日本の技術力を象徴するような発表があった。「三菱重工業は30日、国産小型ジェット旅客機、三菱スペースジェット事業の凍結を正式発表した。同社は開発状況と市場環境を踏まえ、スペースジェット開発活動はいったん立ち止まる」表面上はコロナ危機で航空各社の需要が激減し、新たな機体の発注が無いからという理由だ。
しかし、本来なら飛んでいるべき旅客機なのだが、型式証明がなかなか取れず飛べない状態だったから渡りに船とばかりの判断のようで残念だ。三菱重工はコロナの影響を受けなかった2019年度(2020年3月期)でも295億円の赤字に転落。スペースジェット事業で計上した2633億円の損失を他の事業が支えきれなかった。一方、ホンダのビジネスジェットは順調に開発され、売れている。需要のある米国での開発販売が功をそうし、今や富裕層の多い中国での型式証明もとり、受注開始した。
旅客機はボーイングですら、国際分業で製作をしており、主力の787ドリームライナーの主翼でさえ、日本へ発注している。最新の旅客機は全て最先端の技術を注がないとできなくなっている。エンジン、機体、電子制御装置などソフトウエアトータルのマネージがかなり難しい。国産というラベルに拘らず開発を進めるべきだろう。
かつて日本が高度成長時代、国産日の丸ジェットとして、通産省の肝いりで機械メーカーがこぞって参加してYS11というターボプロップエンジンの小型旅客機を開発し、オリンピックに聖火を運んだ。この時もエンジン、プロペラを始め機体まで日本では作れず外国の技術に頼った。当時大阪の営業所にいたので高知への出張に利用したが、ジェットといってもプロペラ機なので低空を飛ぶため、よく揺れた。それでも日の丸ジェットだとなんとなく誇りに思えた。
スマホまで、いつの間にか外国製を使っている。日本の技術力が低下したのか、グローバル化現象だと割り切るのか、それが悩ましい。