円はついに121円台に入り、130円になると予想する証券マンも出てきた。株式相場も円安につれ上昇し、日経平均は18000円にはい上がろうとしている。一方、NISAの今年枠を使い切ろうと証券会社に預けている個人投資家の額は2兆円とも言われている。株式相場が落ちたら、すぐ買おうと狙っている資金だから、相場の成り行きは上昇志向になる。
今回の円安、そのピッチが速すぎ、明らかに投機資金が円を売って、ドル、ポンド、豪ドル、ユーロを買っている。このまま1ドル130円になれば、円安を起源とするバブルが発生すると危惧される。
何時のバブルもバブルは人々がまだバブルでないと思い込んでる中、大きく膨らむ。現在の株式市場はPER(下記参照)から見れば15から16で普通の良い状況で、証券業界の人はバブルだとは思わない。
円安バブルの発生システムは「想定外円安で予想以上の利益が出る→輸出企業の株価が跳ね上る→PERは変わらない→異常とは思わない」代表的な企業例で見ればトヨタは現在業績好調で株価もこの一週間上昇中で毎日新高値をつけ、本日は7800円で史上最高に迫ろうとしているが、予想PERは12から13で普通の水準だ。ところがトヨタの予想利益は1ドル105円を前提にしている。円安が121円ともなると利益はさらに膨らみ、PERが同水準でも予想株価は9000円以上と予想するアナリストも出てきた。つまり、円安の増幅で株価も膨らむメカニズムとなっている。当然円安が修正されれば株価は急降下する。
*PERとは、日本証券業協会の説明
税引き後の利益を、その会社の発行済株式数(発行済株式総数-自己株式数)で割ると、1株当たりの利益が計算できます。この1株当たり利益に対し、株価が何倍まで買われているかを表したのが株価収益率(Price Earnings Ratio)です。
この倍率の高低でその会社の投資価値を判断します。例えば、前期の1株当たり利益が20円、現在の株価が400円ならPERは20倍です。来期の1株当たり利益が30円と増益が予想された場合、PERが同じ20倍なら株価は600円の水準まで買える、と判断するわけです。