冒頭から、ネット情報を引用しよう。
脳、胸、腹、腸、腰…。人体の漢字に「月」がやたらと多いワケとは?
人体の面白さ、医学の奥深さを伝える『すばらしい人体』が発刊された。坂井建雄氏(解剖学者、順天堂大学教授)
「まだまだ人体は謎だらけである。本書は、人体と医学についてのさまざまな知見について、魅力的な話題を提供しながら読者を奥深い世界へと導く」と絶賛されている。今回は、著者が書き下ろした原稿をお届けする。
漢字のふしぎ
胸、腹、脳、腕、腸、腰、膝、骨、肺、肘、肩…体に関連する漢字は、ほとんどが「月」を持つ。医学の教科書を開き、そこに並んだ漢字を眺めれば、おびただしいほどの「月」を観察することができる。
例えば、「腹腔動脈(ふくくうどうみゃく)」という名前の血管がある。この単語は、4文字中3文字が「月」を含む。ちなみに腹腔動脈とは、胃や肝臓、膵臓、脾臓などの腹部の臓器に血液を送る、太い重要な動脈だ。
いま、「ちなみに腹腔動脈とは、胃や肝臓、膵臓、脾臓などの腹腔内の臓器に血液を送る、太い重要な動脈だ」という一文を書いたが、この文中に「月」は14回登場する。
恐るべき数である。
また病気の名前も、「月」を含むものばかりだ。 例えば「胆嚢腺筋腫(たんのうせんきんしゅ)」は5分の4が「月」であるし、「髄膜腫(ずいまくしゅ)」や「胸腺腫(きょうせんしゅ)」に至っては全て「月」を含む、すなわち「月」含有率100%である。
おびただしい数の「月」
私たち医師は、学生時代から今に至るまで、病名や臓器名などの医学用語を何度も繰り返し書いてきた。思えば、カルテや紹介状を書くたび、おびただしい数の「月」を日々、綴っているのである。
そういうわけで、医学を専門とする私たちは、夜空に浮かぶ月を見上げるたび、医学という学問に思いを巡らす―。 というのはもちろん冗談である。
体に関連する漢字が持つ「月」という部首は「にくづき」と呼ばれ、空に浮かぶ「月」とは関連がない。 この「月」は、「肉」という文字に由来するからだ。「肉」が漢字の「へん」として用いられる際に、「月」と似た形に変化したのである。
まさに、「肉体」に関連する漢字に「肉」が含まれる、という納得の理由があるのだ。
(以上、ネット情報より一部を引用したもの。)
この原左都子も医学部パラメディカルコース出身者だが、在学中には「月」の部署が付く漢字と日々出会っていた記憶がある。
これに関して、その理由を語ってくれる医学部恩師には出会わなかったように記憶しているが。 当時、自分でそれを調べてみたように思う。
その時に調査した内容の記述が、現在のネット上でも沢山発見可能だ。
それらの一部を、以下に引用してみよう。
紀元前1500年(現代より3500年前)の甲骨文字や金(かね)文(ぶん)が今の漢字のルーツといわれる。
実は、腹や胸などにつく「月」と夜空に見える「月」は別もの。
あるいは。
「体につく月」は「肉」という文字が変形して「月」になったもの。
「にくづき」という名前からもお分かりのとおり、「肉」からきている「月」ということです。
「にくづき」という名前からもお分かりのとおり、「肉」からきている「月」ということです。
これに関連して女性の生理が「月経」と呼ばれることに関し、若き頃の私は興味を抱いた。
上記の引用文の如く、臓器の名に付けられている「月」と夜空に見える「月」は別者らしいのだが。
それにしても、月の満ち欠けの周期と女性の生理の周期の日数が一致している実態に、大きな興味を抱いたものだ。
いやもちろん、生理の周期の個人差は大きい。
ところがこの私に限っては、いつもほぼ正確に28日目に次なる生理がやってきたものだ。
しかも、私の場合その途中に来る「排卵日」も手に取るように分かった。
排卵日を境にして体調が急激に悪化するのが我が身体の特徴だったが、それから次の生理が始まる日まで体調面で辛い日々が続いたものだ。
以前にも公開しているが、しかも私は「生理出血過多症状」を抱えていた。
そのため生理中も強度貧血症状に苛まれ続けたものだが、これが終って次なる排卵日までは穏やかな日々を送れたものだ。
要らぬ私事が長引いたが。
旧暦とは、この月の満ち欠けを基準に作られたことであろう。
それと女性の生理がほぼ同じ周期である事実に、(実に辛かった生理時代を当の昔に終焉している我が身にとっては)何だかロマンを見出せる思いだ。
話題を表題に戻そう。
医学部へ進学すると、まさに人体の臓器の漢字に「月」が多い事実と直面する。
今気が付いたが、「臓器」の「臓」の字も月へんだ。
人体の臓器に付けられた月へん漢字と医学との関連の面白さに、(繰り返すが、実に辛かった生理時代を当の昔に終焉している)今になって再び興味を抱いた私である。