9.11で崩壊した世界貿易センターほどの高さではないにしても、それなりに高くて、ふだん階段でなくエレベーターしか使わないようなオフィスで仕事してる人は多いと思う(私もそう)。
←とっさのときの行動は自分でも予測しにくい。
「生き残る判断生き残れない行動」アマンダ・リプリー
の中で一番印象に残った事例は、高層ビルからの脱出。
火事とかなんとか、避難が必要になったときのイメージとして、パニックになった人々が非常口へ殺到し、もみくちゃになって余計遅れるというような悲劇が容易に思い浮かぶけれども…実際にはそんなことにならなかった。
むしろ、頭が真っ白になって固まってしまう人、避難すべき事態だということを否認する人が多く、階段では誰も押したり揉めたりしていないのだけれど、退避は非常にのろのろしたものだった。
北タワー86階にいたレッセさんは、爆発を感じたとき、近くにいた人同士で集い(知人というわけではない。そういうときは誰彼ともなく助け合うものらしい)どうすべきなんだろう? と話し合ったり、窓を割ったりした(何か熱い破片が飛び込んできたりしてマイナスなだけだった)。でも誰も階段を探そうとは言わなかった(階段がどこにあるかも知らなかった)。
しかし彼が助かったのは、別の階から来た人が大声で階段室ドアをノックして「誰かいるか?」と叫び、避難をうながしてくれたからだ。
北タワー73階にいたゼデーニョさんは、爆発音がとどろき床が傾いてからも、(後から考えるとなぜだかさっぱりわからないのだけれども)そこにとどまること以外何もしたくなかったという。でも幸運なことにただちに「否認」の状態を抜けた同僚がいて大声で叫んでくれた「ビルから出ろ!」。そこでようやくゼデーニョさんも動くことができたが、でもなかなか避難を始められず、個室内をぐるぐる歩いたり、読みかけのミステリー小説やら何やら私物をまとめにかかった。冷静に考えれば馬鹿みたいな話だけど、こうした「私物をまとめる」動作は生死にかかわる場面でよくみられるそうだ。
階段を下りていく途中も、信じられない思いにとらわれたり、あれこれ考えたりして、何度も足が止まった。まったく急いでいなかった。これまたあとから考えるととても不思議な感覚だったそうだ。
上記の二人は、ともかく結果的に間に合ったのでよかった。間に合わない人もたくさんいた。
ゼデーニョさんは、実は安全リーダーの役割も持っていて、いざのときには女性トイレの確認をすることになっていたが、そんなことを思い出したのは数か月たってからだった。リーダーといっても形式的なもので、避難経路も知らず、まともな知識も訓練もなく、ただセンターからの指示があればそれに従ってみんなに声をかけるはずだった。とはいえ、その日はそんなものなかったのだが。
超高層ビルでは、火事があってもその他の階には延焼しないし、ましてや倒壊などはありえないというのが前提だった。だから、安全確保といっても基本はそこに留まれというスタンスで、階段を使った避難とかは想定外だった。
ところがそんなことまで強く想定してた人がひとりいた。モルガン・スタンレーで雇われていた警備主任レスコラは、「否認」の危険性もよく知っていて、みんなに煙たがられながらも、抜き打ちの避難訓練で実際に階段を歩かせた。社員でない人がオフィスを訪問しても、まずは非常階段の位置を知らされるという徹底ぶり。
9.11ではまず北タワーに飛行機が激突した。港湾公社からは、机のところに留まるようにというアナウンスしかしなかったが、レスコラは即座に全員脱出を系統立てて指示した。避難の途中で南タワーにも飛行機が衝突したが、激しい衝撃がおさまるとすぐに避難路を別の吹き抜けに変え、皆を誘導していった。結果、2700人ほどもいたモルガン・スタンレー社の人(および訪問者)はほぼ全員が無事だった。無事ではなかったのは、レスコラの指示に気づかず、もしくは無視してオフィスに残った10名ほど…および、それを助けに戻ったレスコラだけだった。
これを読んで、避難訓練を面倒くさがっていたことを大いに反省しました(-_-;; レスコラも相当イヤミ言われてたようだけど…そりゃそうでしょう、仕事の邪魔!! としか思われないよね平時は。でも、階段の場所と、そこから地上に降りられるということを体で知っているということは、その時の行動を大きく後押しすると思う。
あなたは、階段の場所を複数知っていますか? 実際に降りたことはありますか? 全部歩くのは長すぎるから自主的にはやらないけど(^^;; 健康に寄与する程度歩いて、残りエレベーターとかでもいいと思います。いざの時、たまたまレスコラみたいな人がいなくても、必要な行動がとれるように。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)
←とっさのときの行動は自分でも予測しにくい。
