太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

2017-03-26 14:20:47 | ハワイの自然
蘭は、あまり好きな花じゃなかった。

お祝い事に使われる胡蝶蘭はきれいだけれど、つくりもののようだし、

蘭の独特な形態や色は、美しいというより毒々しさがあり、

おおぶりの蘭などは、ごてごてに着飾ったご婦人が、場の雰囲気から浮いているようにみえる。

日本で蘭を育てるのは難しいことで、

いただきものの蘭は、花が終わってしまうとそれっきり葉だけがいつまでも残り、それもなんだかつまらない。



ハワイでは、蘭はとても人気がある。

蘭の茎を庭の石垣の隙間にでも差し込んでおけば、みるみる大きくなって花が咲く。

特別な手入れをしなくても、毎年花が咲いて、雑草のように強い。

他の木の、幹と幹の間で蘭を育てるのも人気があって、

近所の家には、他の木の幹で、立派な胡蝶蘭が年中咲いている。

もちろん我が家にも何種類もの蘭がある。

野草のようにこぶりのかわいらしいのもあるし、だんだん蘭が好きになってきた。


年に1度、近くの中学校で蘭のショーがある。

今日は夫とふたりで出かけてきた。








しだれ桜ならぬ、しだれ蘭。今回のショーでは私はこれが1番好き。




可憐な蘭もたくさんあるのだ。




ゴージャスのひとこと。花のサイズはてのひらに近い。



しかし。

あるのよ、毒々しいのも・・・・・・







手前の、左側。

色といい、大きさといい、形といい、艶といい、ほんとうにまるで、あのこそこそと這う虫


せせらぎ(ゴ○○○) 

注)名前を口にするのも気持ち悪いので、ゴのつく虫のことを せせらぎ と呼ぶ


みたいでしょうが。


これに触覚をつけたら・・・・・(想像中)




これはもう、その虫に似せた形態をし、寄ってきた虫を捕獲しようとしているとしか思えない。

ほんとうはどうか知らんけどね。




食虫植物もたくさん売っていた。

モウセンカズラだっけ?

これを庭に置いたら蚊がいなくなるかなと思ったけれど、

これがズラリと軒先に下がっている様子を想像したら、美しくないので却下。








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ブラックも楽し

2017-03-23 07:44:06 | 日記
職場でレジスター担当の日。

一人のご婦人が、1枚2ドル50セントのハワイアンなシールを20枚お買い上げになった。

カードでお支払いになり、すべてが終わったあとでおもむろに、

「これは2ドルでしょう?」

とおっしゃる。

「いいえ、2ドル50セントです」

「それは違うわ。価格表に2ドルと書いてあったわよ」

私はご婦人を連れてシールのラックまで行き、価格表を指差した。

その価格表は手描きで書かれており、確かにラフな書き方ではあるが、けしてゼロには見えない。

読めるとしたら、 5  か、 8 かなというぐらいで、

その前後左右に書かれているゼロの数字と比べたら、あきらかにゼロではないことが見てとれる。

それに今まで何年もの間、これをゼロと読んだお客はいなかった。




しかし、そのオバサンは

「ほら、これはゼロだわよ、見てごらんなさい」

と言い張る。

「いえ、ゼロはこちらで、これは5です」

「断じて違うわよ、私にとってはゼロだから、あなたは私に2ドルで売るべきよ」

と食い下がる。

もう私の手に負えないので、マネージャーを呼んだ。

結果は見えていた。

基本的に客商売は言い争いを避けるから、マネージャーは呆れながらも2ドルで売ることを承知した。



私はレジに戻り、改めて計算しなおし、差額の10ドルなにがしを現金でオバハンに返した。

オバハンはそれを受け取り、去り際に言ったのだ。



「あなたがたね、あのみっともない価格表を今すぐ降ろすことね。わかった?」



STUPID(みっともない、ばかみたいな)のところをこれでもかと強調して、そう言い、

勝ち誇った顔で私を睨めつけた。

ムッカー!!!ときた。

なんなの、それ!そこまで言う必要ある?

