ハッチがいた日常

夫は病死、仕事も辞めて被災猫ハッチと暮らしたけれど、10年で終わってしまった。これからは本当の一人暮らしの日々。

朝日俳壇3月15日

2020年03月15日 23時12分53秒 | 俳句

大串章選

空襲をくぐり抜けたる雛ばかり        所沢市 岡部泉

 東京大空襲を思い浮かべました。3月10日の午前零時過ぎ、米軍のB29による絨毯爆撃で、一夜にして下町を中心に焼き尽くされました。母はその空襲を経験しています。その時のことだと思いますが、焼け焦げの死体に最初は驚いたけれど、あまりにたくさんあって慣れてしまったと言っていました。この句は、あの大惨事とお雛様のあまりにかけ離れた取り合せが目を引きました。よく3月11日は東日本大震災でした。ほかにも、3月20日は、地下鉄サリン事件。3月は春といっても、つらいことが多かった。今年の春は、新型コロナウイルスによる社会の混乱で、ずっと歴史に残る災害となるでしょう。

 

高山れおな選

人もまた狂ふときあり猫の恋         名古屋市 池内真澄

ねこの日はねこ化しているばばとばば     東京都  坂本宙海

 ともに猫の句。でも、ずいぶんと違いますね。どちらも好きです。

 

稲畑汀子選

惜春や寮生活の四年間          徳島県松茂町 奥村里

 4年というからには、大学でしょうか。このコロナ騒ぎで内定取り消しが多発していますが、この句の人は、大丈夫だったのでしょうか。どうか、がんばってくださいと祈るばかり。

 

長谷川櫂選

遥か来て日本語学び卒業す         川崎市 多田敬

升目にて計るちりめんじやこの春      深谷市 岩熊史城

粉々に砕け散りたる春惜しむ       福島県伊達市 佐藤茂

 1句目、留学生でしょうか、研修生でしょうか。卒業しても、この時期、帰国できたのかどうか。それともずっとこのまま日本にいてくれるのでしょうか。3句目も、新型コロナウイルスの騒動で、今年の春はとんでもないことになってしまったと読みました。本当に、どうなっちゃうのでしょうか、怖いです。そんな中、2句目は升に入ったちりけんじゃこが目に入って、それがすっきりと春を歌っていて気持ちがいいです。

 今日は、はじめてお隣の歌壇も見ました。

馬場あき子選、佐々木幸綱選

この国が「想定外」に弱きことフクシマでもう知っていたのに    水戸市 中原千絵子

 その通り!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする