所用で東京へ出かけていた。不安定な天気だった。用事が済んだら買い物でも と思ったいたが、どうもその気にはなれなかった。神経のつかれらしい。新幹線を1本早くして明るいうちに帰ることにした。小田原駅でおじさまのように?れ栄養剤を飲んだがどうもダメな感じだ。久しぶりに車窓の景色を見る。あれ、あんなところに海が見えるのだった。このままずっと電車に乗ってどこまでも行きたい気分だった。どこまでも。
東京では、お友達に会った。長浜に越す前に会うことができなかった。よく面倒を見てくださったので申すわけない気持ちだった。彼女は民生委員をしていて、住んでいる団地でもさまざまな催しに関わっている。その日は、特別老人ホームの講演会に行ったという。さまざまな知識がないと、よりよい介護の方法が見つからないという。相変わらず、人の面倒を看ることに追われている。「だって、1日家にいると気がめいるのよ。マイナスなことばかり考えてよくないから」という。確かにそうだと思う。「仕事を辞めたら、あれもしたい、これもしたい と思っていたが、働き続けた私たちはだめみたいね。悲しい性だわね」
男性のリタイヤーより働き続けた独身女性は、なにかをしていないと気を病むかもしれない。男性は配偶者がいることが多いから、ああだ、こうだといわれながらもなんとか暮らしていけるのだろう。経済的な面でも女性の独身者は老後の不安が大きい。まわりでも、配偶者の亡くしたカップルが籍は入れなくても、お互いに助け合って生活していることが多い。なんとなくほかほかしていて羨ましく見ている。
特別老人ホームの説明を彼女がしてくれた。今は民間の老人ホームが増えているから、だいぶ前とは違うという。そうか、早めに考えておかないといけないのか・・・。どうも自力で生活してきた女の最期は「あはれ」かももしれないが、でもね・・・・。