太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

イニシエーション

2019-07-28 13:43:20 | 日記
テレビで、アメリカの昔の映画をやっていた。
30年ほど前の映画で、高校が舞台の、日本でいうなら学園ドラマだ。
映画の中で、日本でいうところの小学校から中学になるとき、
中学校から高校になるとき、恒例の先輩によるシゴキがある。
並ばせられて、おしゃぶりをくわえさせられ、
小麦粉とマスタードを振りかけられるだとか、そういったものだ。
それを見ていた夫が、
「昔はこんなふうだったんだよ、日本みたいに」
と言う。
「いや、日本は違うでしょ。体育会系のクラブは知らないけど」
「いや、日本は先輩のいうことは絶対でしょう」
ここで、私もたいして知らない日本の学校事情で言い争っても意味ないので
うやむやにしておいた。

こういう儀式のことを、イニシエーションというのだそうだ。
夫が中学に入ったときには、既に身長が190センチ以上あったから、
大人のふりしてお酒を買わされたりしたらしい。
そういえば私にだって、イニシエーションはあった。
私の、中学の入学式のときのことだ。
その学校は中学と高校がひとつになった私立で、
3つ上の姉も通っていた。
姉は私に、
「中学の入学式には、アキレス腱がみえるまで靴下を折らねばならない」
と言った。
当時、ソックスはふくらはぎの下までしっかり伸ばし、
ソックタッチでずれないように止めるのが常識。


<閑話休題>
ソックタッチ、知ってる?
ロールオン式にぺとぺとした糊が出てくる、靴下留め。
1070年代、みーんな持ってた。
暑いときなんか、汗と糊が反応して、塗ったところが赤くなって痒くなるんだ、これが。


そんな時代に、三つ折の靴下なんかとんでもなく恥ずかしいことなわけ。
でも、入学式には全員三つ折靴下で行かねばならぬのだと、
一人だけ靴下を伸ばしていったら、大変つらい目にあうのだと、
姉はくそ真面目な顔で言う。
私は姉を信じ、くるぶしが出るまで靴下を折って入学式に行った。


しかし、三つ折していたのは私だけだった。

私は式の間中、大変恥ずかしい目にあった。
姉は腹を抱えて大笑い。
あれが私のイニシエーションでなくして何であろう。