安保関連法を今国会で成立させるに反対61%
内閣不支持5月比7%増え、支持率を上回る
2015/07/06毎日新聞調査
CBC・OB 大西 五郎
毎日新聞が6日朝刊で同紙が7月4~5日に行った全国世論調査の結果を発表しました。それによりますと、
安倍内閣はこれまでの歴代内閣が憲法九条によって禁止されているとしてきた集団的自衛権について憲法解釈を変え、行使を容認しようとしていますが、法案が憲法に違反していると考える人が52%ありました。安倍内閣は国会の会期を大幅に延長し、安全保障関連法案を今国会で成立させる方針ですが、法案についての政府・与党の国民への説明が「不十分だ」とする人が81%もおり、今国会での成立に「反対」する人が61%もありました。
安倍首相は安全保障関連法案そのものに対しても、審議の進め方にも過半数の国民が反対しているのもかかわらず国会内の与党議員の数で強引に成立を図ろうとしています。
このため、内閣支持率が下がり続けており、今回の調査では「安倍内閣を支持する」は42%と5月の調査よりも3%下がり、「支持しない」が7%増えて43%となり、不支持が支持を上回りました。
■調査結果 ※( )は5月の調査結果
【安全保障関連法案に】 賛成 29%(34) 反対 58%(53)
【法案は憲法に違反か】 違反だと思う 52% 違反だとは思わない 29%
【今国会での成立に】 賛成 28% 反対 61%
【政府の法案の説明は】 十分だ 10% 不十分だ 81%
【安倍内閣について】 支持する 42%(45) 支持しない 43%(36)
関心がない 13%(15)
国民の意思に反して「戦争できる国」へと暴走する安倍政権
毎日新聞だけでなく、TBSも同じく6日にJNN世論調査の結果を発表しましたが、この調査でも政府・自民党の法案への説明は「不十分だ」とする人が85%もあり、今国会で法案を成立させることに「反対」が59%ありました。
しかし安倍内閣と自民党、それに連立与党の公明党は、国民の意思など無視して、今国会中に法案を成立させようとしています。これまでの国会審議の経過を見ても、「自衛隊が地球の裏側まで出かけて行って、アメリカ軍と共同作戦をするのか」という質問に答弁が閣僚によって、また日によって少しずつ変化したり、自衛隊による後方支援や兵站に強引な安全根拠付けがされる。緊急事態の判断は時の政権の解釈によるなど、安全保障体制そのものが疑問だらけで、集団的自衛権の行使を可能にするという安倍政権の意思だけが前面に出ています。
「マスコミを懲らしめる発言は問題だ」が76%
また自民党の若手議員が開いた勉強会で「マスコミを懲らしめる」など国会議員が報道機関に圧力をかけるべきだとの発言があったことに対しても「問題だ」とする人が76%ありました。
自民党の谷垣幹事長は直ちに勉強会の主催者の木原稔青年局長を解任し、1年間の役職停止処分を行い、「マスコミに広告を出さないようにする」「テレビのスポンサーにならないように働きかける」などと勉強会で発言した3人に厳重注意しましたが、安倍首相は当初「国会議員には自由な発言が保障される」とか「議事録が無いので、論評は避けたい」などと言って、議員や「沖縄の二つの新聞はつぶさなければならない」と言った講師の百田尚樹氏の発言を問題にしていいませんでた。しかし世論の批判が高まったのを感じて1週間経ってから「党本部の部屋で行われた会合であり、私に最終的責任がある」と認めました。
ところが報道によりますと、自民党若手議員の中には「処分が重過ぎる」という反発もあるということです。2世・3世議員や、党公認になると中選挙区制の時のように同じ党内の候補者と競り合うこともなく、当選が半ば保障されている“苦労知らずの議員”が多くなったせいか、言論・報道の自由など民主主義への認識を欠く議員も多くなったようですぅ。小選挙区制の弊害がこんなところにも現れているように思います。
「国民の側に立った報道姿勢で」の投書
ところで、7月3日の毎日新聞にこんな投書が載っていました。筆者は広島県の85歳になる僧職の方で「国民の側に立った報道姿勢で」というものです。
「『マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番だ』などという、自民党若手議員の勉強会における暴言は、安倍晋三首相に近いといわれている議員らによる発言だけに安倍政権の本性を見た思いだ。
しかし、これは氷山の一角に過ぎず、メディアを権力で牛耳ろうとする動きは今後ますます露骨かつ巧妙になってくるに違いない。その時、敢然と立ち向かう気概と備えが今のメディアにあるだろうか。『ある』と信じたいが、一抹の不安も禁じ得ない。昨年、自民党がNHKと在京民放テレビ各局に『公平な選挙報道を求める』要望書を渡したが、正面から抗議もしなかった。主要メディア各社の幹部と首相の会食も権力と対峙すべきメディアの姿勢としていささか気になる。メディアは権力になめられない矜持を保ち、どこまでも国民大衆の側に立った報道姿勢を貫いてもらいたい。」