「生き残る判断生き残れない行動」アマンダ・リプリー
の中で一番印象に残った事例は、高層ビルからの脱出。
火事とかなんとか、避難が必要になったときのイメージとして、パニックになった人々が非常口へ殺到し、もみくちゃになって余計遅れるというような悲劇が容易に思い浮かぶけれども…実際にはそんなことにならなかった。
むしろ、頭が真っ白になって固まってしまう人、避難すべき事態だということを否認する人が多く、階段では誰も押したり揉めたりしていないのだけれど、退避は非常にのろのろしたものだった。
北タワー86階にいたレッセさんは、爆発を感じたとき、近くにいた人同士で集い(知人というわけではない。そういうときは誰彼ともなく助け合うものらしい)どうすべきなんだろう? と話し合ったり、窓を割ったりした(何か熱い破片が飛び込んできたりしてマイナスなだけだった)。でも誰も階段を探そうとは言わなかった(階段がどこにあるかも知らなかった)。
しかし彼が助かったのは、別の階から来た人が大声で階段室ドアをノックして「誰かいるか?」と叫び、避難をうながしてくれたからだ。
北タワー73階にいたゼデーニョさんは、爆発音がとどろき床が傾いてからも、(後から考えるとなぜだかさっぱりわからないのだけれども)そこにとどまること以外何もしたくなかったという。でも幸運なことにただちに「否認」の状態を抜けた同僚がいて大声で叫んでくれた「ビルから出ろ!」。そこでようやくゼデーニョさんも動くことができたが、でもなかなか避難を始められず、個室内をぐるぐる歩いたり、読みかけのミステリー小説やら何やら私物をまとめにかかった。冷静に考えれば馬鹿みたいな話だけど、こうした「私物をまとめる」動作は生死にかかわる場面でよくみられるそうだ。
階段を下りていく途中も、信じられない思いにとらわれたり、あれこれ考えたりして、何度も足が止まった。まったく急いでいなかった。これまたあとから考えるととても不思議な感覚だったそうだ。
上記の二人は、ともかく結果的に間に合ったのでよかった。間に合わない人もたくさんいた。
ゼデーニョさんは、実は安全リーダーの役割も持っていて、いざのときには女性トイレの確認をすることになっていたが、そんなことを思い出したのは数か月たってからだった。リーダーといっても形式的なもので、避難経路も知らず、まともな知識も訓練もなく、ただセンターからの指示があればそれに従ってみんなに声をかけるはずだった。とはいえ、その日はそんなものなかったのだが。
超高層ビルでは、火事があってもその他の階には延焼しないし、ましてや倒壊などはありえないというのが前提だった。だから、安全確保といっても基本はそこに留まれというスタンスで、階段を使った避難とかは想定外だった。
ところがそんなことまで強く想定してた人がひとりいた。モルガン・スタンレーで雇われていた警備主任レスコラは、「否認」の危険性もよく知っていて、みんなに煙たがられながらも、抜き打ちの避難訓練で実際に階段を歩かせた。社員でない人がオフィスを訪問しても、まずは非常階段の位置を知らされるという徹底ぶり。
9.11ではまず北タワーに飛行機が激突した。港湾公社からは、机のところに留まるようにというアナウンスしかしなかったが、レスコラは即座に全員脱出を系統立てて指示した。避難の途中で南タワーにも飛行機が衝突したが、激しい衝撃がおさまるとすぐに避難路を別の吹き抜けに変え、皆を誘導していった。結果、2700人ほどもいたモルガン・スタンレー社の人(および訪問者)はほぼ全員が無事だった。無事ではなかったのは、レスコラの指示に気づかず、もしくは無視してオフィスに残った10名ほど…および、それを助けに戻ったレスコラだけだった。
これを読んで、避難訓練を面倒くさがっていたことを大いに反省しました(-_-;; レスコラも相当イヤミ言われてたようだけど…そりゃそうでしょう、仕事の邪魔!! としか思われないよね平時は。でも、階段の場所と、そこから地上に降りられるということを体で知っているということは、その時の行動を大きく後押しすると思う。
あなたは、階段の場所を複数知っていますか? 実際に降りたことはありますか? 全部歩くのは長すぎるから自主的にはやらないけど(^^;; 健康に寄与する程度歩いて、残りエレベーターとかでもいいと思います。いざの時、たまたまレスコラみたいな人がいなくても、必要な行動がとれるように。
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「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)
「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
(今回もイラストはまたろう)