原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

娘の新社会人初出勤の門出に感無量

2016年04月02日 | 自己実現
 我が子が幼少の頃には、新年度初日の4月1日に新入社員として入社式の日を迎える日が訪れるなど夢にも思っていなかった。
 私はサリバンの立場として、一生この子の面倒をみつつ年老いて死を迎えねばならないと腹をくくっていた。


 昨日2016年4月1日、少し肌寒く曇り空の天候ながら穏やかで静かな朝を迎えた。

 時を遡るが、4年前の4月に亭主の定年退職と娘の大学入学が同時にやって来た。
 そんな我が家だが、両人共に生活時間帯の自由度が高くなった事を良き事として、料理嫌いの私は朝食を皆で一緒に食べる習慣を独断で取り止めると宣言し、朝の時間帯の家族それぞれの“自由度”を保障した。

 それから4年の年月が経過した昨日、娘の初出勤に合わせ久しぶりに午前6時前に起床し台所に立った私だが、何故か亭主までが一緒に起きて来る。
 (あんたが起きて来たって何の役にも立たないから寝てりゃいいのに…)と内心思いつつ、亭主としても娘の初出勤の日に居ても立ってもいられない心境だったのだろう。

 その後まもなく娘が朝食にやって来る。 こんな早朝の時間帯に一家3人が顔を合わせるのはまさに4年ぶりの事だ。
 朝食後娘は出勤の準備に取り掛かる。 いつもの事ながら準備作業に時間がかかる娘だが、その間私は本日の天候や首都圏鉄道情報をネット上で丹念に調査した。 ついでに娘の本日の星座占いまで調べ上げたところ、そのすべてが娘の門出をバックアップしてくれるがごとく平静を保っていた!
 特に星座占いによれば、「今日は周囲の人達が貴方を助けてくれる事が多いから、必ずお礼を言うように」との記述だったため、それを娘に伝えると、「全くその通りだと思うから、そうする。」との返事だ。

 そして、娘は初出勤の職場へと出かけて行った。

 前夜はほとんど眠れなかった私だが、それでもとりあえず無事に娘が職場へ出かける姿を見送った事で既に感無量だ。
 亭主は再び自室へ戻って寝直している様子だが、サリバン母の私の脳裏には22年半の壮絶な娘との歴史が交錯し、涙がとめどなく溢れ出る。

 その後も、ちゃんと就業時間前に職場に到着できたのか? 道中大都会の通勤ラッシュに疲れ果てて下痢でも起こしていないか??  サリバンとしての心配の種は尽きない…
 午前10時過ぎになり、娘から何の連絡もない事にやっと安堵した私だ。


 昼頃になり、テレビニュース報道にて今年の新入社員入社式の映像を多数見た。 
 それにより、数千人もの大量採用をしている大手企業や東京都庁等の映像を垣間見ることが叶った。

 あくまでも集団嫌いな私の観点からだが、我が娘がこの映像内マンモス入社式の一新入社員として入社していたとしたら…  と思いゾッとした。
 (世に言うところの)エリート達が、この種大量採用企業や公的団体の採用試験に合格し入社が叶っているのだろう。 親御さん達とすれば、これぞ我が子の快挙!と祝福する姿も思い浮かぶ。
 ただ、私の感想はまったく異なる。 おそらくこの大集団から一人消え、二人消え…して…  結局巨大組織に残るのはプラスマイナスの意味合いで大規模組織への“特異的適合力”のある一部の人材のみではなかろうか?  
 飛躍的な私論を述べるならば、確かに収入面では安定していようが、そんな人生が面白い訳もないだろうと他人事ながら気の毒にすら思ったりもする…


 ここで、朝日新聞4月1日夕刊記事より新入社員入社式の一部を紹介しよう。

 「新戦力 ともに『チャレンジ』」と題するその記事のトップに取り上げられているのは、コンビニ大手の“ローソン”だ。  ローソンの入社式は都内ホテルで実施され、前年よりも多い174名の新入社員が式に臨んだ。 社長は、我々は変化対応業。常に頭を変化させ、挑戦を続ける事が大切」と呼びかけたらしい。
 はたまた、資源ビジネス損失が膨らみ2016年3月期の純損失が戦後初めて赤字に転落する見通しの三井物産。  昨年より多い187名の新卒正社員を迎えたようだ。 社長氏曰く、「どのような環境変化にも耐え得る強靭な収益基盤の構築を進める」
 さらには、台湾企業の傘下にて再建を目指すシャープ。 新入社員118名が参加したそうだ。 社長氏は今回の台湾傘下に対して「成長する東アジアのシンボルとも言うべき存在」と語った上で、「新しい門出の年に新入社員皆さんと共にスピード感を持って果敢にチャレンジする」と述べた。
 (以上、朝日新聞記事より一部を引用したもの。)


 最後に、原左都子の私論に入ろう。

 いやはや上記朝日新聞を読むと、創業以来の歴史が長い「三井物産」は(今後の存続力との意味合いで)ともかくとしても…。
 フランチャイズ経営にて諸問題を内在している「ローソン」や、台湾傘下との選択肢しか方策が取れなかった「シャープ」に、よくぞまあ親として可愛い我が子の入社に同意したものと呆れるばかりだ。
 いやいや、如何なる思いで我が子を就職させようとそんな事はそもそも親の勝手であるし、所詮子供の自由な選択に任せれば済む事であろう。

 それでも今後新入社員として就職する子を抱えている親達とは、おそらく原左都子夫婦よりも年代が若い世代の方々であろうと推測する。 
 大事なご子息が入社する企業団体の今後の組織維持力や発展力をご子息が自ら考察判断して入社したとの自負があるならば、それを応援すればよい。
 そうではなく、単に新入社した本人(及び親)がその企業ブランド力のみに依存してそれを祝っているとするなら、退職時期が早期に訪れるかもしれないと懸念するのだ。

 我が娘の新卒入社に際し、娘就職先の会社に関して親である私(及び亭主)が、水面下でネット情報等々によりこの半年間調査し続けた。 
 娘がゲットした就職先は、決して「ブラック企業」ではない事を確認済みである。


 冒頭に戻るが、我が娘が大卒新入社員として就職出来るなど遠い昔には一切想定していないサリバンだった。 
 それが何と、娘自身の就活力で自分が欲する企業と折衝し、就職先を自らゲットして昨日の4月1日に入社式を迎えた。

 今に至っては、サリバン母から何も言うことはない。
 今後も自力でその企業で自己実現しつつ生き抜くべく、日々頑張れ!!