原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「卓越大学」制度の発足で日本の研究力が向上するとは思えない…

2023年04月07日 | 時事論評
 冒頭より、2023.04.06付朝日新聞「社説」を要約引用しよう。


 世界トップレベルを目指す「国際卓越研究大学」の公募に、10校が応募した。 政府が数校を選び、10兆円規模の大学ファンドの運用益で、1校あたり年数百億を支援する。
 この制度が作られたのは、日本の研究力が落ち続けているからだ。 例えば文科省が昨年発表した指標によると、引用された数が各分野のトップ10%に入る論文数はG7諸国で最低になり、韓国、スペインにも抜かれた。
 今回の公募は、抜本的に大学を変革する狙いがある。 政府の支援とともに年3%の事業成長で資金力を高め、世界から多様で優秀な研究者や博士課程の学生を集め、設備や研究支援も充実させる。 
 しかし研究力低下の原因と指摘され続けてきたのは、実用に繋がる応用研究の優先や、若手を中心とした研究者の雇用の不安定化などだ。(中略)
 この施策の検証や反省なしに、一部の大学に資金を集中する政策を進めては、これまでの二の舞となりかねない。 (途中大幅略)
 イノベーションを起こすような飛躍的な成果は、予想できないところから芽生える。 自由な発想や多様性、裾野の広さが欠かせない。 今回応募した側の危機感も強く、研究の多様性を確保する指標の設定、地方大学への支援を考える大学もある。 (途中大幅略)
 選考を担う有識者会議は、科学技術政策の「司令塔」である政府の総合化学技術・イノベーション会議のメンバー、国内外の大学関係者や財界人らで構成される。どんな目利きができ、何を注文するのか。
 従来のように、目先の成長への貢献を求める方向で計画を改めさせることはないか。 政府や産業界から資金を得やすい分野、論文の引用数が期待できる分野だけを重視しないか。 懸念は尽きない。 大学の自治や研究の自由を損なっては元も子もない。 政府や有識者会議は、過度な介入を慎むべきだ。

 (以上、朝日新聞「社説」より一部を引用したもの。)



 今回この「国際卓越研究大学」への認定を目指して申請をした大学名を、以下に列挙しておこう。

 東京大、東京科学大(東京工業大と東京医科歯科大が統合予定)東北大、筑波大、東京理科大、早稲田大、名古屋大、京都大、大阪大、九州大。
 以上の10大学だ。
 今後文科省は大学側へのヒアリングや現地視察などの審査を進め、秋以降に数校を認定する見通し。 大学側に年3%程度の事業成長を求めており、その具体策も評価する、との事のようだ。
 国立大学が8校、私立は東京理科大学と早稲田大学のみとなっている。


 この原左都子も過去に医学関係業務に従事していた時代に、独自の研究に加えて大学との共同研究を幾度か経験している。 
 研究成果を学会発表等の手段で、公に示すのだが。 
 日々研究室にこもって地道な実験等々を幾度も繰り返した挙句の、学会発表だった記憶が未だ新しい。

 上記に引用した朝日新聞「社説」によれば、日本の研究力が落ち続けている、と書かれている。 引用された数が各分野のトップ10%に入る論文数はG7諸国で最低、とあるが…
 私は以前から訴えているが、“引用された論文数”で科学研究の順位付けを成すのはどうだろうか???
 引用されない論文の中にも、世に貢献する研究はいくらでも存在するはずだ。


 今回の「国際卓越研究大学」の公募に於ける、選考有識者会議とやらの“能力”の程も懸念材料だ。
 国内外の大学関係者はまあともかく、財界人に研究内容の選考力があるのだろうか??
 とにかく、いつも怪しく思ってしまうのはその辺の不透明さである。😱 


 10兆円規模の大学ファンドの運用益にて、一校あたり年数百万円もの支援をすると言うが…

 どうかその大金が“あぶく銭”とならないような「国際卓越研究大学」公募構想であることを、一般国民の一人として願いたいものだ。