アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

演奏する先生、しない先生

2019年07月18日 | ピアノ
図書館で音楽関連書籍の棚をつらつら見ていたときに、地味な装丁の本にふと目がとまったのは…

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「パリの香り、夢みるピアノ」(中井正子)

あ、この人、うちにあるドビュッシーの楽譜の人(校訂者)だ。と覚えていたから(私にしては珍しいw)

中井さんは、芸高在学中、留学のことを考えたときに原智恵子先生に相談したら「感性が鋭いうちに留学するべきよ。早いほうがいいわ」と断言され、高校卒業せず早速、パリ国立高等音楽院に。

言葉の壁、ピアノが弾ける住居の確保など、実際的な困難が様々ある中、始まった留学生活で、やはり一番たいへんなのは音楽そのもの。

ピアノで最初のレッスンのときに「モーツァルトのコンチェルトを持ってきて。カデンツァも書いてきてね」と事もなげに言われ、「カデンツァなんて書いたことがありません」と食い下がるも「じゃあ、はじめて書いてみれば」

一週間でコンチェルト全楽章を暗譜するだけでも大変なのに(!)必死に曲中のフレーズを拾って書いてみたけれどとてもカデンツァと呼べるようなものではなかった、と中井さんは言うのだが、ほかの生徒は平然と書いてくる。ソルフェージュ教育は中井さんも日本でそれなりにみっちり仕込まれていたけれど、フランスのものはもっと実践的で、和声の基礎や音楽分析的な面も含まれているのだそうだ。

で、ロリオ先生はそのカデンツァをパラパラとみると、「ちょっと待って」と隣の教室にいた夫(作曲家、オリヴィエ・メシアン)に「どう?」とか見せている(怖すぎ)。メシアン先生はしばらく楽譜をじっと見て「ハーモニーを勉強しなさい」と静かに言った。

ロリオ先生は、教育者であるよりまず演奏家である感じの人で、レッスンのときも、ポイントのところだけ、しかもかなり抽象的なアドバイスをする程度。しかも演奏活動のため長期に留守にすることもたびたび。常に、演奏家になるということはどういうことなのかを、直接に、あるいは態度で、教えてくれていたんだけれど、それぞれの生徒が一定の水準に達していないところの面倒までは見てくれない。

それを補うため、演奏ではなく教育に軸足を置いたムニエ先生がいて、作曲家の「スタイル」についても表現の具体的な面まで突っ込んで教えてくれるだけでなく、ピアノの構造の説明、タッチのこと、練習の仕方、指使いのこと、ありとあらゆる具体的な指導をしてくれた。

要するに、両方の先生が補い合って優れた教育をする体制、ではあったのだけど、この二人の先生が思っている音楽の系統はかなり方向が違っていて、同じ曲の同じ部分に逆のことを言われることもあり(^^;;

なのでそのうち、ロリオ先生とムニエ先生にはそれぞれ別の曲を持っていくようになったとか…

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