148回で「ACLでも浮彫、日本の弱点」を以下の3点にまとめてみた。山本昌邦氏が指摘した「日本主流の戦い方の、中韓クラブとのミスマッチ」という言葉、発想を糸口にして。この「ミスマッチ」の要点とは、こうまとめたところだ。
『さて、この弱点分析は実に正しいと思う。ロングボールを屈強な外人選手など目がけて放り込まれて、そこからの2、3次攻撃も含めた速攻で得点されるという弱点である。これが実は、ザックジャパンが示す好不調の波の出所にもなっているとここで何度も述べてきた。去年の代表遠征に見られた「弱い10月と強い11月」とも言える大きな差もここにあったと指摘されてきたことでもあるし、もう少し詳論してみよう。
日本通常の攻守スタイルはこういうものだ。
①攻撃は、現在世界の最先端、パスを繋ぎ尽くす得点法
②守備は、前後どちらに構えても、縦に詰めた密集・コンパクト陣で敵ボールをより多く奪うやり方
③以上から必須となる敵カウンターに対する対策は、前陣からも常にプレスを掛けて良いパスを出させず、後陣はラインと、オフサイドトラップの精度とを上げること』
さて、この弱点を綺麗にカバーした経験を語っている読み物に最近出会えたので、要約紹介してみることにした。スポーツグラフィック「ナンバー849号」(3月27日号)ワールドカップ特集で日本の頭脳・遠藤保仁が語っているインタビューである。このインタビューでは、上記の言葉で言う『去年の代表遠征に見られた「弱い10月と強い11月」とも言える大きな差』のこと自身がテーマになっているので、この続きに相応しい格好な分析となるはずである。
まず、弱い10月2連戦はこう語られる。
『セルビア戦、ベラルーシ戦ではいい形がほとんどなかった。オカちゃんの裏への動きは読まれていたし、香川真司の中に入っていく動きも封じられていた。同様のケースはW杯のギリシャ戦でも十分起こりうる。じゃあその時何ができるか、みんなで共通のイメージを描けていなかったんでギクシャクしてしまった。選択肢がなさ過ぎたんだよね』
このように10月を分析する遠藤は、11月のオランダ戦、ベルギー戦にどう臨んだか。オランダ戦前にザックがミーティングで見せたDVDから、遠藤はこういう方向を確認したと述べている。自分らの攻撃の良い時の流れ(”日本の最大の武器”)を出し切ることと、攻撃の選択肢を増やすこととである。まず、”日本の最大の武器”はこう語られた。
『それは、DFの裏を狙うこと、サイドチェンジ、3人目の動きだね』
さらに、これに関連した11月2戦のできは、このように控えめな評価がなされた。
『ただ、あの2試合とも俺らが元々持っていた日本の最大の武器で点が取れていないからね。結果が出たからって、そこを見逃したらダメでしょ』
『オランダ戦で圭佑が決めたゴールのように、みんなが連動して攻撃できた方が日本にとってはいいのかも知れないけど、どこかで裏を狙って一発決めるとか、そういう”怖さ”もないといけない』
以上の攻撃についての言葉、確認の中からは、防御に対するこういったメリットも読み取らねばならないだろう。敵を押し込んで、DFラインをちゃんと上げたコンパクト陣型が出来ていれば、身方ボールを変な形では取られないし、取られても敵カウンターに繋がる良いパスをそうは出させないはずだと。このことは、強い11月によって、特にそれぞれ後半に遠藤が出てからの戦い方で証明されたと言える。それぞれの後半がどう変わったかを次回に観てみたい。遠藤の言葉で。
(続く)
『さて、この弱点分析は実に正しいと思う。ロングボールを屈強な外人選手など目がけて放り込まれて、そこからの2、3次攻撃も含めた速攻で得点されるという弱点である。これが実は、ザックジャパンが示す好不調の波の出所にもなっているとここで何度も述べてきた。去年の代表遠征に見られた「弱い10月と強い11月」とも言える大きな差もここにあったと指摘されてきたことでもあるし、もう少し詳論してみよう。
日本通常の攻守スタイルはこういうものだ。
①攻撃は、現在世界の最先端、パスを繋ぎ尽くす得点法
②守備は、前後どちらに構えても、縦に詰めた密集・コンパクト陣で敵ボールをより多く奪うやり方
③以上から必須となる敵カウンターに対する対策は、前陣からも常にプレスを掛けて良いパスを出させず、後陣はラインと、オフサイドトラップの精度とを上げること』
さて、この弱点を綺麗にカバーした経験を語っている読み物に最近出会えたので、要約紹介してみることにした。スポーツグラフィック「ナンバー849号」(3月27日号)ワールドカップ特集で日本の頭脳・遠藤保仁が語っているインタビューである。このインタビューでは、上記の言葉で言う『去年の代表遠征に見られた「弱い10月と強い11月」とも言える大きな差』のこと自身がテーマになっているので、この続きに相応しい格好な分析となるはずである。
まず、弱い10月2連戦はこう語られる。
『セルビア戦、ベラルーシ戦ではいい形がほとんどなかった。オカちゃんの裏への動きは読まれていたし、香川真司の中に入っていく動きも封じられていた。同様のケースはW杯のギリシャ戦でも十分起こりうる。じゃあその時何ができるか、みんなで共通のイメージを描けていなかったんでギクシャクしてしまった。選択肢がなさ過ぎたんだよね』
このように10月を分析する遠藤は、11月のオランダ戦、ベルギー戦にどう臨んだか。オランダ戦前にザックがミーティングで見せたDVDから、遠藤はこういう方向を確認したと述べている。自分らの攻撃の良い時の流れ(”日本の最大の武器”)を出し切ることと、攻撃の選択肢を増やすこととである。まず、”日本の最大の武器”はこう語られた。
『それは、DFの裏を狙うこと、サイドチェンジ、3人目の動きだね』
さらに、これに関連した11月2戦のできは、このように控えめな評価がなされた。
『ただ、あの2試合とも俺らが元々持っていた日本の最大の武器で点が取れていないからね。結果が出たからって、そこを見逃したらダメでしょ』
『オランダ戦で圭佑が決めたゴールのように、みんなが連動して攻撃できた方が日本にとってはいいのかも知れないけど、どこかで裏を狙って一発決めるとか、そういう”怖さ”もないといけない』
以上の攻撃についての言葉、確認の中からは、防御に対するこういったメリットも読み取らねばならないだろう。敵を押し込んで、DFラインをちゃんと上げたコンパクト陣型が出来ていれば、身方ボールを変な形では取られないし、取られても敵カウンターに繋がる良いパスをそうは出させないはずだと。このことは、強い11月によって、特にそれぞれ後半に遠藤が出てからの戦い方で証明されたと言える。それぞれの後半がどう変わったかを次回に観てみたい。遠藤の言葉で。
(続く)