太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

加山雄三までの道のり

2013-06-25 07:26:55 | 日記
日系とおぼしき男性が、i-padを片手に店に入ってきた。

i-padからは大音量で音楽が流れている。


♪ ふたりをぉー ゆーーやみがぁー つーつむぅ その窓辺でーー  ♪


このアーティストの名前と歌のタイトルを教えてほしいとおっしゃる。


よく知った顔の男性のライブ映像と、よく知っている歌を聴きながら、

でもどうしても名前が出てこない。

あいにくその日は、日本人のスタッフは私だけ。

あとのスタッフが日本人だったとしても、みんな二十代前半の若者ばかりで、知る由もない。



「お父さんが上原謙という俳優なんだよ」

「へえ、そうなんだ」

「伊豆っていう半島にこの人の名前の美術館があって、行ったことがあるんだよね」

「芸術家なの?」

「本職は俳優で、歌手でもあって、絵もすごく上手なんだよね」

「ふーん、で、名前は?」

ロコの同僚は気長に相槌を打つ。


「あ、そうだ、若大将!」

「それが名前なのか、やったね!」

「・・・・・・・・・・いや、これは映画の中の役でそう呼ばれていた・・・・」



同僚は、要領を得ない私に業を煮やしたか、自分のスマートフォンを取り出し、

音楽をサーチできる機能とやらで検索し始めた。


青大将の田中那衛さんの名前はスラッと浮かんでくるのに、若大将は霧の中。


「じゃあせめて歌の題名だけでも思い出せない?」

曲をサーチしながら同僚が聞く。

「うーむ・・・叔父さんが好きで、よくカラオケでこれを歌ったんだけど」

「そうそう、思い出せるところから思い出そう」

「台詞が入るんだよ、くさい台詞が。しあわせだなぁー、ぼくは、とかいう・・・・」

「台詞が入る歌なんかあるんだー、なんていうの」

「ぼかぁ しあわせだなあ、君といるときが一番・・・あっ!!!」

「なに!」

「君といつまでも! 君といつまでも がタイトルだ!」

「じゃあそれで検索したら・・・」



「あー!!加山雄三!!!!!!」




記憶の扉が開いて、ころっと名前が出てきた。

日系の男性は喜んで、このCDを所望されたのだが、残念ながら店にそれはなかった。

すると次の映像を出して、

「じゃあこれは?」



♪ こいびとよーーーー そばにいてー  ♪


記憶の扉が開いているせいか、今回はすらすらと出てくる。

「これはですね、五輪真弓という人で、歌は『恋人よ』 です」


あいにく、そのCDもなかった。

ローマ字で二人の名前と、歌の題名を書いて男性に渡した。

加山雄三が出てくるまで長かった・・・・・






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風邪の特攻薬

2013-06-24 07:14:24 | 日記
不覚にも風邪をひいてしまった。

以前は1年に1度ひくかひかないかだったのに、仕事を始めてからは数ヶ月単位で風邪をひく。

接客業だから仕方がないか。

ただ、咳が出ても、喉が痛くても、マスクができないのは不便だ。

同僚もお客様も、マスクをしないで咳をする。

果たしてマスクが、どれだけ風邪を予防するかはわからないけれど、気分的なものもある。

日本じゃ当たり前のマスクが、

アメリカでは、マスクをすると「感染病」ではないかと思われるというのは本当だ。



風邪をひいたとき、アメリカじゃチキンスープを食べる。

野菜とチキンを煮たスープに、細切れのパスタが入っていて、日本でいるところの「おじや」だ。

喉が痛いときには、喉に直接薬をスプレーする。

子供の頃、小児科で喉に塗ってもらった、甘い薬の味がする。

風邪薬を飲む前に、ビタミンドリンクなるものを飲む。

これは、巨大ラムネのようなものを水に溶かすのだが、

オレンジ味の粉ジュースの味がして、とっても懐かしくて美味しい。

粉のジュース、若い人は知らないかなあ?



職場は、一人休むと、どれだけ残された人が大変かがわかるので、

何が何でも行こうと思うから、とにかく早く治したい。

そんなときの特攻薬は しょうが湯 だ。

カップにおろした生姜を入れて、熱湯を注ぐ、それだけ。

ふうふうしながらそれを飲む。

詰まっていた鼻がすーっと通り、喉がいくらか楽になる。

飲み終える頃には、じんわりと首筋あたりが汗ばむ。

そのままサッと寝てしまう。


そういえば、シアトルから来ていた甥が風邪をひいたときに、

義姉が甥を連れて海に行き、泳がせていたのに驚いたことがあった。

風邪なのに海で泳いで平気なのかと聞く私に、

「楽しいことやってたら治るわよー」と笑っていた。

そういう義姉は小児科の医師であるから、間違いではないのだろう。


それからは、私も風邪をひいていても、気分がよければ海に行く。

海水に浸かっていると、たしかに家で寝ているよりもいいかもしれない、と思う。







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2013-06-23 14:09:51 | 日記
前記事の おなら で思い出した。

