厚生労働省が発表した2014年大企業の賃上げは5478円で率にして1.8%の結果だった。夏、冬の一時金は1.85%、1.81%の増となった。問題はこれをどう中小企業に反映させるかであるが家計調査などを見る限り成功したとはいえない。かつての春闘は大企業の実績を中小企業が追い、少しでも隣の企業より多く出したいという行動に出たから大手企業の賃金増が全国に波及した。その背景には人手不足があり、人材獲得に、中小企業は苦労したからだ。
2015春闘だが、選挙後、安部首相はすぐに政労使会議を開催して、好調な業績を上げていることを理由に賃金の引き上げを要請した。選挙期間中200兆を超える大企業の内部留保への批判、消費の伸び悩みからの景気後退批判を何とか来春闘で克服したいとの意図からだ。
幸い円安で悲鳴を上げていた内需企業へ、オイル価格の大幅下落という幸運もあり、最近の人手不足と相まって2015春闘はまさに追い風が吹いてきた状態だ。賃金相場という言葉が今年は復活しそうな雰囲気が出てきたのは、13年ぶりに相場のコアとなる金属労協が6000円以上の額要求を決めたからだ。
金属労協の自動車、電機、基幹、JAMなど加盟主要組合64組織の賃金データをみると、平均賃金(基準内)は約32万円で、高卒・技能職・男子の実在者モデル賃金(平均)は、35歳で約30万円となっており、連合の2%以上の賃上げ方針と対応した形となっている。
関連企業が多い自動車、電機などでは企業内最低賃金水準引き上げの基準を、「月額15万6,000円以上の水準、もしくは月額3,000円以上」としこれを産業内に適用すれば関連、下請け企業の賃金底上げが計られることになる。