太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

鯖の塩焼き

2022-10-11 07:17:48 | 食べ物とか
ここ数年、うちの村にも良いレストランが増えてきた。
「良い」というのはオシャレとか高級というのではなく、美味しい、という意味で。
メキシカンならココ、日本料理ならココ、ベトナム料理ならココ、と、数は多くないが、それほど外食もしないので充分である。

和食とベトナム料理を出す店がある。
異分野のものを出す店というのはどうなの?と思うことが多い。
日本だと、「うなぎ・ラーメン」と書かれていたり、「もつ鍋・パスタ」だったり、なんか、どっちもアレなんじゃないのかと疑いたくなる。
ところが、この和食とベトナム料理の店は、両方とも合格点。
和食でがっかりすることが多いので、最初の頃はベトナム料理ばかり頼んでいたのだけれど、あるとき、鯖の塩焼きを頼んでみた。
これが、これが、美味しかった!
見た目はシンプル。

焼き魚だけでご飯が進む、という体験は何年振りか。
鯖ってこんなに美味しかったっけ?
しっかり焼けていて、皮が香ばしくて、身はジューシー。
この鯖が忘れられなくて、既に2回もオーダーしている。
今回は半身を夫に持っていかれた。

ちょっとしゃれた店に行くと、マヒマヒにマカダミアナッツ入りのパン粉とスパイスをつけてグリルして、なんとかソースをかけたのとか、
モンチョンに秘伝のソースをからめたのとか、チャイニーズスタイルでとかいろいろ凝ったメニューがあって、それらも美味しいのだけど、この塩鯖には到底かなうまい。


よく母が、脂ののったブリを甘辛く煮た。
自分で料理をするようになって、数えきれないほどブリを煮たし、塩サバを焼き、鯖の味噌煮も作った。
そういう食生活を離れて10年以上たつ。
塩鯖を食べて、私が忘れていた大事なものに気づいた。大げさだけど、そんな気持ち。

祖父母と同居していたからか、子どもの頃は他の家より魚をよく食べていたと思う。
夕飯にお刺身は必ずあったし、塩を強めに振った太刀魚や、アジの干物、サクラエビのかき揚げ、いわしのつみれ汁。
茹でシラスに混ざってくる、小さな小さなタコを探すのが楽しみだった。

日本のガスレンジについてくる魚焼きグリルがあったらなぁ。


そういえば先日、ジュディスが夫婦でアラスカに行って、たくさんブラックコッドやサーモンを釣ってきた。
真空パックにして凍らせてハワイに送ったうち、ブラックコッドの大きなフィレをいくつも分けてくれた。
ダンナさんのトニーが、味噌焼きの作り方を教えてくれと言うので、書いて置いてきたのだが、ガイジンには味噌の区別も難しかろうと思い、うちで作った味噌漬けをお裾分けした。
それが大層おいしかったらしく、
「どうしてこんなに美味しく作るやり方を知ってるのか?」
と言う。
なぜって、なぜだろう?
鰆の味噌漬けなんて、お正月に作ったりしていたもんね。
誰にどう教わったのでもなく、最低、味噌とみりんと砂糖があれば、味をみながら適当に作れる。

肉も大好きだけど、私は魚で育ったのだなとしみじみ思う。
子供の頃に食べた味に回帰してゆく、そういう年になった。