今回紹介するのはK.Kさんの作品です。
『 新聞で育児ことわざを見つけた。「泣きっ面は放置」「花より団子虫」「急いではヘソを曲げられる」「一寸の虫にも五分立ち止まる」などである。私にも二歳と五歳の孫がいる。共働きの娘夫婦に助っ人を頼まれるから思い当たることばかりである。
先日娘から「仕事が長引いたから、保育園の迎え頼む」と連絡があり、私は仕事を早退して行った。急ぐあまり、いつもは二歳の次女が自分で靴をはくのに手を出した。すると、「自分ではきたかった」と大泣き。かえって面倒なことになってしまった。「ふぅ」、ため息がでる。これから夕食、風呂、九時には寝かせたいのに……。「またか」という顔で見ていた長女に「おばあちゃん、リオちゃんを泣かせないでよ。遅くなるでしょ」と、言われてしまった。次女が頑固なのはよく知っている。
その時、「あっ、団子虫」と、長女が足元を指さした。「えっ、どこ?」次女は泣き止み、探す。「いた」一匹の団子虫を手にのせた。すっかり笑顔になる。気をそらすのは私より長女の方がうまい。
手をつなぎ、歩き出す。掌が温かいから、ぐずったのは眠たかったのかも。もう六時半。帰りが最後になってしまった。園の門の扉を閉めると同時に、部屋の電気が消され、暗くなった。その中で団子虫を大切に握りしめ、やっと車にたどり着いた。育児ことわざは、孫に振り回される私が、〈皆も同じなのね〉と、気持ちをラクにできることわざだった。』
『 新聞で育児ことわざを見つけた。「泣きっ面は放置」「花より団子虫」「急いではヘソを曲げられる」「一寸の虫にも五分立ち止まる」などである。私にも二歳と五歳の孫がいる。共働きの娘夫婦に助っ人を頼まれるから思い当たることばかりである。
先日娘から「仕事が長引いたから、保育園の迎え頼む」と連絡があり、私は仕事を早退して行った。急ぐあまり、いつもは二歳の次女が自分で靴をはくのに手を出した。すると、「自分ではきたかった」と大泣き。かえって面倒なことになってしまった。「ふぅ」、ため息がでる。これから夕食、風呂、九時には寝かせたいのに……。「またか」という顔で見ていた長女に「おばあちゃん、リオちゃんを泣かせないでよ。遅くなるでしょ」と、言われてしまった。次女が頑固なのはよく知っている。
その時、「あっ、団子虫」と、長女が足元を指さした。「えっ、どこ?」次女は泣き止み、探す。「いた」一匹の団子虫を手にのせた。すっかり笑顔になる。気をそらすのは私より長女の方がうまい。
手をつなぎ、歩き出す。掌が温かいから、ぐずったのは眠たかったのかも。もう六時半。帰りが最後になってしまった。園の門の扉を閉めると同時に、部屋の電気が消され、暗くなった。その中で団子虫を大切に握りしめ、やっと車にたどり着いた。育児ことわざは、孫に振り回される私が、〈皆も同じなのね〉と、気持ちをラクにできることわざだった。』