いい気分で過ごすなんてゲームはこの際どこかに消える。

あまり頭に来たので、私は満面の笑顔を作り、



「このバカ女」


日本語で言った。

オバハンは私が笑っていたので、なにか良さそうなことを言われたのだと思ったのだろう。


「わかればいいのよ」


と言って去っていった。




この話は同僚たちにウケにウケた。

どんなふうに言ったのか、もう一度やってみせてと、何度もやらされた。

ここに来る人達は旅行客がほとんどだから、おしなべて皆さんハッピーな気分でいるのだけれど

それでもいろんな人がいて、同僚たちもそれなりにストレスを感じることもあるのだろう。

真剣に「コノ バカ オンナ」を練習する人達もいた。



「日本語って便利ねーー!」

「満面の笑顔で言うのがポイントだからね」

「ああ、うまくできるかなあー、わくわくしてくる」



ブラックな私も、たまには楽し。




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鬼門

2017-03-22 07:33:59 | 日記
コンクリート柱にぶつけて壊れた車はまだ修理中なので、

ドイツに行っている、夫の叔母の車を借りている。

その叔母の車で、ホノルルに出かけた。

最新作のコラージュ作品を、マットに入れて売れる状態にするためには、

オリジナルのキャンバスをプロ仕様の写真に落とし、それを別の店でプロ仕様のコピーで焼かねばならず

しかもどちらも即日にはできず、平日しかあいていない。

だから平日の休みの多くは結局ホノルルまで行くことになる。



写真を受け取り、コピー屋に行った。

コピー屋はハンバーガーショップと同じビルにあって、そのビルの平面駐車場に車をとめた。

コピーのあと、ハンバーガーショップで飲み物を買い、

道を渡ったところにある日本食スーパーに寄って、15分後、駐車場に戻ると



車が消えていた。



日本食スーパーの駐車場に警察官がいたのを思い出したので、走って行って訴えた。

「車が消えたんですけど」

きっとレッカー移動されたのだろうということで、車内のパソコンで調べてくれた。

やはり叔母の車はレッカーで持っていかれており、警察官はレッカー先の電話番号をくれた。

「これは警察の管轄じゃないからこれしかできないけど」

「叔母の車なんですよね」

「車の持ち主が行かないと受け取れないんだよ」

「そんなぁ。叔母はドイツにいてあと1ヶ月は戻ってこないのに」

「んー、共同名義になっているから旦那さんがハワイにいれば受け取れるはずだよ」


さて、どうしようか。


途方に暮れているところに私の名前を呼ぶ人がいる。

見れば、前の職場の社長がそこに立っていた。

スーパーの中に店があって、そこに寄るところらしい。

事情を話すと、必要なら車で家まで送ってくれるという。

社長が店で用事を済ませている間に、叔父に電話をした。

叔父はすぐにつかまって、レッカー先に電話をしてくれ、会議が終わったら私を拾って

一緒に車を取りに行ってくれることになった。

会議が終わるまで2時間以上あるので、社長にアラモアナショッピングセンターまで送ってもらった。


おなかがすいたので、ランチを食べ、

風通しのいいベンチで本を読んだ。





起きることが起きているだけ、なんかなあ。






車をぶつけたのも、あの日本食スーパーだった。

あそこは私にとって鬼門ってことか。

だから、職場があのスーパーの中に引っ越した矢先に辞めることになったのか。



叔父がやってきた。

叔父といっても、私と5歳ぐらいしか違わない。

「どーってことない、気にしない気にしない。せっかくの休みに災難だったねぇー」

レッカー屋をみつけ、16000円を現金で支払って車を取り返した。



今朝だってちゃんと瞑想して、チャクラも調整して、出かけるときには

無事に帰ってこれるように後ろの人達に頼んでいったのに、なんでこんなことになるのさ。

なにやってンだよ、後ろの人達。しっかり仕事しろやっ。



すると、後ろの人達から文句がたらたら返ってきた。


『スーパーの駐車場に警察官がいたの、まさか偶然だと思ってんじゃないでしょね』

『叔父さんがすぐにつかまったのも偶然だとでも?』

たまたま社長が通りかかったとか思ってンだ?え?』

『普段は持ち歩かない、読みかけの本をたまたま持っていたから2時間つぶせたとか?』

『レッカー代の現金が、たまたま財布にあったのかねー?アンタあまり現金持たないじゃないさ』

『ぶーぶー言ってるけど、こうして無事に帰ってこれたでしょ、文句あんの』

『そもそもあそこの磁場は合わないって言ってんじゃん、車ぶつけただけでわかりそうなもんだけど?』





いちいちごもっとも。



あそこに警察官がいなかったら、911に電話して全部説明しなくてはならなかったし、

叔父と連絡がとれなかったら、今日は車を取りに行けず、明日仕事に行くのに車がなかった。

社長と会ったのも、不思議だった。

私は社長が嫌いだった。

でも昨日、まったく嫌な感情が沸いてこなくて、まるで昔のクラスメイトに会った様な懐かしさがあった。

彼は再婚したのだと言った。照れくさそうな様子を見て、心からよかったなと思っている私がいた。

私の心の中でギザギザのままだった関係が、まあるくきれいにおさまった。



さらには、叔父に電話しようとして

どうやら間違えて日本にいる友人に電話をかけたらしかった。

