他国より企業税率が高いということで、かねてより経団連が要望していた法人税の減税がこのほど政府・与党間の合意が以下のようになされた。「法人税の実効税率(標準税率34.62%、東京都は35.64%)は、15年度に2.51%引き下げる。さらに16年度までの2年間で計3.29%以上の引き下げを目指す方針」
企業の内部留保が史上最高の300兆円を超える中で更に減税すれば更に企業の内部留保は厚くなる。日本企業の設備は老朽化が進んでいるにもかかわらず、設備投資をしないで貯め込むか、自社株買いや増配で内部留保を使っている。一方、減税の財源には研究開発投資への優遇措置をなくすとか、赤字企業への外形標準課税を強化するなどとし、主に中小企業を標的にした増税措置ともとられる。円安で輸入原材料高に苦しんでいるのは国内マーケット依存の中小企業に多く、円安で更に利益を伸ばしているのは大企業だ。
実にこの法人税減税タイミングが悪い。日本企業の生きる道はイノベーションしかないことは大方のコンセンサスだろう。それには研究開発と最新の設備が必要不可欠だ。今の法人税は大きな赤字を出すと次年度以降の黒字を相殺でき税金ゼロということがしばしば発生した。そのような優遇措置より、研究開発投資や新規設備投資への優遇政策減税の方が日本企業の生きる道にマッチしている。他国の法人税率との単なる数字上の比較より、イノベーションに取り組む企業の法人実効税率で比較するべきだ。