ガンバ大阪の宇佐美貴史が、ドイツ・サッカーの読売巨人軍・バイエルンミュンヘンに入った。昨年度のヨーロッパチャンピオンズリーグで準優勝のチームだ。それに対して、現在19歳の彼、近い将来を予言してみたい。
まずは、レギュラーにすぐにはなれないと思う。すぐにレギュラーになって大活躍した同じドイツ・ドルトムンドの香川対策に四苦八苦してきたドイツ・サッカー界には、十分に備えがあると僕は考えているからだ。2人とも同じく「ボールを受けてシュート」というタイプの香川と宇佐美は、プレースタイルがちょっと違う。助走を付けてボールを受けるのが上手く、そのまま走り抜けてシュートという香川と、ドリブルの天才と言われている宇佐美。香川に備えて走り出す前に身体を当てて止めることを考えているはずのドイツでは、宇佐美は多分ドリブル加速を許してもらえないのではないか。特に、縦方向へのドリブル加速は前から身体を当てられるはずだ。1人を交わしてもまた1人との構え、備えで。よって、横に走りつつボールをこねくり回すことを余儀なくされて、周囲を見る余裕もなく、苦し紛れにボールをいったん下げてしまい、チャンスがアウト。初めは、そう予想する。当たられても体幹が揺るがないから良いクロスが出せる長友のようになるまでは、最低で1年。それからの選手だと観る。だから、ザックがこう評したのであろう。「宇佐美はまだUー22の選手だ」。
バイタルエリアでボールを受けるタイプの選手と、そこに入っていってボールを出す選手。外国での日本人としては特に後者の方がはるかに大変なのだと思う。当たられても乱れない強さとバランスは、日本人の得意ではないことだ。ヒデや本田や長谷部、長友はこれに成功したが、宇佐美にはこの境地はほど遠いはずなのである。日本ですり抜けられるスピードがあった選手は、たいてい体を鍛える必要がなかったから、外国では当り弱いことになるのだと思う。
でも僕は、宇佐美が長友のように速く化けることを、心から期待している。