む年金生活の75歳の身であるが、
私が今住んでいる近くに生家もあり、私自身としてはこの地域に住んで、
結婚前後5年を除き、 早や70年が過ぎている。
そして私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭であり、
雑木の多い小庭の中で、古ぼけた一軒屋に住み、お互いの趣味を互いに尊重して、日常を過ごしている。
こうした中、私たち夫婦はお互いに厚生年金、そしてわずかながらの企業年金を頂だいた上、
程ほどの貯金を取り崩して、ささやかな年金生活を過ごし、早や丸15年が過ぎている。
私の住む地域に於いては、毎年、11月3日の『文化の日』の頃から、
あまたの落葉樹の葉は、朱色、紅色、黄色などに多彩に染め始め、
やがて11月23日の『勤労感謝の日』の頃になると、
周囲一帯までは朱色、紅色、黄色、茶褐色などに染められる錦繍(きんしゅう)の情景となっている。
この後、黄色に染められた公孫樹(イチョウ)の樹が、数多くが彩(いろど)っている。
まもなく青空の中、 数多くの葉が空中をさまように舞い散る情景を眺めたりした。
そして公孫樹(イチョウ)の葉が、地上に絨毯のように彩って、
晩秋が終わり初冬の季節を迎えるのが、毎年の習わしとなっている。
今年は温暖な秋が過ぎた為か、私が秘かな晩秋の別れとしている公孫樹(イチョウ)が、
青空の中、数多くの葉が空中をさまように舞い散る情景が、少しばかり遅れて、
散り始めている・・。
こうした情景を眺めてきた私は、都心の名所の『いちょう並木』は、テレビで盛んに放映されているが、
果たしてどのようになっているか、気になり、私は久々に昨日の昼過ぎに都心に向かった。
私は現役サラリーマン時代、所在地が六本木の時は20数年あったりしたが、
ほど近い明治神宮外苑にある『いちょう並木』は、訪れたことはなく、
未知の世界であった。
やがて地下鉄で外苑前に到着後、まもなく『いちょう並木』の情景は、観られたが、
すでに大方は散り終わり、都心は晩秋に別れを告げて、初冬を迎えていた、
と教えられ、微苦笑したりした。
そして初めての明治神宮外苑を私は散策して、
初めて絵画館、館内の恐れ多くも明治天皇の足跡の数多くの絵を鑑賞したりした。
この後、退館した後、来る東京オリンピックに向けた建設中の国立競技場が観え、
やはり巨大な建物だ、と実感させられたりした。
この後、JRの千駄ヶ谷の駅に向かって歩いている中、
晩秋の残照のような情景にめぐり逢えて、私はプレゼントを頂いたように、
微笑みながら駅に向かった。