日本は早朝なので電話には出なかったが、ランチを食べていたら電話がかかってきた。

彼女とは、なぜだかここ数年、心の距離を感じていて、それが寂しいのだけれどどうすることもできないでいた。

日本に行ったときには必ず会うし、表面は変わらないのだが、何かが変わってきた。

何ヶ月ぶりかで声を聞いて、嬉しかった。

何かが違うとか言ってないで、私がもっとシンプルに彼女に向き合えばいいのだと思った。





確かに、後ろの人達は八面六臂のご活躍で、こうして平和に今日を迎えた。

それには感謝しよう。

しかし、めんどくさいことはお断り。

あの界隈には、行かないわけにはいかないけれど、

今後はどこか遠くに車をとめて歩こう。そうしよう。




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アボカド

2017-03-21 07:52:30 | 食べ物とか
はじめてアボカドを食べたのは、ハタチそこそこだったと思う。

当時働いていたテレビ局の食堂で、

制作局の誰かが、取材でもらったといって皿に乗せたアボカドを持ってきた。

そこにいた誰もが、アボカドを初めて見た。

スライスされた抹茶色のソレを見て、

「これは、ナニ?」

と聞くと、制作局の誰かは得意満面に

「これはアボカドといって、南国の果物なんだな。果物なんだけど、こいつをつけて食う」

そしておもむろに 醤油とワサビ を出してきた。


お調子者のEが、真っ先にアボカドを醤油につけてほおばった。


「な?大トロの味すンだろ?」

「するする!うめぇー!これはトロだ!ここに酢飯があったらなあー」


Eの発言に勇気を得て、私もみんなも一切れずつ食べてみた。



「・・・・・・・・・・」



どのへんが、トロ?




ただねっとりとした果肉が、醤油とワサビを抱え込んで喉を通っていった。

醤油とワサビが強すぎて、何を食べたのかよくわからん。

みんな複雑な顔をしている。

Eはトロだと断言したくせに、ふた切れ目を食べようとはしない。

彼はエレベーターの中でお得意様にネクタイを褒められて

「へへっ、こんなもん、ケツを拭けますよ、へへッ」

と言ったという、局内一のお調子者である。



最初の出会いが悪かったばかりに、私はアボカドが嫌いになった。



今、アボカドは私の好物である。

今の夫が、熟れたアボカドにトマトや玉ねぎやスパイスを混ぜて ワカモレ を作り、

それを食べたときに、あまりの美味しさにびっくりした。

野菜やトルティーヤチップスなどにつけて食べるディップの一種なのだが、

それ以来、アボカドが大好きになり、

ただスライスしたものに、クレイジーソルト的なものを振りかけたら、まるまる1個はぺろりといける。



アボカドに醤油とワサビ、という組み合わせを思いついたのは誰だろう。

何かと何かを一緒に食べるとプリンの味がする、なんていうのがあるけれど、

絶対にプリンの味なんかしないのだ。

プリンが食べたいならプリンを食べればよろしい。

トロが食べたかったらトロを食べればよろしい。

アボカドを嫌いだった20年あまりを取り戻すかのように、今アボカドを食べているのである。








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ほめられても喜べない理由

2017-03-19 07:54:19 | 日記
職場で、レジ担当の日などに、知っている日本語で話しかけてくれる人達がいる。

軍関係の仕事で、数年日本にいたことがあるとか。

日本で英語を教えていたことがあるとか。

弟のヨメが日本人であるとか。

日本が好きで、何度か行ったことがあるとか。

大抵、「アリガトウ」とか、「コンニチハ」という言葉が出てくるのだが、

「モウカリマッカ」

「カバン ヲ アケテクダサイ」

「キュウケイ シマショウ」

なんていう日本語を覚えている人がいて、おもしろい。



人のことを おもしろい なんていっている私も、かなり おもしろい 英語を平気で話しているのだけれど、

おもしろいと言っていられないのは、日本から旅行にきた人達に


「日本語がじょうずですね」


と言われることである。



ハワイには、日本人に見えても日本人ではないとか、日本人でもハワイ生まれであるとかいった人達が多いので

日本人みたいな顔でも日本語が話せるとは限らない。

ハワイ生まれの人は日本語が話せても、なんとなく使う言葉の雰囲気が違ったりするし、

複雑な敬語や謙譲語は無理だ。

しかし私は生粋の日本生まれの日本人だ。

『うかがいます』とか『みょうにち(明日)』とか『~させていただきます』とか

すらすら出てくるんだから(普通だけど)。




「日本人ですから」


と私が言うと、

「・・へえーーー・・そうだったんですねー」

とか言われる。

3台あるうちの1台のレジスターがこなす客は1日に200人近い。

英語と日本語を使い分けているうちに、なんだか日本語のイントネーションが揺れてくるのかもしれない。

ワイキキにはたくさんの日本人が働いているけれど、

こんな辺鄙な場所に、まさか日本人がいるとは思わないのかもしれない。




いずれにせよ、

英語をほめられず、日本語をほめられるとは複雑極まりないことである。







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