サッカー・スペインのバルセロナにドイツ人監督が就いて驚いたと、今年7月24日のここにも書いた。ハンズ・フリックのことだが、このたびこの監督のチームが大成果を上げている。チャンピオンズリーグではバイエルンに4対1、スペインリーグでは名将アンチェロッティ率いる宿敵レアル・マドリッドに4対0で勝ったのだ。日本サッカーも、一時のブラジル崇拝から鹿島も含めてヨーロッパ流儀に変わってきたが、スペイン崇拝からもそろそろ抜け出す時期だと思う。なんと言ってもやはり、2010年前後からはドイツ流ゲーゲンプレスが世界を席巻してきたのである。クロップ、トゥヘル、そしてこの度のフリックというわけだ。
まだまだ当分、当たりの強いショートカウンターの時代は続くと思われる。ついでに、この当たり強さの中では、中央のドリブル突破攻撃はますます難しく、サイドからのスピードに乗ったクロス攻撃による得点が増えている。伊東純也、中村敬斗、三苫らの時代がしばらく続くと考えるのである。つまり、攻守の転換に秀でた組織を持ったチームのサイド攻撃の時代ということだ。こんな時代はまた、メッシのような選手も現れにくいはずだ。メッシは守備を免除されていたが、今そんな選手がいたら、攻守の組織転換でそこが穴になってボールも奪えないし、得点も出来ない。
世界サッカーはますます面白くなっている。この中の日本代表がまた、攻守の転換に優れ、3バックで得点力も増してきているからますます面白い。そろそろW杯ベスト8以上が見えてきたと思うから、アジア予選を観るのもとても楽しみになっている。
『ラ・リーガ第11節、敵地サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリード戦に4-0で快勝したバルセロナ。ハンジ・フリック監督はハーフタイム、選手たちに決して“後ずさりしてはいけない”というメッセージを伝えていたようだ。
今回のクラシコで強烈な印象を残したことといえば、4-0のスコアはもちろん、バルセロナのオフサイドトラップだ。フリック監督率いるチームは極めて高いDFラインを維持して、レアル・マドリードを合計12回オフサイドとしている。
ただし、FWヴィニシウス・ジュニオールやFWキリアン・エンバペなど、快速アタッカーを揃えるレアル・マドリード相手にオフサイドトラップを仕掛けるのは、大きなリスクを感じさせた。実際、DFラインを突破する動きを繰り返したエンバペは前半にシュートを決め切ったが、VARによって“ヒザの差”でオフサイドとなり、ゴールを取り消されている。
バルセロナのDF陣にとって、ラインをあれだけ高く設定するのは勇気がいる行為に思えるが、フリック監督はそうすることに固執していたという。スペイン『ムンド・デポルティボ』曰く、ドイツ人指揮官はハーフタイムのドレッシングルームでDFラインの高さを維持するよう繰り返し説き、こうも語ったとのことだ。
「(DFラインを)1メートルでも下げる選手は交代させるぞ」』