カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

消えない輪郭

2016-05-12 00:17:58 | 依頼です、物書きさん。
大切な人をずっと待っている探偵と緩やかに死を待っている男の一方通行な恩返しの話

 探偵は愛娘の死を知らない男の捜索依頼に対して定期的に報告書を提出していた。捜してはいるが見付からない、似ていたが違った。そんな感じの報告を、男は一喜一憂しながら受けるのが常だった。長くは生きられない父に対して自分の死を知らせないでくれと言い残して死んだ妻の言葉を、探偵は今も守り続ける。
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