原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

大学病院医師の3割が「過労死ライン」の厳しい現実…

2023年04月26日 | 医学・医療・介護
 この原左都子も、昨年10月に路上で激しく転び「左膝複雑骨折」等々で歩行不能となり大病院へ救急搬送された経験がある。

 その際に 大病院に於ける救急医療の実態をまざまざと見てきたため、大病院の医師達が「過労死ライン」に置かれている事実が実感として掴めている。


 あの救急搬送の日の事は、一生忘れることも無いが。
 とにかく左膝がガクガク状態で歩行困難となったため、自宅(参考だが、転んだ場所から自宅までは“火事場の馬鹿力”で一人で帰ったのだが😲) 、家に帰って亭主の顔を見るなり一歩たりとての歩行が困難である事実を悟り、救急搬送を依頼した。)

 救急隊員の方と救急車内で転んだ時の状況等を説明していた際に。 顎も強打し脳震盪を起こしたせいで一部の記憶が飛んでいる事実が判明した。
 何と言っても人間にとっては脳の異常が一番大きな打撃であり、それに合わせて隊員氏が搬送先の病院を選択し、自宅より多少遠くなったが「脳神経科」のある大病院へ搬送して下さった。

 その大病院の救急搬送受付が大混雑の様子で、救急車に乗ったまま かなりの時間待たされた。
 やっと救急受付外来を通過し、運び込まれた救急患者専用病棟が大混雑だった事実を未だに忘れもしない。

  混雑した病棟内で、私に用意されたベッドは入口の直ぐ近くだったのだが。
 まずは看護師氏が来てくれて、とりあえずは「全身のCT撮影をする」との説明だったが、それの実施までに何時間待たされたか!! 

 とにかく、救急搬送を家からお願いしたのが午後6時過ぎだっただろうか?
 病院に到着した後の時間経過はまったく不明だが、その日救急病棟にて諸処置をして、骨折が一箇所だったためにすぐの入院ではなく、一旦自宅に戻ってもらうとのことで。
 家に戻ったのが夜中の2時半頃だったため、病院での救急措置に約8時間半程費やした事実となる。


 その8時間半の内訳とは、CT検査、一般検査の採血、心電図、それに医師の問診、コルセット装着や簡単な松葉杖練習、等々だっただろうか? 医学措置自体は全部で1時間も要しなかったため、あとの7時間半ずっと待ち時間だった訳だ。

 
 私の場合は医学関係者でもあるため、医学措置や医療関係者の動きが気になる。
 それらの観察をしていると、意外と退屈はしないのだが。

 それにしても、8時間半内の医師先生たちの動きの“凄まじさ”を忘れることは無い。
 救急部屋に50人程の救急搬送患者がいただろうか?
 それら皆を診察して回っている何名かの医師先生(比較的若い世代の医師が多かった)の業務の様子を観察していると、傍で見ている方が疲れる程の激務だった。 それにもかかわらず、疲れた顔一つも見せず業務に当たられている様子に脱帽だったものだ。



 話題を変えて、2023.04.22付朝日新聞記事「大学病院医師 3割『過労死ライン』 1,5万人、年960時間超の残業見込み」より、以下に一部を引用しよう。

 2024年度から医師の働き方改革が始まるのを前に、全国医学部長病院会議が全国の81大学病院の医師の勤務実態を調査し、公表した。 現状では、約3割が「過労死ライン」を超える時間外労働となることがわかった。 (中略)
 調査は、文科省の委託事業として昨年実施。 大学病院に医師の勤務実態の把握状況などを聞いた。 その結果、約3割にあたる最大1万5千人で、24年度の時間外労働が年960時間を上回る見込みとなった。 過労死ラインとされる「月80時間」を超える水準で、すべての大学病院が特例の適用を求める申請を予定しているという。
 医師の多くは、大学病院以外でも週数日勤務するなど地域医療を担っている。 一方、労働時間の実態把握は十分ではなく、長時間勤務が状態化していた。

 (以下略すが、以上朝日新聞記事より一部を引用したもの。)



 半年程前に、まさに大病院の救急搬送病棟にてその「医師の過労死ラインを超える水準」で働いている医師の皆さんの姿を直に見てきた身として。

 あの医師達の超過労状態をどうにかせねば、我が国の救急搬送現場を含む臨床医療現場が破綻するのではないか!?! なる危機感を私も抱く。

 とは言えども、他の職場の如くの「仕事の効率化」なる対策が適用しにくい現実が医療現場にはあるであろう。

 いま現在は、パラメディカル職員体制も充実して来てはいるが。
 それでも尚、医療現場を中心に担う医師の負担の程が今後ますます増大していくであろう事実を思うに。

 実に切実な課題であるなあ、としか元医学関係者として結論付けられないのが悲しくもある… 😰