たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

宙組『シャーロック・ホームズ』『デリシュー』-東京宝塚劇場8月29日(3)

2021年09月07日 23時59分19秒 | 宝塚
宙組『シャーロック・ホームズ』『デリシュー』より-「虹色の薔薇」
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/3713cb4a0b169b067bff78b4348b88b7



『シャーロック・ホームズ』、

 真風さんホームズ、今までどうしてこの役をやっていなかったんだろうと思うぐらいにはまり役。美しくてかっこよくて可愛くて変なところのあるホームズさん。真風さんの素敵なところがつまっています。公演プログラムのパイクを加えた姿、シルクハットにロングコートにパイプ、どの写真も素敵。

 日本シャーロック・ホームズ・クラブさんの公式ツィッター@JSHCGETSUREIKAIによると、シャーロキアンのツボをつく小ネタをちりばめながら原作のエピソードを再構築した脚本は主要キャラクターの使い方がうまくて、シャーロキアン大満足の仕上がりになっているとのこと。宝塚をほとんど知らずに観劇されたシャーロキアンのみなさま、楽しまれている様子。宝塚を、宙組をすごく褒めてくれているのもすごく嬉しいです。劇団に、生田先生に、宙組のみなさんに届いているかな。この4作を最低限読むとより楽しめると紹介してくださっています。

『ボヘミアの醜聞』(短編集『シャーロック・ホームズの冒険』収録)
『最後の事件』(短編集『シャーロック・ホームズの回想』収録)
『空き家の冒険』(短編集『シャーロック・ホームズの生還』収録)
『恐怖の谷』(長編)の第1部とエピローグのみ(第2部はとばして可)

 かつてイギリスのグラナダテレビが制作したジェレミー・ブレッド主演のホームズシリーズがNHKで放送されていました。ホームズとモリアーティが滝壺に一緒に落ちていくところなど漠然と記憶があります。死んだかに思われたホームズがワトソン(生田先生の脚本ではワトスンとなっているところが気になります)の前に姿をみせたのは阿片屈だったと思います。原作者のアーサー・コナン・ドイルは自らが生み出したホームズというキャラクターに苦しみ、晩年は心霊主義に傾倒して、合成写真に写った妖精を信じてしまった人ですが愛すべきキャラクターを残してくれました。もう少し先に図書館で借りて読んでみたいです。

 『シャーロック・ホームズ』で「新世界のメシアになる!」と不遜な笑みを浮かべているモリアーティと『デリシュー』でお花いっぱいゴージャス&ラブリーな輪ッカドレスを着ているアントワネットが同じ人なんて宝塚ならでは、何の違和感もなく当たり前みたいにみていますがすごいことですね。オンデマンド配信されたナウオンステージもすごく楽しくて、キキちゃんモリアーティ、最初の「こんなにワクワクしたのは初めてだ」という台詞からホームズに鎖かけられるまでずっとワクワクしっぱなしと。まかキキの安定感を感じさせるトーク。真風さんに「リアクション女王」と名付けられたじゅんはなちゃんのひまわりが咲いたような明るい笑顔は好きにならずにはいられません、まかキキデュエットダンスのささやきが毎回違う話に「ヒェッ~」なっています。ナウオンステージのことは配信終了までにまた書ければと思います。

 細かいところをいっぱい見逃していると思いますが、あとは26日の大千穐楽を無事に迎えられることを祈るばかり、ライブ配信で見届けるつもりです。切り裂きジャックに怯える19世紀末のロンドンの街、群舞のダンスとコーラス、舞台装置、照明、音楽、衣装、鎖の見事な融合によって表現する演出も素敵な作品。急激な産業都市化が進んだ19世紀のロンドンの混沌とした様子は『ジキル&ハイド』『クリスマス・キャロル』にも描かれているので少し復習してみたいと思います。

2018年ミュージカル『ジキル&ハイド』(9)
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/7538748fa7bc3457a9be8a8f8ed8687e

「-『ジキル&ハイド』にまつわるロンドン・マップ-

🏠シャーロック・ホームズの家🏠

コナン・ドイルが書いた小説『シャーロック・ホームズ』で、私立探偵ホームズが住んでいた下宿の住所が”ベーカー街221B”。ジキルの事件時に住んでいたことになる。実は当時、ベーカー街は85番地までしかなく存在しない住所だったが、1930年に番地が増えて実在するように。すると世界中からホームズ宛の手紙が届くようになったという。今ではシャーロック・ホームズ博物館として、多くの人が訪れるスポットになっている。

🏠切り裂きジャック🏠

1888年にホワイトチャペルで怒った連続殺人、その犯人は切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)と呼ばれ、ロンドンの人々を震撼させた。史上最も有名な未解決事件として今でも時折話題にのぼる。犯人は娼婦を狙い、5人が切り裂かれた無残な姿で発見された。年や内容を見ると、『ジキル&ハイド』はこの事件を下敷きにしていると言えるだろう。現場となったホワイトチャペルにはバングラデシュ系イギリス人を中心に多様な人種が住む。」

