土曜日の午後、疲れた体に鞭打って自転車に乗り、歯医者さんにいったあとお風呂へ行って3時間近く過ごしました。慣れない郷里の生活、慣れない仕事で心身共にへばっていることを自覚。なかなかに田舎生活はきついです。日帰りバスツアーで宝塚大劇場に行けることが心の支え。人気公演になると東京宝塚劇場よりは競争率低いのかもしれませんがなかなか自力でチケットをとることはむずかしいとわかりました。バスツアーだからチケットが手に入って観劇できるありがたみ。6月20日(木)、雪組日帰りバスツアー、いつも子供用を買っているのに今回に限って買ってしまった大人用の酔い止め薬がわたしには強すぎて観劇中体調が不安になりましたが無事に楽しむことができました。去年12月初めて参加したバスツアーで『ファントム』を観劇したときは、終演後外に出ると真っ暗。一番陽が長い季節は終演後まだお日様が高くってすごくヘンな感じでした。
お芝居のあとにまるで別世界のショーを楽しむことができるのは宝塚ならでは。『壬生義士伝』は、望海風斗さんが『ひかりふる路』『ファントム』に続く、うづくまり死んでいく役所。毎回つらくないかなあと心配になるのですが似合うんですよね、すごく。致死率高い雪組トップスター、あの世でも生きている星組トップスター、それぞれの持ち味ですね。芝居の雪組、日本物の雪組の系譜が今も脈々と流れているのが嬉しかったです。『Music Revolution』は、ダンスの雪組でしたっけ?っていうぐらい、ダンス、ダンス、ダンス。振付がハードだなあと感じる場面の連続で、東宝の舞台でアンサンブルをつとめるダンサーたちが踊っているのと同じぐらいの踊りの量ではないかと。体感時間5分ぐらい、あっという間で気がついた時には終わっていました。
『壬生義士伝』、原作を読んでいないし映画もみていないのでほとんど予備知識なし、脚本がちょっと心配でしたがうまくまとめられていて、雪ん子や雪の精を登場させて、うまく宝塚の世界観に昇華していました。衣装も物語の世界観を巧みに演出していて素敵だと思いました。デザインは加藤真美さん、『Sante!!』のワインボトルはどうなの?って思いましたが、それ以外はけっこう好きです。『鎌足』でも物語の世界観をより深く演出していた衣装たち。当たり前といえば当たり前ですが時代考証と地域性に手抜かりなし。衣装が役を語ってくれているようなところがあります。表現の仕方がよくわからないですが、襟元に綿をあんだりマフラー?を巻いたりしている武士の着物姿が望海さん、似合いすぎでした。真彩ちゃんは藁のブーツがすごく可愛かったです。
実際、一日一日を生き抜いていくことが精一杯で飢饉におそわれれば、食べるものがなかった。二人の子にめぐまれたあと、真彩ちゃん演じるしづが口減らしのため三人目のお腹の子と一緒に死のうとする場面がありましたが、4年前になるかな、神奈川近代文学館で遠野物語で有名な「柳田國男展」をみたとき、口減らしのために自分が今産んだばかりの赤ちゃんを女性が手にかけなければならなかった史実が絵と共に紹介されていたことを思い出しました。わたしの中でかなりインパクトがありました。真彩ちゃん、歌の人ですがこういうところの芝居力がほんとにたしか。この出来事をきっかけに望海さん演じる吉村寛一郎は、南部藩をぬけて京都の新選組に参入することを決意します。下級武士のままではいくら腕がたっても家族にごはんを食べさせることはできない、家族を守るために、生きていくために、新選組に入り、人を斬る道を選んだ寛一郎は、守奴銭と揶揄されようともしづと子どもたちへ仕送りするお金をどん欲に手に入れていきます。家族を守るために、生きていくために。
「ポタリ ポタリ ポタリ」余韻が残る主題歌でした。寛一郎が京都にむけて旅立とうとするとき、望海さんの声に重なる真彩ちゃんの歌声がほんとに天使で、クリスティーヌを経てからの歌声は透き通るような美しさでした。脱藩はご法度。寛一郎と幼馴染でありながら、傷ついて戻ってきた寛一郎に藩主として切腹するよう言わなければならなかった彩風咲奈さんの大野次郎右衛門も役柄をよく体現していました。彩風さん、役の振り幅がどんどんひろがっています。すごい成長ぶり。
