太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

車を手放すとき

2019-07-04 12:21:33 | 日記
夫が、車を替えた。
今日まで乗っていたのは、ホンダのCRVの2004年式。
私達がハワイに戻ってきたときに、ちょうど義父が車を買い替える時で
義父が乗っていた車を買い取った。
それから8年、特にこれといった故障もないが、
走行距離は軽く10万キロを超えた。
いかんせん、そう遠くない将来、買い換えることになるだろうと思っていた。

4日前、家族で食事に出かけたときに
義父が車を買い替えるつもりだという話になった。
次の車は、CRVよりは気持ち小さめのホンダHRV。
「で、ボクが今乗ってる車なんだけど、あなた乗らない?」
「いいよ」
「じゃ、あなたが乗ってる車を下取りに出すよ」

というわけで、
突然、車を手放すことになった。
義父のCRVは2011年式なので、7年も新しいし、
義父のオフィスは家から5分の距離だったので、たいして走行距離も伸びてない。
夫がそれをいくらで義父から買うのかは知らないが、車を探す手間が省けた。
ハワイでは、CRVは根強い人気がある。
サイズも手ごろで、ビーチにも街にも行ける。
今朝、古いCRVでビーチに行って、最後のドライブを楽しんだ。
お昼前に、義父が新しい車を買ってくるからだ。
帰ってきて、念入りに洗車をした。
古いけど、いい車だった。
50インチのテレビもらくらく積めた。
まさか今日でお別れになるとは思わなかったから、
お礼を言いながら、心をこめて洗った。

二十歳で車の免許をとってから、
何台の車に乗ってきただろう。
最初の車は、紺色のホンダシビックだった。
かまぼこを切ったような形のコンパクトな車で、
新車が納車されたとき、胸が躍った。
6年ぐらい乗って、シトロエンというヨーロッパの車を買った。
ショールームにあった、真っ赤なシトロエンに一目ぼれした。
左ハンドルで、マニュアル式しかなかったが、
なんとかなると思って買ったのだった。
ヨーロッパ車だけあって、よく故障したけれど、
買って後悔したことはなかった。

特に車好きというわけじゃない。
けれど、何年も乗った車を手放すときは寂しさで一杯になる。
唯一、寂しくもなんともなかったのは、
前の夫との家を出て、乗ってきたベンツを売ったときだ。
離婚したくなかった相手は、離婚したとしても慰謝料など
払うつもりはなかったから、
なんとしても現金に換えられるものは換えておきたかった。
相手が好きで買った、どのベンツも、私はそれほど好きになれなかった。

義父が、古いCRVに乗って出かけた。
その車を置いて、もうすぐ新車のHRVに乗って帰ってくる。
義父が乗っていた車には、すでに夫の持ち物が乗っている。
古いCRVは、今度はどんな人が乗るのだろう。


あ。
今、義父が帰ってきた、と思ったら、古いCRVに乗っている。
「どうした、どうした」と外に出た夫が
首を振りながら戻ってきた。
「小切手帳を忘れていったんで取りに戻ってきたんだってさ」
「ねえ、お義父さんって、私みたいだよね?
それで、あなたはお義母さんみたいだよね?」
「そのとおり」

大事なものを失くさない、ものごとに動じない、完璧にちゃんとしているのがシュートメと夫で、
そのまったくもって反対なのが、義父と私。
世の中うまくできてるものである。