日系とおぼしき男性が、i-padを片手に店に入ってきた。
i-padからは大音量で音楽が流れている。
♪ ふたりをぉー ゆーーやみがぁー つーつむぅ その窓辺でーー ♪
このアーティストの名前と歌のタイトルを教えてほしいとおっしゃる。
よく知った顔の男性のライブ映像と、よく知っている歌を聴きながら、
でもどうしても名前が出てこない。
あいにくその日は、日本人のスタッフは私だけ。
あとのスタッフが日本人だったとしても、みんな二十代前半の若者ばかりで、知る由もない。
「お父さんが上原謙という俳優なんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「伊豆っていう半島にこの人の名前の美術館があって、行ったことがあるんだよね」
「芸術家なの?」
「本職は俳優で、歌手でもあって、絵もすごく上手なんだよね」
「ふーん、で、名前は?」
ロコの同僚は気長に相槌を打つ。
「あ、そうだ、若大将!」
「それが名前なのか、やったね!」
「・・・・・・・・・・いや、これは映画の中の役でそう呼ばれていた・・・・」
同僚は、要領を得ない私に業を煮やしたか、自分のスマートフォンを取り出し、
音楽をサーチできる機能とやらで検索し始めた。
青大将の田中那衛さんの名前はスラッと浮かんでくるのに、若大将は霧の中。
「じゃあせめて歌の題名だけでも思い出せない?」
曲をサーチしながら同僚が聞く。
「うーむ・・・叔父さんが好きで、よくカラオケでこれを歌ったんだけど」
「そうそう、思い出せるところから思い出そう」
「台詞が入るんだよ、くさい台詞が。しあわせだなぁー、ぼくは、とかいう・・・・」
「台詞が入る歌なんかあるんだー、なんていうの」
「ぼかぁ しあわせだなあ、君といるときが一番・・・あっ!!!」
「なに!」
「君といつまでも! 君といつまでも がタイトルだ!」
「じゃあそれで検索したら・・・」
「あー!!加山雄三!!!!!!」
記憶の扉が開いて、ころっと名前が出てきた。
日系の男性は喜んで、このCDを所望されたのだが、残念ながら店にそれはなかった。
すると次の映像を出して、
「じゃあこれは?」
♪ こいびとよーーーー そばにいてー ♪
記憶の扉が開いているせいか、今回はすらすらと出てくる。
「これはですね、五輪真弓という人で、歌は『恋人よ』 です」
あいにく、そのCDもなかった。
ローマ字で二人の名前と、歌の題名を書いて男性に渡した。
加山雄三が出てくるまで長かった・・・・・
にほんブログ村
i-padからは大音量で音楽が流れている。
♪ ふたりをぉー ゆーーやみがぁー つーつむぅ その窓辺でーー ♪
このアーティストの名前と歌のタイトルを教えてほしいとおっしゃる。
よく知った顔の男性のライブ映像と、よく知っている歌を聴きながら、
でもどうしても名前が出てこない。
あいにくその日は、日本人のスタッフは私だけ。
あとのスタッフが日本人だったとしても、みんな二十代前半の若者ばかりで、知る由もない。
「お父さんが上原謙という俳優なんだよ」
「へえ、そうなんだ」
「伊豆っていう半島にこの人の名前の美術館があって、行ったことがあるんだよね」
「芸術家なの?」
「本職は俳優で、歌手でもあって、絵もすごく上手なんだよね」
「ふーん、で、名前は?」
ロコの同僚は気長に相槌を打つ。
「あ、そうだ、若大将!」
「それが名前なのか、やったね!」
「・・・・・・・・・・いや、これは映画の中の役でそう呼ばれていた・・・・」
同僚は、要領を得ない私に業を煮やしたか、自分のスマートフォンを取り出し、
音楽をサーチできる機能とやらで検索し始めた。
青大将の田中那衛さんの名前はスラッと浮かんでくるのに、若大将は霧の中。
「じゃあせめて歌の題名だけでも思い出せない?」
曲をサーチしながら同僚が聞く。
「うーむ・・・叔父さんが好きで、よくカラオケでこれを歌ったんだけど」
「そうそう、思い出せるところから思い出そう」
「台詞が入るんだよ、くさい台詞が。しあわせだなぁー、ぼくは、とかいう・・・・」
「台詞が入る歌なんかあるんだー、なんていうの」
「ぼかぁ しあわせだなあ、君といるときが一番・・・あっ!!!」
「なに!」
「君といつまでも! 君といつまでも がタイトルだ!」
「じゃあそれで検索したら・・・」
「あー!!加山雄三!!!!!!」
記憶の扉が開いて、ころっと名前が出てきた。
日系の男性は喜んで、このCDを所望されたのだが、残念ながら店にそれはなかった。
すると次の映像を出して、
「じゃあこれは?」
♪ こいびとよーーーー そばにいてー ♪
記憶の扉が開いているせいか、今回はすらすらと出てくる。
「これはですね、五輪真弓という人で、歌は『恋人よ』 です」
あいにく、そのCDもなかった。
ローマ字で二人の名前と、歌の題名を書いて男性に渡した。
加山雄三が出てくるまで長かった・・・・・
にほんブログ村