バスを降りてトイレに行っている間に、渋いザックのおじさんは消えていました。
榛名神社の中に入ると、あちらこちらに見どころがありました。
紅葉も綺麗でみんなカメラやスマホで撮影していました。
一番奥まで詰めると、そこから先は登山道となりました。
そしてまるっきりの一人になりました。
しばらく行くと驚くことに人影が。
あ、あの渋いザックのおじさんだ。
もしかして関東ふれあいの道歩いてるとか。
追いついたら聞いてみようっと。
ところがなかなか追いつきません。
なるほど…
若い頃から登っていて、最近はお手軽な山をちょこちょここまめに登っているタイプだな?
やっと追いつきました。
『こんにちは、今日はいい具合ですね』
それで軽くスルーするつもりでした。
ところが後ろから話しかけてきました。おまけについてくる。
そして速い。
やばい、スピード変わらないぞ。
見た目には60代半ばぐらいです。
これは相当こなしてるな…。
『若い頃から相当登ってきましたね?』
『そうだねぇ、もう1000ぐらいは登ったかな。そはちらもだいぶ歩いてますね、わかる』
『僕はまだ600ぐらいです』
『だんだん低山の方が良くなってね、花があるから。高いところも良いけど花が無い』
花が…無い?
そうかなぁ… と思ったけど、たしかにどこでも咲いているわけではないしね。
『なるほどぉー』
と返しました。
榛名界隈も何度も足を運んでいるようで、いろいろ教えてくれました。
『ここはユウスゲが群生するんだよ。夕方から夜にかけて咲くんだ』
それは興味深いですね。
一度見てみたいと思いました。
『ユウスゲってほらニッコウキスゲにそっくりなあれだよ』
『あーそうなんですね?やはり花は一日で終わるのですか?』
『そう、そうなんだ』
ちょっと調べてみたら、榛名山はユウスゲの代表的な群生地のようです。
山に登るということは山を知るということなんだな。僕はまだまだ浅いな…。
『ここは氷室山かな?』と渋いザックのおじさんが言いました。
山名板がないので気づきませんでした。さすが。
この山域、やっぱりでこぼこで何度も噴火を繰り返してきただけありますね。
階段が多いし傾斜が急です。
渋いザックのおじさんに遅れないよう(だってかっこ悪いじゃん僕の方が少し若いんだから)頑張ります。
息が上がっているのがバレないようにそっとハアハアします。
何度も小さく登り降りしましたが、階段の長い下りで『どうぞ先に行って下さい。あなたはこの先長いから俺が足手まといになっちゃいかん。この先気をつけて』
あ、山の楽しみ方をよく分かっていらっしゃる。
楽しいところだけ共有して、あとは深入りしない。それがお互いに一番肝心なことかもしれませんね。
絶妙なタイミングで別れました。
『楽しいお話をありがとうございました。それではここで… ってまたあっという間に追いつかれるかも知れませんけど』
長い行程を意識していたので、このコースの登りで遅れないようにしたかった僕。
渋いザックのおじさんのおかげで、かなり短縮できました。そして、ずいぶん疲れました。
榛名湖を紅葉する木々の間から見るのは、とても素晴らしかったです。
風も爽やかだし、天気もまずまず。
天目山に着きました。
60代半ばぐらいのご夫婦に会いました。
話し好きなのかマシンガントークを浴びせてきます。
『あれ?仲間は?声が聞こえていたよ』
『あ、バスで一緒になっただけです。僕は先が長いので先に進んできました』
『どこまで行きなさる?』
『えーっと、伊香保抜けて金島駅まで』
『はあ?そうか』分かってない様子です。
『この先のスルスル岩面白いから。道沿いにあるよ』
スルスル?ツルツル?岩?
岩峰なんだなきっと。
岩登りなんだな?
『ありがとうございます、じゃ寄ってみますね』
『おー頑張って。気をつけて行けよ、頑張れー』
紅葉の話、この山域の話、自分が行った山の話、いろいろ聞かせられたけど割と早めに進むことを許されました。
さ、ここからは自分のペースで行くぞー。
しばらく行くとスルス峠に近くなりました。
スルス峠?
スルスル岩じゃなくて「スルス岩」だったのかな?なまっていてわからなかった(笑)。
ありました「スルス岩」
あちらこちらにあるような小さな岩峰でした。
ちょっと危ない感じが楽しいのでしょうね。
さほど時間がかからないようですが、そこまで興味がわかずそのまま先を急ぎました。
たしかこの先に休憩舎があるはず。
そこでお昼にしよう。
靴下の縫い目が当たってマメができそうだから、そこで絆創膏をはっておこう。
休憩舎が見えてきました。
あ、賑わってる。
登山道の段差に腰掛けてラーメン食べている中年女性、親を連れているようです。
休憩舎内にはおじさんがひとりで荷物を広げて独占しています。
ここでお昼にするのをやめました。
この先にあるだろうベンチでいいや。
ところが…
その3へ続きます。
榛名神社の中に入ると、あちらこちらに見どころがありました。
紅葉も綺麗でみんなカメラやスマホで撮影していました。
一番奥まで詰めると、そこから先は登山道となりました。
そしてまるっきりの一人になりました。
しばらく行くと驚くことに人影が。
あ、あの渋いザックのおじさんだ。
もしかして関東ふれあいの道歩いてるとか。
追いついたら聞いてみようっと。
ところがなかなか追いつきません。
なるほど…
若い頃から登っていて、最近はお手軽な山をちょこちょここまめに登っているタイプだな?
