テロ特措法ばかりに入れ込んでいて、僕のモットーの「文化」、「日記」にご無沙汰していた。今日はもう一つ、標記のことを書きたい。そして、そうなった最大の原因である、この9月のスイス戦の総括を試みたい。後者は僕の若いサッカー仲間に送ったメールをそのまま転載する。
この9月、日本代表の世界ランクが34位になった。8月が46位だったことを思うと大躍進である。その原因が先日のスイス戦勝利にあるのは明らかである。スイスは、オシム代表戦最大の強敵、世界20位のチームだったのだから。このゲームの日本はちょっと違った。積年の悩み、決定力という点で、一皮剥けたのである。
今後のために、このゲームの総括は、大事だ。
【 スイス戦、痺れましたでしょう?松井の交代を除けば。
13分で2点とは、流石に理性的なオシム贔屓の僕でも、訳が分からず。「これ何じゃ?」と、オシム不信が出ましたよ。丁度その2点までの詳細を残念ながらよく見られていなかったし。寝坊して遅れ、ぼんやり見ていたからです。
僕が不信になったのももっともで、オシムが講評の第1にこう語っていますね。
「これほど前後半の差がある試合は10年に1度だ」
これって何なんでしょう。以下が僕には分析できたつもりです。
①全く慣れないやり方の相手に初め戸惑った。
アジアでは、あんなに突っかけてくる相手はいない。コンパクトに前に来たチームとしても、大きい個人としても、初めから凄い組織的プレッシャーを懸けてきました。日本DFからのパスの組み立ての、その出し所はそれぞれ大男が付いて塞いできたし、日本ボール保持者には2~3人で突っかけてきたし。まーその分、相手は凄い体力の消耗だったはずです。初めからスイスはめちゃくちゃ走っていた。今思えば、「目下のチームに初めに点を取ってから逃げ切る」と、そういう戦い方だったのでしょう。守備に自信があるチームですし。前半の半分までは、それが見事にハマッタということですね。
②オシムも言うように25分くらいから日本が戦い方を変えました。DFから第1弾パスを出すときに、出される人(ボランチなど)がきちんと走って受け、その周りも受ける準備で走るようになった。それもあってパスが通り、下からの組み立てができるようになったから、「怖がらなくても良い」と落ち着いてきて、敵を振り回し始めた。目上の相手への様子見から、自分の普段の色を出すようになったということでしょう。ただし、ジーコのチームではこれはできません。「連動性」、「受けてあげる動き」がこれほどにはないからです。
③①と②の影響で、後半の相手は疲れていました。日本は各上の相手だから様子見で入ったから(オシムはリスペクトしすぎと述べていました)、まるで疲れていない。しかも持続的走力と、それに裏打ちされたアジリティーは得意技です。1点目、松井のマーカーが付いていけなかった。2点目、ゴール前のフリーキック獲得も、巻がマークを振り切った得点も、アジリティーの勝利でしょう。3点目も大男巻のアジリティー勝ち、相手反則から。そして最後は、憲剛、相手キーパーの弾き(見事でした。あのキーパーで日本は2~3点損してます)、矢野の速い反応!!
