小さい声で言うが、私は酒が強い。自分で言うのだから相当のものである?? などとは言っても加齢と共に急激に弱くなり、最近はめっきり飲酒量が減少しているのではあるが。若かりし頃は“ざる”との異名を取っていたが、親譲りで肝機能が相当優れていたのか、飲めども飲めども酔いが回らなくて私本人はむしろつらかった程だ。宴会では周りが気を利かせてくれ、いつも気心が知れた飲み仲間が一升瓶を抱えさせてくれたものである。
独身時代が長かったこともあり、当時は職場や飲み仲間の酒宴には足繁く出かけた。いつもメンバーは圧倒的に男性が多かったが、飲む量は誰にも引けをとっておらず、いつも三次会、四次会と空が白むまで飲み明かしたものだ。
妊娠、出産と共に必然的にしばらく酒宴とは遠のいていた。
子どもが幼稚園に在籍していた時、PTAの飲み会に出席する機会があった。その頃は既に時代が進化していたようで、主婦の皆さんも女同士のグループ等で飲み会を開くことも珍しい事ではないとの噂も耳にしていたため、私も初めての女性主体の酒宴をとても楽しみに出かけた。
会場に着いてみると、40名程の酒宴であるのだが、テーブルの上にはアルコール類はびんビールがまばらにあるのと焼酎の700mlボトルが一本置かれているのみである。ずい分と貧弱なため追加注文するのかな、と思いつつ宴会は始まった。びんビールがグラスに注がれ乾杯の後(私の常識では通常そのビールは飲み干す人が多いのだが)、皆さんチビリチビリとたしなんでいらっしゃる。(やっぱり、女性の飲み会は上品だな。これに合わせなきゃいけないんだ…。)と思っているうち、驚いた事に早くも皆さん盛り上がり始め、声は大きくなるし既に席を立ち始める人まで出現するではないか! こんな経験は産まれて初めてで、(えー、もう出来上がっちゃったの!?)と私は驚くばかりである。唖然として白けていると、ひとりの主婦が「何やってるの、あなたも飲みなさいよ!」とけしかけてくるので、それでは焼酎でも飲むかと思って自分でボトルをグラスに注ぎ始めると、「ちょっと!! これは濃いお酒なのよ!そんなの飲んだら大変な事になるわよ!」と、そのお母様は本気で慌てふためいて私からボトルを取り上げに来るではないか。私はさらに驚愕し、(ここでは飲めないんだ…。)と悟るしかなく、後は宴会が早く終了するのを待つのみであった。結局、ビールの追加さえまったくなく、焼酎ボトルは私がグラスに注いだ以外は誰にも飲まれることのないまま宴会は終了した。
場は変わって、数年前アルバイトの主婦仲間から小グループの飲み会に誘われた時のことだ。その主婦たちは普段、「昨夜は主婦仲間と夜中の一時半まで居酒屋で飲んでしまった。」等、頼もしい話をしばしばしているため、今度こそはまともに飲めるのかと期待し、その誘いに乗ることにした。今回はあらかじめ、私は飲兵衛であるという予備知識も皆に吹聴しておいた。 さて、行ってみると池袋のビルの地下にある粋な照明のなかなか本格的な居酒屋で、これは充実した時間が過ごせそうだと期待した。まずは皆さん、薄めの酎ハイ類を注文するので、私もとりあえずはそれに合わせることにした。乾杯をして飲み始めると、またまた皆さんチビリチビリなのである。私は一杯目だけは自分を押し殺して皆さんのペースに合わせたが、今回は少人数だったこともあり二杯目からはマイペースで行こう!と決めた。ところが、皆さん誰もお替りもせず既にいい気分のようで、ひたすら爆食しながらくっちゃべってばかりいる。私が三杯目のお替りをした時、ついに皆さん唖然として私に注目し、「すごく強いね!!」と一斉に目を丸くして驚くのである。後はお察しの通りであるが、私は少しも酔っていないのにもはや飲むことはできず、収拾のつかない話に長時間つきあう羽目となる訳である。
それ以降は、この種(マイペースで飲めそうもない類)の酒宴は私にとってはストレスが溜まるばかりなので、基本的にお断りすることにしている。
決して、主婦の皆さんに酒豪になることを奨励している訳ではない。私が言いたいのは、酒の付き合いとは難しいものだということだ。私のように元々酒が強くて、長い“ハイミス”時代を送ったために、長年にわたり男社会で様々な酒宴を経験してきた女性は少数派であるのかもしれない。そんな長い飲兵衛遍歴の中で自分なりに心地よいと思える飲み方を習得してしまっているのだ。 飲み仲間というのは、普段の仲良しとは別に、飲める量や飲み方等に共通項があって自然発生的に出来てくるものなのである。そして、この飲み仲間の絆は強い。なぜならば、酒の勢いで醜態を晒し合っているからである。