「-✳1888年のロンドンって?✳

19世紀のイギリスは産業革命による工業化により、その生産力を増大。圧倒的な経済力を背景に、世界各地に植民地を広げていた。一方、ロンドンは公害がひどくスモッグだらけで貧民労働者が増加。格差に対する市民の不満が渦巻き、1887年には市民と警察隊が衝突し、”血の日曜日事件”として多くの負傷者を出した。ダイナミックに変動する社会のもと、人々の価値観や考え方にも変化が現れ始めていた・・・。」


『クリスマス・キャロル』_岩波少年文庫版より
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/6d80f4fab67c271ec961010ddbea1eec

 「チャールズ・ディケンズ(1812-1870)が生まれたころのイギリスは、ちょうどフランス革命前後に、イギリスにおこっていた産業上の大変化のために、イギリスの社会は、ほとんど革命といってもよいほどに変わりつつありました。人間の力で作っていたものが、機械の力で作られるようになり、自分の家で作業していたものが、機械をすえつけた大工場でやとわれて仕事をする、という形に変わってきました。景気がよい時はもう かるのですが、不景気になると工場がつぶれたり、工場の労働者の数をへらしたりしますから、労働者は不安でたまりません。労働者や失業者の暴動が、たえず、いろいろな地方でおこるようになりました。

 世の中が、こういうふうに変わったのですから、その中で生活している人間の考え方も、変わらないわけはありません。この時代に、いちばんはっきりあらわれた特長は、工場などを経営する大金持ちと、工場にやとわれている工場労働者という階級とが、はっきりできあがったことです。昔は、他人にやとわれているといっても、個人の家庭とか、個人の経営している小さな仕事場ですから、なん百人、なん千人と一つの工場にやとわれるなどということはありませんでした。ディケンズの時代に、こういう二つの階級が社会に生まれたことは、今までの歴史にもなかったことです。そして、この二つの階級は、ことごとに利害がくいちがいますから、争いがたえずおこってきました。

 工場を経営する金持ちの階級のものは、できるだけ安く労働者をはたらかせて、できるだけたくさん、もうけたいと思います。自分の利益のことだけ考えて、他人の苦しみなど少しも考えない個人主義的な考え方-それがはげしくなると利己主義となりますーが、はげしくなってゆきました。こういう考え方は、じつはお金持ちばかりでなく、国民がみなもっていました。」



『デリシュー』、

 衣装は加藤真美さん、宙組カラーの淡いパステルをあしらった衣装はどの場面も可愛いくて素敵。特にカンカンの場面の衣装が可愛いと思いますが、ロケットもキャンディー・ケーンも王妃のお茶会も可愛いです。プログラムに掲載された写真をみると娘役さんお一人お一人帽子が少しずつ違っていて可愛い。結局全部可愛い。現実を忘れさせてくれる夢々しい世界観です。

 退団する遥羽ららちゃんの見せ場をたくさんつくってくれているのが嬉しい。キキトワネットちゃんの貴公子たちへのツッコミ、マカロン男爵とその友人に「たいくつ~」、スミレ兄弟に「くらーい」、イチゴトリオ?にもっとさわやかに」、クレープ公爵にはアドリブ返し?24日観劇したときは脚本どおり?「たいくつ~」って言っていたような。残念ながら記憶しきれずれずなのでライブ配信でしっかり確認することにしましょう。すっしーさん、りんきらさんたち男役さんの輪ッカドレスの着こなしは、あえて男役が女装しているようにみせているのかな。ノリノリみたいですがオペラグラスでキキちゃんをみていると全体がみえないし、全体をみているとキキちゃんをオペラグラスで追えない、全部をみるには目が二つでは足りません。フォレ・ノワールの場面、アメリカン・チェリーのじゅんはなちゃんが勝ち誇ったような表情で登場してくるのとずんちゃんレザンが色っぽい声をだしているのがなんとも。美少年たちにも注目のようですが目が足りません。どの場面も千穐楽にはものすごい熱量だろうと思います。芝居の時には冷房で寒いほどに感じる客席もショーになると一緒に踊ったり拍手しながらオペラグラスも使いたいし忙しくて俄然熱量があがり暑いと感じるほど。膝かけがわりの上着をとらないと汗が噴き出てきそうになります。

 フィナーレの燕尾服でタンゴにのった男役同士のデュエットダンス、キキちゃんは真風さんの幻想の元恋人という設定がカフェブレイクで明かされたようです。YouTubeの配信が待ちきれません。

 夢をみていたような気がする3時間、たしかに二回観劇しました。3500円の席に1000円のプログラム、写真もグッズもランダムではなくほしいジェンヌさんのものを選べるって当たり前ではないんですね。たしかに東宝でも缶バッジなどはランダムで選べないとなっていたりするので宝塚はすごい。東京公演がスタートすると大劇場公演とは別に舞台写真が発売されるのもすごい。発売される舞台写真をジェンヌさんたちが選んでいるって知りませんでした。もうできるだけ買わないようにと思ってもキャトルに入るとテンションがあがり、つい手にとってしまいます。観劇後のシャンテのキャトル、大劇場の舞台写真がスカスカでした。みんなテンションが上がって楽しそうな空気の中にいるだけでもキャトルは楽しいです。

https://www.tca-pictures.net/goods/bromide/2108025.html









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