花火の余韻で午前中は元気だった。風があって過ごしやすかったせいもあるのだろう。午後は例によってぐだらぐだらの生活になる。特に編集の仕事にはいると創造意欲が生まれない。考えている時間が長い。すぐ横になる。そして、この座る生活がいけないと 言い訳になる。夕方になると足が痛いので散歩にでる。だいぶ日が翳って帽子はいらない。芙蓉の花が咲くというお寺まで出かけた。まだ、少し早かった。違う道を通って行くといろいろなお店を発見する。古本&古道具の店。仏壇屋さんも多い。そんななかに洒落たカフェがある。この町は本当におもしろい。
お寺の前に歌舞伎門のある家があった。『歌舞伎門』が大きな壁だったことがある。何回もぶろぐに書いているが、大学時代からずっと引きずったY氏の家は大きな歌舞伎門のある家だった。本家と離れがその門のなかにあった。彼は離れのほうでのびのびと?おばあさんと住んでいた。もう、40年以上前の練馬のそのあたりは、田んぼと自衛隊の基地と米軍基地があった。私は3年前に文京区から埼玉のど田舎に越したので、そのコンプレックスで彼とは不釣りあいで結婚は無理と考えた。歌舞伎門が壁だった。何年もして親友のYちゃんは「まちこさん、いくら歌舞伎門のある家といっても、元華族とかそういうお家柄ではないんでしょ。うちのほう(塩尻)Iなんて歌舞伎門はめずらしくないのよ」でした。
私にとって林町の家(文京区)を失ったことは、この年になって長浜に越したことまでつづいていたのだなぁ と町を歩いていて思う、板塀の家、細い路地、神社やお寺の佇まい。迷って、迷って、辿りついたこの町。それまでは苦しかったなぁ。
秋の空が広がっていた。今日はちょっとさびしい。