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新井史朗・日本原子力産業協会理事長の恐るべき「原子力利活用推進」発言

2022-11-08 16:35:26 | 原発

 岸田首相が策定を指示した「クリーンエネルギー戦略」(「新しい資本主義」の柱の一つ)について、経産省がまとめた中間整理には、原子力について「エネルギー安全保障、脱炭素の効果の高い電源を最大限活用する必要がある」との文言が明記され、政府・与党内では「原発回帰」の動きが強まっている。

 新井史朗日本原子力産業協会理事長(元東電HD理事/原子力・立地本部副本部長)も2022年2月25日の定例記者会見で「原子力の利活用推進」の発言をしている。それは「安定的に電力を供給すると言った意味で原子力の優位性はあり、注目度は高まる」「原子力の利用に対してブレーキになるのでは、というのもわかる。しかし、原子力の効用は非常に大きい」「大きなメリットを考えた時、戦争状態というデメリットをどこまで考えるかという事だと思う」「事業者は破滅的な破損に対して手を尽して対応するが、それを超えて戦争状態になると、事業者、産業界の範疇を超えてしまう。外交努力、国際的な関係改善で努力していただくしかない」などに見られる。

 新井氏原発と戦争の極めて危険な関係性を理解した上で、そのデメリットよりもメリットが大きいので原子力を推進すべきであると主張しているのである。営利企業である事業者は、原発を利用する場合、様々な電源の中から、比較の上で選択しているはずであるが、原発を推進しながら、そのリスク(人命損失)については事業者・産業界ではなく政府が責任を負うべきであると主張しているのである。原子力産業界のいう、原子力安全文化とは「『原子力施設の安全性の問題が、すべてに優先するものとして、その重要性にふさわしい注意が払われる事』が実現されている組織・個人における姿勢・特性を集約したもの」としており、言葉だけ建前だけのものという事である。

 原発は安全保障上も、エネルギー安全保障上も大きなリスクである。そのリスクを誰が負うのか。住民は国民はその事を改めて考え原発を受け入れるか否かを判断すべきである。

(2022年5月23日投稿)

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