以上で言うアジリティーとは日本の場合、組織的・連動的なそれのこと。オシムが言う「ボールも人も動くサッカー」ね。ボールが動くとは、何人もの受けてあげる人が動くということ。
こうして、WC前もドイツに良いゲームをしたけど、大男の攻めてくるチームには日本は強いということでしょう。むしろ、小さくてもアジリティーで上回る選手の瞬間スピードに弱い。サウジのFWに振り切られたように。
凄く良い勉強ができたと思います。世界20位のチームですよ!しかも、アゥエーのガチンコ勝負での2点ビハインドをひっくり返したんだ!!ヨーロッパ諸国からもどんどんリスペクトされ、お呼びがかかるようになりますね。選手も自信を持つだろうし。順位も30位前半になるんじゃないか。
とにかく快心の勝利です。めでたいめでたい!!! 】
次いでこの続きの、第2信です。
【 さて、日本がゴール前で一皮剥けたかどうか、それが問題なわけです。次のゲームなどで検証するしかありませんが、本日の毎日新聞に相馬直樹(元、鹿島とジャパンの名サイドですね)が講評を書いています。僕と全く同じ見解でした。
「大きな自信をつかんだ」、「収穫の多い」ゲーム。「オシム監督の狙いがようやく形になってきたのを感じた」
その内容まで全く僕と同じですが、一言では「ゴールへ向かっていく迫力ある攻め」ということ。さらにその内容はといえば、また僕と同じ。
「ためらうことなく突破やクロス、シュートというように、ゴールへチャレンジする姿勢が見えていた。ボールを動かし、より良い状態の選手を作り出すことと、どうやってゴールを奪うのかということがリンクしてきたのである」
この「リンク」が異なったことの単なるリンクではなくて、前者は後者にそのまま生かせるはずなのに、そしてオシムがそれも期待して前者をこってりとやらせてきたのに、選手がゴール前ではできなかったこのリンクということね。そこが、僕が指摘し続けてきた点だったんです。
こう観てくると、結局今回何ができたのか、今後どういう注意をすればこれと同じゲームができるのかがこのゲームから学べるんですよね。まー日本の欠点への最大教訓が。
『誰かが体の接触を恐れず突っ込んでいけば、皆が詰めていく時間も、得意な素速い連動も生まれて、敵を攪乱し、ゴールが生まれる』ということです。
これをしない少数の前の人への放り込みだけじゃ、チビだし、単調だし、ちっとも怖くないと言うこと。放り込みと、スルーパスやクサビと、中朝距離シュートに加えて、つっこみと、多人数の詰め・連動。
さて、こう観てくると、高原、巻、松井が揃ったら実に面白い。日本に欠けた「つっこみ、体を張る」奴らだからだ。それでこそ、遠藤、俊輔、憲剛も生きてくる。憲剛もトゥーリオも時に突っ込むしね。
多分この変化は定着します。メンバーにもよりますが。そしたらベスト20位台突入ですよ。スイスは20位。あの後半戦だけなら、世界ベスト10の内容じゃなかったかな。】
この9月、日本代表の世界ランクが34位になった。8月が46位だったことを思うと大躍進である。その原因が先日のスイス戦勝利にあるのは明らかである。スイスは、オシム代表戦最大の強敵、世界20位のチームだったのだから。このゲームの日本はちょっと違った。積年の悩み、決定力という点で、一皮剥けたのである。
今後のために、このゲームの総括は、大事だ。
【 スイス戦、痺れましたでしょう?松井の交代を除けば。
13分で2点とは、流石に理性的なオシム贔屓の僕でも、訳が分からず。「これ何じゃ?」と、オシム不信が出ましたよ。丁度その2点までの詳細を残念ながらよく見られていなかったし。寝坊して遅れ、ぼんやり見ていたからです。
僕が不信になったのももっともで、オシムが講評の第1にこう語っていますね。
「これほど前後半の差がある試合は10年に1度だ」
これって何なんでしょう。以下が僕には分析できたつもりです。
①全く慣れないやり方の相手に初め戸惑った。
アジアでは、あんなに突っかけてくる相手はいない。コンパクトに前に来たチームとしても、大きい個人としても、初めから凄い組織的プレッシャーを懸けてきました。日本DFからのパスの組み立ての、その出し所はそれぞれ大男が付いて塞いできたし、日本ボール保持者には2~3人で突っかけてきたし。まーその分、相手は凄い体力の消耗だったはずです。初めからスイスはめちゃくちゃ走っていた。今思えば、「目下のチームに初めに点を取ってから逃げ切る」と、そういう戦い方だったのでしょう。守備に自信があるチームですし。前半の半分までは、それが見事にハマッタということですね。
②オシムも言うように25分くらいから日本が戦い方を変えました。DFから第1弾パスを出すときに、出される人(ボランチなど)がきちんと走って受け、その周りも受ける準備で走るようになった。それもあってパスが通り、下からの組み立てができるようになったから、「怖がらなくても良い」と落ち着いてきて、敵を振り回し始めた。目上の相手への様子見から、自分の普段の色を出すようになったということでしょう。ただし、ジーコのチームではこれはできません。「連動性」、「受けてあげる動き」がこれほどにはないからです。
③①と②の影響で、後半の相手は疲れていました。日本は各上の相手だから様子見で入ったから(オシムはリスペクトしすぎと述べていました)、まるで疲れていない。しかも持続的走力と、それに裏打ちされたアジリティーは得意技です。1点目、松井のマーカーが付いていけなかった。2点目、ゴール前のフリーキック獲得も、巻がマークを振り切った得点も、アジリティーの勝利でしょう。3点目も大男巻のアジリティー勝ち、相手反則から。そして最後は、憲剛、相手キーパーの弾き(見事でした。あのキーパーで日本は2~3点損してます)、矢野の速い反応!!