朝美絢さんの齋藤一と寛一郎との関係性もひとつの軸でした。自分は空気を食べて最後にひとつだけの握り飯を齋藤一に食べさせる寛一郎、優しさと、金のために人を斬る残酷さとが背中合わせで弱く見えるのに実はすごく強く、リーダーではない地味な寛一郎が主役として物語の中に居続けられのは望海さんの力かな。今の雪組にすごく合っている作品だと思いました。石田先生、すごい。
(続く)
お芝居のあとにまるで別世界のショーを楽しむことができるのは宝塚ならでは。『壬生義士伝』は、望海風斗さんが『ひかりふる路』『ファントム』に続く、うづくまり死んでいく役所。毎回つらくないかなあと心配になるのですが似合うんですよね、すごく。致死率高い雪組トップスター、あの世でも生きている星組トップスター、それぞれの持ち味ですね。芝居の雪組、日本物の雪組の系譜が今も脈々と流れているのが嬉しかったです。『Music Revolution』は、ダンスの雪組でしたっけ?っていうぐらい、ダンス、ダンス、ダンス。振付がハードだなあと感じる場面の連続で、東宝の舞台でアンサンブルをつとめるダンサーたちが踊っているのと同じぐらいの踊りの量ではないかと。体感時間5分ぐらい、あっという間で気がついた時には終わっていました。
『壬生義士伝』、原作を読んでいないし映画もみていないのでほとんど予備知識なし、脚本がちょっと心配でしたがうまくまとめられていて、雪ん子や雪の精を登場させて、うまく宝塚の世界観に昇華していました。衣装も物語の世界観を巧みに演出していて素敵だと思いました。デザインは加藤真美さん、『Sante!!』のワインボトルはどうなの?って思いましたが、それ以外はけっこう好きです。『鎌足』でも物語の世界観をより深く演出していた衣装たち。当たり前といえば当たり前ですが時代考証と地域性に手抜かりなし。衣装が役を語ってくれているようなところがあります。表現の仕方がよくわからないですが、襟元に綿をあんだりマフラー?を巻いたりしている武士の着物姿が望海さん、似合いすぎでした。真彩ちゃんは藁のブーツがすごく可愛かったです。
実際、一日一日を生き抜いていくことが精一杯で飢饉におそわれれば、食べるものがなかった。二人の子にめぐまれたあと、真彩ちゃん演じるしづが口減らしのため三人目のお腹の子と一緒に死のうとする場面がありましたが、4年前になるかな、神奈川近代文学館で遠野物語で有名な「柳田國男展」をみたとき、口減らしのために自分が今産んだばかりの赤ちゃんを女性が手にかけなければならなかった史実が絵と共に紹介されていたことを思い出しました。わたしの中でかなりインパクトがありました。真彩ちゃん、歌の人ですがこういうところの芝居力がほんとにたしか。この出来事をきっかけに望海さん演じる吉村寛一郎は、南部藩をぬけて京都の新選組に参入することを決意します。下級武士のままではいくら腕がたっても家族にごはんを食べさせることはできない、家族を守るために、生きていくために、新選組に入り、人を斬る道を選んだ寛一郎は、守奴銭と揶揄されようともしづと子どもたちへ仕送りするお金をどん欲に手に入れていきます。家族を守るために、生きていくために。
「ポタリ ポタリ ポタリ」余韻が残る主題歌でした。寛一郎が京都にむけて旅立とうとするとき、望海さんの声に重なる真彩ちゃんの歌声がほんとに天使で、クリスティーヌを経てからの歌声は透き通るような美しさでした。脱藩はご法度。寛一郎と幼馴染でありながら、傷ついて戻ってきた寛一郎に藩主として切腹するよう言わなければならなかった彩風咲奈さんの大野次郎右衛門も役柄をよく体現していました。彩風さん、役の振り幅がどんどんひろがっています。すごい成長ぶり。
朝美絢さんの齋藤一と寛一郎との関係性もひとつの軸でした。自分は空気を食べて最後にひとつだけの握り飯を齋藤一に食べさせる寛一郎、優しさと、金のために人を斬る残酷さとが背中合わせで弱く見えるのに実はすごく強く、リーダーではない地味な寛一郎が主役として物語の中に居続けられのは望海さんの力かな。今の雪組にすごく合っている作品だと思いました。石田先生、すごい。
(続く)