政府の「選択する未来」委員会に出された作業部会の報告書によると、「現状を放置すれば、いずれ経済成長の維持も困難となり、経済規模の縮小が加速する『縮小スパイラル』に陥る。2040年代から年0.1%程度のマイナス成長となり、60年まで続く」とある。このままでは日本人は1人もいなくなる。政府は人口減を食い止めようと、1億人維持を掲げるが、現在の政策では絵に描いた餅だ。
成長政策を選挙でも盛んに各政党が主張するが、その眼目は人口増→労働人口増だ。内閣府や日銀の推計では、すでに日本の潜在成長率は0.5~0.6%まで低下している。初めて1億人維持を具体的に出したのは評価できるが、これまでの少子化対策では不可能だ。人口が減らない合計特殊出生率は2.07倍、1974年に割りこんでから歴代政府が各種の対策を実行した?が下がり続け、今や1.43倍、1億人維持など不可能だ。
以前にこの解決策はフランスやスエーデンなど欧州のように国策として出産、育児費用、学費を国が負担するしかないと書いたが、子育て重視を言う割には政府の対策はお粗末だ。日本も先進国では米国に次ぐ格差社会にはいり、非正規労働者は2000万人を超えた。結婚したくてもできない若者が多くなり、子供を産む環境には益々遠くなってる。1億人維持は難しいなら、8000万人を目標にし、生産性を上げる工夫をしたらどうだろう。
女性の活用、高齢者の活用は子育ての問題や介護対策の問題を解決して初めてできることだ。評判の悪い外国人労働者問題については、お隣の韓国がやっているグリーンカード制度を活用すべきだ。国別にクオーター制を採ればコントロールできる。中小企業にとって人手不足は最大の成長を阻む要因で、外国人労働者導入は必要だ。