ヘルパーなど介護職を組織している労働組合「日本介護クラフトユニオン」(NCCU、陶山浩三会長、組合員約6万7,100人、UAゼンセン傘下)は16日、毎年行っている「2014年処遇改善調査」結果を公表した。それによると、昨年の税込年収は、月給制(常勤職員)が平均304.7万円、時給制(非常勤職員)が平均156.9万円となり、月給制の73.9%、時給制の58.7%が「不満」と回答した。常勤職員の方が不満の率が高いのは、いわゆる所帯主やこれから結婚しようとする人が多いからで、この年収では安定した生活は望めない。以前NPO法人で介護ヘルパーやディケアサービスをやってるところを調査したが、男性職員は結婚適齢期になると辞めると嘆いていた。その時に比べれば処遇は改善されてるとはいえ、未だの感がする。
労組は何とか全産業平均賃金29万5,700円を目指すとしているが、政府の対策である介護職員改善加算は手当や一時金に積まれ、基本給には加算されてない。月給制の平均賃金は22万4,542円と、3月時点より2,885円(1.3%)増加したが未だ道半ばだ。厚労相は特養を経営している福祉法人が利益を貯め込んでいるとして介護報酬の減額を考えているようだが、介護をになう大部分のNPOや通所介護施設などに働く職員のことは充分考慮して貰いたい。
特養入所に待機している高齢者が大勢いるので、政府は在宅介護を充実させると言っているが24時間介護体制など人手不足で未だ充分ではない。高齢者が安心して自宅に居られるためには介護度に対応できる地域の施設と良く訓練された介護ヘルパーがますます必要になる。確実に利益が出るとばかりに民間企業の参入が多いが、企業によってかなりの差がある。かねてより、私は民間のオンブズマン制度を立ち上げ介護の状態だけでなく、職員の処遇にも目を光らせる必要があると言ってきたが、実現できてない。スエーデンなど介護先進国では当たり前のことなのだが。