太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

中年たちのアイドル

2023-06-26 07:27:39 | 日記
姉が妹と一緒に、ユーミンの50周年コンサートに行ってきたという。

「心が震えた・・・・・」

わかる。わかるよ、私も行きたかった。
心は40年前にひとっとび。

私「荒井由美時代の歌がいいな。タイトル忘れたけど、流星群の歌が1番好き(好きならタイトルを忘れるな)」

姉「ジャコビニ彗星?」

私「それな!流星群といって1秒でジャコビニ彗星が出てくるとこなんか、やっぱり同世代だわー」

姉「私も好き好き!」

私「”海を見ていた午後”!山の手のドルフィン、有名になったよね」

姉「実は私、ドルフィンまで行ったことある。で、ソーダ頼んだ」

(注)ドルフィンという名前のお店が実在していて、歌の主人公はそこで恋人に別れ話をされる。ソーダ水の向こうに貨物船が見える、という歌詞がある

私「で、ソーダ水の向こうに貨物船が見えた」

姉「船は見えなかったけど・・ミーハーだったなあ、私」

私「いいのいいの、それが若さというものだ」

姉とひとしきりユーミン談義に花が咲く。
コンサートに行った人たちすべての心の中に、それぞれの思い出が弾けていたんだろうなあ。
母の世代は美空ひばり、私の世代はユーミンとサザンオールスターズ。

ユーミンは、おしゃれで都会的で、圧倒的なカリスマ性がある。
ユーミンの歌には独特の世界観があって、二十歳かそこらでこんな歌を書くなんて天才だと思う。
”悲しいほどお天気”はまさに、私の美大時代を思い出して(ユーミンは多摩美大)、ほろ苦い気持ちになる。
”中央フリーウェイ”で、恋人の運転するオープンカーに乗って、競馬場やビール工場を通り過ぎながら、♪好きだと言っても聞こえないわ、風が強くて♬。
こんな出来事が、私の人生に起こる確率ってどのぐらいかと、田舎の若者だった私は思ったものよ。


私「今の若い人たちが私たちの年齢になったとき、こんなふうに胸がキュンとするようなアイドルっているのかなあ」

姉「んー。ジャニーズか・・・泉やみーちゃん(姪)も好きだよ」

ジャニーズで私が名前と顔が一致するのはSMAPとTOKIOだけで、嵐は顔はわかるが名前がわからない。
あの人たちはユーミンやサザンみたいに歌を書かないじゃないか。
私が、歌を聴いて心が動くのは、ドリカムが最後かもしれないなあ。

私「青春時代にユーミンもサザンもいなかった若い人たちに、心から同情するワ」

姉「私も激しく同意」

”ジャコビニ彗星の日”を動画で探して、聴く。
昨日から、私の脳内はユーミンマラソン状態だ。

姉「中央高速のビール工場が見えるところで、ユーミンが野外コンサートやるらしいよ。サザンも地元で野外コンサートあるみたい。チケットなんて、絶対に手に入らないよね・・・」

サザンのファン層はユーミンよりは広いだろうけど、ユーミンはほぼ中年で占められているだろう。
「憧れのおねえさん」は70に手が届く。
憧れのおねえさんに心をときめかせた若者は、還暦だ。
それでもステージに立つユーミンは、いつまでたっても憧れのおねえさんで、
それを聴く人たちは若者のまま。

大昔、テレビの歌番組の懐メロが、古臭くて私は嫌いだった。
祖母は黙って画面に見入り、母は台所の手を休めて聞いていた。
あの時、祖母や母の中で心が震えていたのだろう。

ユーミンやサザンが、1日も長く歌ってくれますように。