やっと追いつきました。
『こんにちは、今日はいい具合ですね』
それで軽くスルーするつもりでした。
ところが後ろから話しかけてきました。おまけについてくる。
そして速い。
やばい、スピード変わらないぞ。
見た目には60代半ばぐらいです。
これは相当こなしてるな…。
『若い頃から相当登ってきましたね?』
『そうだねぇ、もう1000ぐらいは登ったかな。そはちらもだいぶ歩いてますね、わかる』
『僕はまだ600ぐらいです』
『だんだん低山の方が良くなってね、花があるから。高いところも良いけど花が無い』
花が…無い?
そうかなぁ… と思ったけど、たしかにどこでも咲いているわけではないしね。
『なるほどぉー』
と返しました。
榛名界隈も何度も足を運んでいるようで、いろいろ教えてくれました。
『ここはユウスゲが群生するんだよ。夕方から夜にかけて咲くんだ』
それは興味深いですね。
一度見てみたいと思いました。
『ユウスゲってほらニッコウキスゲにそっくりなあれだよ』
『あーそうなんですね?やはり花は一日で終わるのですか?』
『そう、そうなんだ』
ちょっと調べてみたら、榛名山はユウスゲの代表的な群生地のようです。
山に登るということは山を知るということなんだな。僕はまだまだ浅いな…。
『ここは氷室山かな?』と渋いザックのおじさんが言いました。
山名板がないので気づきませんでした。さすが。
この山域、やっぱりでこぼこで何度も噴火を繰り返してきただけありますね。
階段が多いし傾斜が急です。
渋いザックのおじさんに遅れないよう(だってかっこ悪いじゃん僕の方が少し若いんだから)頑張ります。
息が上がっているのがバレないようにそっとハアハアします。
何度も小さく登り降りしましたが、階段の長い下りで『どうぞ先に行って下さい。あなたはこの先長いから俺が足手まといになっちゃいかん。この先気をつけて』
あ、山の楽しみ方をよく分かっていらっしゃる。
楽しいところだけ共有して、あとは深入りしない。それがお互いに一番肝心なことかもしれませんね。
絶妙なタイミングで別れました。
『楽しいお話をありがとうございました。それではここで… ってまたあっという間に追いつかれるかも知れませんけど』
長い行程を意識していたので、このコースの登りで遅れないようにしたかった僕。
渋いザックのおじさんのおかげで、かなり短縮できました。そして、ずいぶん疲れました。
榛名湖を紅葉する木々の間から見るのは、とても素晴らしかったです。
風も爽やかだし、天気もまずまず。
天目山に着きました。
60代半ばぐらいのご夫婦に会いました。
話し好きなのかマシンガントークを浴びせてきます。
『あれ?仲間は?声が聞こえていたよ』
『あ、バスで一緒になっただけです。僕は先が長いので先に進んできました』
『どこまで行きなさる?』
『えーっと、伊香保抜けて金島駅まで』
『はあ?そうか』分かってない様子です。
『この先のスルスル岩面白いから。道沿いにあるよ』
スルスル?ツルツル?岩?
岩峰なんだなきっと。
岩登りなんだな?
『ありがとうございます、じゃ寄ってみますね』
『おー頑張って。気をつけて行けよ、頑張れー』
紅葉の話、この山域の話、自分が行った山の話、いろいろ聞かせられたけど割と早めに進むことを許されました。
さ、ここからは自分のペースで行くぞー。
しばらく行くとスルス峠に近くなりました。
スルス峠?
スルスル岩じゃなくて「スルス岩」だったのかな?なまっていてわからなかった(笑)。
ありました「スルス岩」
あちらこちらにあるような小さな岩峰でした。
ちょっと危ない感じが楽しいのでしょうね。
さほど時間がかからないようですが、そこまで興味がわかずそのまま先を急ぎました。
たしかこの先に休憩舎があるはず。
そこでお昼にしよう。
靴下の縫い目が当たってマメができそうだから、そこで絆創膏をはっておこう。
休憩舎が見えてきました。
あ、賑わってる。
登山道の段差に腰掛けてラーメン食べている中年女性、親を連れているようです。
休憩舎内にはおじさんがひとりで荷物を広げて独占しています。
ここでお昼にするのをやめました。
この先にあるだろうベンチでいいや。
ところが…
その3へ続きます。