以上で言うアジリティーとは日本の場合、組織的・連動的なそれのこと。オシムが言う「ボールも人も動くサッカー」ね。ボールが動くとは、何人もの受けてあげる人が動くということ。
こうして、WC前もドイツに良いゲームをしたけど、大男の攻めてくるチームには日本は強いということでしょう。むしろ、小さくてもアジリティーで上回る選手の瞬間スピードに弱い。サウジのFWに振り切られたように。
凄く良い勉強ができたと思います。世界20位のチームですよ!しかも、アゥエーのガチンコ勝負での2点ビハインドをひっくり返したんだ!!ヨーロッパ諸国からもどんどんリスペクトされ、お呼びがかかるようになりますね。選手も自信を持つだろうし。順位も30位前半になるんじゃないか。
とにかく快心の勝利です。めでたいめでたい!!! 】
次いでこの続きの、第2信です。
【 さて、日本がゴール前で一皮剥けたかどうか、それが問題なわけです。次のゲームなどで検証するしかありませんが、本日の毎日新聞に相馬直樹(元、鹿島とジャパンの名サイドですね)が講評を書いています。僕と全く同じ見解でした。
「大きな自信をつかんだ」、「収穫の多い」ゲーム。「オシム監督の狙いがようやく形になってきたのを感じた」
その内容まで全く僕と同じですが、一言では「ゴールへ向かっていく迫力ある攻め」ということ。さらにその内容はといえば、また僕と同じ。
「ためらうことなく突破やクロス、シュートというように、ゴールへチャレンジする姿勢が見えていた。ボールを動かし、より良い状態の選手を作り出すことと、どうやってゴールを奪うのかということがリンクしてきたのである」
この「リンク」が異なったことの単なるリンクではなくて、前者は後者にそのまま生かせるはずなのに、そしてオシムがそれも期待して前者をこってりとやらせてきたのに、選手がゴール前ではできなかったこのリンクということね。そこが、僕が指摘し続けてきた点だったんです。
こう観てくると、結局今回何ができたのか、今後どういう注意をすればこれと同じゲームができるのかがこのゲームから学べるんですよね。まー日本の欠点への最大教訓が。
『誰かが体の接触を恐れず突っ込んでいけば、皆が詰めていく時間も、得意な素速い連動も生まれて、敵を攪乱し、ゴールが生まれる』ということです。
これをしない少数の前の人への放り込みだけじゃ、チビだし、単調だし、ちっとも怖くないと言うこと。放り込みと、スルーパスやクサビと、中朝距離シュートに加えて、つっこみと、多人数の詰め・連動。
さて、こう観てくると、高原、巻、松井が揃ったら実に面白い。日本に欠けた「つっこみ、体を張る」奴らだからだ。それでこそ、遠藤、俊輔、憲剛も生きてくる。憲剛もトゥーリオも時に突っ込むしね。
多分この変化は定着します。メンバーにもよりますが。そしたらベスト20位台突入ですよ。スイスは20位。あの後半戦だけなら、世界ベスト10の内容じゃなかったかな。】