文化が変われば、恥を感じる部分も変わるといわれるけれど、

それはアメリカでトイレに入ったときに、一番感じる。


日本のトイレに入ると、

自分が出す音を消すために、まず最初に水を流す人がいる。

アメリカ人は、個室に入ってしまえば、何の音がどう出ようがおかまいなしである。

ブバンッ!という轟音だろうがなんだろうが、全然平気。

トイレなんだから、そういう音が出たって仕方ないでしょ、と割り切った感じが、

私はとても心地よい。


昨年、帰国したときに入ったトイレに

「音姫」 がついていたのをみて、懐かしさに思わず押してみた。

その音を聞きながら

しみじみ日本は恥の文化なのだなあと、ちょっとうれしく思った。





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銀行にて

2013-06-22 07:31:14 | 日記
銀行へ行った。

こっちの銀行や郵便局は待っている椅子はなく、

ただ一列に並んで待つ。

あいている窓口は3つ。

私の前に3人、後ろに4人。

平和な午後のひとときであった。

すると




ヴボボボボーーゥヴべべべべべべべべべべーーーーーーーーーーー・・ブスブスブス・・・




それが おなら だとわかるまで、一瞬空白があいた。

おならの出元は、窓口にいる、青いムウムウを着た年配の女性である。

当の本人は、まったく知らぬ顔で銀行員と話している。

今まで生きてきた中で聞いた、もっとも長く、かつ、頼りない おなら に、

こんなところで出くわしたことが、私はおかしくてたまらず、

笑いがこみあげてくるのだが、そこにいる誰もが平然としているので、笑うに笑えない。

しかし、あれだけの おなら を、気づかぬはずがないのだ。



こんなとき、もし私が おなら の張本人だった場合、

「何も聞こえませんでしたからねー」という、思いやりの沈黙を背中に痛いほど感じるよりも、

ガハハー!と笑われてしまったほうが、気が楽なんじゃないか。

いや、やっぱりそうっとしておいてもらったほうがいいだろうか。

こみあげる笑いを必死で押し殺しながら、そんなことを思うのであった。









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個人主義

2013-06-20 14:12:50 | 日記
行き届いたサービスにしろ、便利さにしろ、さまざまな仕組みにしろ、

日本人の私にとって、日本ほど暮らしやすい場所はないと思う。

日本を離れるときに、どんな場面に出会っても

「もし日本だったらこうなのに」とは絶対に思わないようにしようと決めてきた。

ここは外国で、私はガイジンなのだから、それは仕方がないことで、

すべてを受け入れて暮らしているつもり。




しかしそんな中で、ひとつだけ、日本じゃなくてよかったと思うことがある。




ハワイには町内会だとかいった自治会がない。

日本には町内会があり、その中でまた、婦人会だの子供会だの老人会なんかがある。

集合住宅に住めば、その中で班長さんやら会計なんかが持ち回りで決められる。


親元を離れてから、集合住宅に4回、持ち家に1回住んだけれど、

班長になれば町内会費を集めたり、町内の会合に出たりしなければならないし、

回覧板をまわす責任もあり、市の会報を配る役目もあった。

班長にならなくとも、全部の家庭対象に、資源ごみなどの監視をする当番もまわってくるし、

生ごみを出す場所の清掃をする当番があった場所もある。



私はこういうことが大の苦手。

なんといったってめんどくさい。

こう見えても、私は根が真面目で小心者のゆえ、班長になれば全力を尽くしたし、

ごみの当番もサボったことはない。

でも夏の夜、資源ごみの当番で、みんなが出した空き缶を選り分けているときに、

大きなゴキブリが腕を這って来たり(悶絶ものだった・・・)

凍えるような冬の夜、夜の間にこっそりゴミを出す人がいないように見張る当番を(見張るだけ)

寒さに足踏みしながら立っているときなど、なんでこんなことをしなくちゃならないんだろうと思ったものだ。

町内の運動会があり、町内の旅行があり、回覧板の内容はたいてい重要でもなかったりする。



古い町であるほど、決まりごとや役割や行事が多くて、

新興住宅地に家を建てた時には、それほど面倒なことはなかったように思う。

ただ、その隣の町では、町内の誰それの通夜や葬儀の予定を広報で放送しており驚いた。


今の夫と結婚してから住んだ町も古い町で、年寄り連中が幅を利かせており、

さらにガイジンは差別されていた。

夫と歩きながら町内の歩道に落ちていたゴミを拾い集め、集積所に持って行ったら、

そこを見張っていた年寄りに

「あんたどこのガイジンさん?ここに何を捨てようっての!?やたらにゴミを持ってきちゃいかんよ」

と見咎められ、頭にきた私は

「ここの町内に落ちていたゴミをガイジンが拾ってきたんですけど、文句あんの!」

と、大変おとなげないことを言った、ということがあったっけ。




とにかく、そういうわずらわしい町内会や自治会といったものがハワイにはない。

ゴミを出すのも個人個人で、それぞれの家の前に指定のゴミ箱を出すだけ。

月に1度の大型ゴミの回収も、その日が近くなったら家の前や、どこか歩道に出しておくだけ。

いつどこで道路工事があるから迂回せよ、という回覧板がなくても困らない。


分譲の集合住宅には、住民のアソシエーションがあるけれど、

年に1度、定例の集まりがあるだけで、

回覧板もなければ、ゴミ集積所を見張る当番も聞いたことがない。



町内会があることで、どこに誰が住んでいて、どんな家族構成で、非常時にはどこに連絡をすればいいかわかるのは

安心だし、いいことなのかもしれない。

私の母は、長いこと町内の民生委員をやっており、

一人暮らしのお年寄りや、生活が立ち行かない人達の家をまわって相談に乗ったりしている。

だけど、ゴミぐらい個人の責任で出してもいいんじゃないか。

今は昔と違って、それぞれの家庭でレジャーを楽しめるのだから、町内の運動会も子供会も老人会もいらないんじゃないか。

生ゴミ集積所の当番があった場所では、当番の人が自前で「からすよけ」のネットを用意して

朝と晩に掃除をしていたけれど(フルタイムで仕事をしていたから大変だった)

町内会費でなんとか解決できることじゃなかったろうか。

そこの班長になった年、町内会議でそのことを書いて出したけれど、完全無視だったな。そういえば・・・




個人主義の長所も短所も、

集団主義の長所も短所も、同じだけあるんだけれど、

今のところ、集団主義から開放されたよろこびに浸っている。









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