たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

星組『鎌足-夢のまほろば、大和し美しー』_思い出し日記(8) 

2020年07月20日 09時05分59秒 | 宝塚
2020年7月5日;星組『鎌足-夢のまほろば、大和し美しー』_思い出し日記(7) 

https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/91056162e7000a4e22661c3ab72de765


一樹千尋さん演じる僧旻先生と天寿光希さん演じる船史恵尺(ふねのふひとのえさか)とのエピローグのやりとり。

僧旻(そうみん)
「藤原の名を賜り、ほどなくして鎌足はこの世を去った、鎌足の死後、天智(てんじ)の御世は大いに荒れた」
船史恵尺(ふねのふひとのえさか)
「しかし、その嵐の中を生き抜いた鎌足の子、藤原不比等(ふじわらのふひと)はやがて藤原氏の繁栄を築き上げた」

僧旻「わしの話は終わりだ、満足か?」
恵尺「はい、十分すぎるほどに」
僧旻「どうやら長居がすぎたようだな」
恵尺「ええ気がつけば残ったのはわたしたちだけ」
僧旻「ではわしも・・・」
恵尺「どちらへ」
僧旻「帰る」
恵尺「そうですか」
僧旻「そなたは?」
恵尺「まだここに、人の世の続くかぎり、歴史を記し続けるのがわたしのつとめ」
僧旻「そうか」
恵尺「よろしければいつでもまたいらっしゃってください」
僧旻「考えておこう」
恵尺「お待ち申し上げております。ところでせっかく語っていただいたのですが」と歴史をしたためてきた巻紙を破る恵尺。
僧旻「なにをする?」
恵尺「消しました」
僧旻「なにゆえ?」
恵尺「哀しみ、苦しみ、悦び、大変に面白いお話でしたがこれでは歴史とは言えません。歴史とはそうした人の情けとは遠く離れて語られるべきものです」
僧旻「さみしいものだな、歴史とは・・・」
恵尺「さあ、どうでしょう」
僧旻「せっかく語ったというのに、恵尺、考えは変わらぬか」
恵尺「なんでしょう」
僧旻「希望と絶望とではつり合いがとれぬものか」
恵尺「希望がなければ生きてゆけぬものでしょうか」
僧旻「わからぬ」
恵尺「わかりませぬ、わかりませぬが」
僧旻「すべては後の世に」
僧旻・恵尺「うつし世に、人から人へ、志は受け継がれる、人は生きる。そして、歴史は作られる」

 あくまでも傍観者として不遜な笑いを浮かべる恵尺、恵尺を演じる天寿光希さんの声にエコーをかかってますが天寿さんの芝居役者ぶり、お見事。このあと、紅ゆずるさん演じる凛々しい鎌足が登場して「大和は夢のまほろば~♪」と美しいテーマソングを歌い、僧旻と恵尺の語りによって幕をあけた舞台は幕を下ろしました。

 文字起こししてみるとひとつひとつの言葉が深い。オンデマンド配信で全編視聴してやっと物語の全体がみえました。紅ゆずるさん、綺咲愛里さんのプレ退団公演作品として秀作でした。

 ナウオンステージのこぼれ話、美希千種さん演じる蘇我倉山田石川麻呂(そがのくらのやまだのいしかわのまろ)、蘇我一門でありながら鎌足に誘われて入鹿を討つことに加担、朝鮮半島から使者を迎える儀式の場面で入鹿を表に誘い出す役割を担いますが、全身ブルブルさせて声がひっくり返ります。それがおかしくってしょうがないと入鹿を演じた華形ひかるさん、真面目にやっているのに笑わせられるってすごいですよね、ってせおっち(瀬央ゆりあさん)。新年号は「大化」の場面で、「令和」さらに「千穐楽」、三度目にようやく「大化」、笑いをとってほっこりさせてくれる次期星組組長さんでした。



 一年前の今頃、宝塚大劇場で退団公演が始まっていました。お金使ってしまいましたが行ける時に行っておいてほんとうによかったと思います。退団後に知って会員になった方もたくさんいらっしゃるというファンクラブの会員に「わたしは元気に生きていますよ、この状況で会えないけど、一人じゃないよ、いつもそばにいるから」とメッセージをコンスタントに送ってくれるの嬉しい。「苦しみがあるからこそ、楽しいを楽しいと感じることができる」。

 心のエネルギーを満たしてくれる推しメンたちが元気に生きている、お互いに生き延びている、それだけで奇跡、どれほど尊いことかと思います。死んではいけない、死んでしまったらそこで終わりなんです、消えない苦しみを残してしまうんです。苦しいときは続いていますが、一人じゃないよというメッセージに胸になんとか生き延びていきたいです。

2020年7月14日:星組『GOD OF STARS』『エクレールブリアン』_ひとかけらの夢
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