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 自民党流改憲の中核部分  文科系

2013年06月10日 17時22分39秒 | 国内政治・経済・社会問題
中日新聞がこの5日水曜日からこういう連載をやっている。『検証 自民党改憲草案 その先に見えるもの』。第一回目から以降、毎回テーマを設けて「その先に見えるもの」を論じているので、これまで5回のそのテーマをまず上げておきたい。「国防軍が海外展開」、「個人より国家優先」、「家族助け合い義務化」、「地方より中央に権力」、「国旗国歌に尊重義務」である。
 さて、この内容について僕なりにここで語ってきたことを先に述べておく。憲法そのもの自身の性格に関わる最も大きな改変方向としてこの5回全体にある一連の流れが存在するということだ。現行の国民が国家を縛るものとしての憲法というその基本性格を、国家が国民を「善導」するものに替えようとしている。

 第3回目の「家族助け合いの義務化」の中に、こんな解説があった。
『国民の憲法尊重擁護義務も定めている。憲法は本来、国民の自由と権利を保障するために権力を律する立憲主義のルールで、国民を縛る規範ではない』
 ここで言う『(主権者国民が)権力を律する立憲主義のルール』から『(主権者である)国民を(国家が)縛る規範』へというこの性格が、自民党流改憲の根幹と読めるのである。主人公である国民が国を律する基準、方向が憲法か、国が国民をいわば善導するようなものとしての基準、方向が憲法なのか、これは大変な違い、転換ではないか。まさにこういう指摘を意識しているからこそ、安倍首相は国会でこう答弁したらしい。これも、連載3回目にあった記述だ。
『「憲法は権力者を縛る側面もあるが、自由、民主主義、基本的な人権が定着した今日、国の理想や形を示すものでもある」。安倍晋三首相の国会答弁からも、憲法を国家の目指す姿を示し、それに向けた国民の義務を明記するものに転換しようとする姿勢が見える』

 「国の理想や形」というが、その内容は第一に主権者である国民が判断するものだろう。ところが、同じく第3回目で解説されていることだが、こんなことも出てくるのだ。
『現行憲法は勤労、納税、子どもに教育を受けさせるという三つの義務を国民に課しているが、伊藤真弁護士によると、自民党案にはさらに十の義務規定が追加されているという』
「国の理想や形を示す」と国が言い、そこで従来にはなかった多くの「義務」を新たに憲法に盛り込もうとし、そこから冒頭に見たこんなことも出てくるのだと見ることが出来る。「家族助け合い義務化」、「地方より中央に権力」、「国旗国歌に尊重義務」。
 例えば「個人より国家優先」もこんなふうになる。国民の権利追求や表現の自由やに関わって新たに「公益および公の秩序(に反しない限り)」という文言が加えられることになっている。従来「公共の福祉に反しない限り」とだけあったものを、このように書き直すというのである。「公益」「公の秩序」とは、国家裁量の余地を多く生み出すものである。それでもって、国民への制約を増やすという宣言と言える。

 さて、「権力を国民が縛る憲法」から「権力が国民を善導する憲法」へという改変は、同じ改憲でも他の事項とは性格が全く異なる。それを他のこととごちゃごちゃにして変えていくというのはおかしいと思う。この1点は、他と切り離して特別に主権者自身が十分に論議すべきことだと言いたい。代議士、国家も主権者に十分に説明、討議しつつなされるべき事柄だと。そうでなければまるで、中国も含めて従来存在下悪い意味での社会主義的全体主義国家のようなものではないかと、そう言いたい。
コメント (7)
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