新幹線の冷房のせいか、ホテルの冷房のせいか体がだるく、なんとなく風邪っぽい。今日、やっと地元の銀行に口座を開設できた。公共料金などが、関西の銀行でないと引き落としができないので不便だった。家に戻って一息つくと、ポツポツと屋根に落ちる雨音がした。その10分後くらいに大きな雷の音がして、ざあざあ降りになった。滝のような夕立だ。外へ出て行きたくなる衝動に駆られる。
諸々の疲れが出てきたので、今日はお休みにした。冷蔵庫も空なので買い物に出かける。そうだ、芙蓉の寺で写真を撮ってから行こう。外は激しい雷雨のあとのわりには涼しくなく蒸し風呂のようだ。「酔芙蓉」のいう言葉を聞いたのは、「風の盆恋歌」の中に出てきたからだと思う。芙蓉は朝は花が白、昼がピンク、夜が赤くなるというので、お酒に酔うようだ ということらしい。ストーリーもあまり好きではないが、不倫の名作?と言われている。それで気が付いたのは、いままで夕方寄っていたので花がしぼんでいたことだ。1日でしぼんでしまう花だ。寺は蝉の声でいっぱいだった。予想通り、花はしぼんでいた。お酒に酔った芙蓉は写真に撮れないのだろうか。
睡眠薬代わりになっていた白洲正子の『近江山河抄』を今日は読むことができた。訊ねたことのある土地や寺、これから行きたい土地が次々と出てくる。琵琶湖を中心としたこの古代文化の発祥の地、近江は実に興味深い。様々な文化が混在しているが、そのおおらかさを感じる。私が琵琶湖に惹かれたのは「海」ではなく「湖」だからかもしれない。湘南に住んだのは、海を見るのが好きだったからだが、それとは違う魅力に気が付いた。
「湖」は対岸が見える。湖西線の湖岸からも琵琶湖線の湖岸からも、私が見た限り対岸が見える。「対岸」が何を意味するのかわからないが、手を振ると対岸から手を振ってくれるような気がするのだ。