それ故に、子育て中の身である等の立場上、そのような気心の知れた飲み仲間を失わざるを得ない近年は寂しいものである。ただ、年月が流れ自分の生活形態が変化していく中で、酒の飲み方も移り行くのは必然であり、もしかしたら誰しも大なり小なり同じ思いなのかもしれない。
加齢と共に急激に酒に弱くなっていく体に感謝しつつ、節酒に心がけよう。
独身時代が長かったこともあり、当時は職場や飲み仲間の酒宴には足繁く出かけた。いつもメンバーは圧倒的に男性が多かったが、飲む量は誰にも引けをとっておらず、いつも三次会、四次会と空が白むまで飲み明かしたものだ。
妊娠、出産と共に必然的にしばらく酒宴とは遠のいていた。
子どもが幼稚園に在籍していた時、PTAの飲み会に出席する機会があった。その頃は既に時代が進化していたようで、主婦の皆さんも女同士のグループ等で飲み会を開くことも珍しい事ではないとの噂も耳にしていたため、私も初めての女性主体の酒宴をとても楽しみに出かけた。
会場に着いてみると、40名程の酒宴であるのだが、テーブルの上にはアルコール類はびんビールがまばらにあるのと焼酎の700mlボトルが一本置かれているのみである。ずい分と貧弱なため追加注文するのかな、と思いつつ宴会は始まった。びんビールがグラスに注がれ乾杯の後(私の常識では通常そのビールは飲み干す人が多いのだが)、皆さんチビリチビリとたしなんでいらっしゃる。(やっぱり、女性の飲み会は上品だな。これに合わせなきゃいけないんだ…。)と思っているうち、驚いた事に早くも皆さん盛り上がり始め、声は大きくなるし既に席を立ち始める人まで出現するではないか! こんな経験は産まれて初めてで、(えー、もう出来上がっちゃったの!?)と私は驚くばかりである。唖然として白けていると、ひとりの主婦が「何やってるの、あなたも飲みなさいよ!」とけしかけてくるので、それでは焼酎でも飲むかと思って自分でボトルをグラスに注ぎ始めると、「ちょっと!! これは濃いお酒なのよ!そんなの飲んだら大変な事になるわよ!」と、そのお母様は本気で慌てふためいて私からボトルを取り上げに来るではないか。私はさらに驚愕し、(ここでは飲めないんだ…。)と悟るしかなく、後は宴会が早く終了するのを待つのみであった。結局、ビールの追加さえまったくなく、焼酎ボトルは私がグラスに注いだ以外は誰にも飲まれることのないまま宴会は終了した。
場は変わって、数年前アルバイトの主婦仲間から小グループの飲み会に誘われた時のことだ。その主婦たちは普段、「昨夜は主婦仲間と夜中の一時半まで居酒屋で飲んでしまった。」等、頼もしい話をしばしばしているため、今度こそはまともに飲めるのかと期待し、その誘いに乗ることにした。今回はあらかじめ、私は飲兵衛であるという予備知識も皆に吹聴しておいた。 さて、行ってみると池袋のビルの地下にある粋な照明のなかなか本格的な居酒屋で、これは充実した時間が過ごせそうだと期待した。まずは皆さん、薄めの酎ハイ類を注文するので、私もとりあえずはそれに合わせることにした。乾杯をして飲み始めると、またまた皆さんチビリチビリなのである。私は一杯目だけは自分を押し殺して皆さんのペースに合わせたが、今回は少人数だったこともあり二杯目からはマイペースで行こう!と決めた。ところが、皆さん誰もお替りもせず既にいい気分のようで、ひたすら爆食しながらくっちゃべってばかりいる。私が三杯目のお替りをした時、ついに皆さん唖然として私に注目し、「すごく強いね!!」と一斉に目を丸くして驚くのである。後はお察しの通りであるが、私は少しも酔っていないのにもはや飲むことはできず、収拾のつかない話に長時間つきあう羽目となる訳である。
それ以降は、この種(マイペースで飲めそうもない類)の酒宴は私にとってはストレスが溜まるばかりなので、基本的にお断りすることにしている。
決して、主婦の皆さんに酒豪になることを奨励している訳ではない。私が言いたいのは、酒の付き合いとは難しいものだということだ。私のように元々酒が強くて、長い“ハイミス”時代を送ったために、長年にわたり男社会で様々な酒宴を経験してきた女性は少数派であるのかもしれない。そんな長い飲兵衛遍歴の中で自分なりに心地よいと思える飲み方を習得してしまっているのだ。 飲み仲間というのは、普段の仲良しとは別に、飲める量や飲み方等に共通項があって自然発生的に出来てくるものなのである。そして、この飲み仲間の絆は強い。なぜならば、酒の勢いで醜態を晒し合っているからである。
それ故に、子育て中の身である等の立場上、そのような気心の知れた飲み仲間を失わざるを得ない近年は寂しいものである。ただ、年月が流れ自分の生活形態が変化していく中で、酒の飲み方も移り行くのは必然であり、もしかしたら誰しも大なり小なり同じ思いなのかもしれない。
加齢と共に急激に酒に弱くなっていく体に感謝しつつ、節酒に心がけよう。